「HP ENVY x2」オーバービュー

続いて、HP ENVY x2のハードウェアスペックやオーバービューを見ていこう。CPUには、Intel Atom Z2760(1.8GHz)を搭載する。Intel Atom Z2760は、開発コードネーム「Clover Trail」と呼ばれていたインテルの最新CPUだ。PCとして必要な機能をすべて1チップに集積したSoCとなっている。

Clover Trailについては次回さらに詳しく検証する予定だが、デュアルコアでHyper-Threadingテクノロジーをサポートしているため、最大4スレッドの同時実行が可能であり、かつてのAtomのイメージを大きく覆す高いパフォーマンスを実現している。メモリは2GB実装しており、ストレージとしては64GBのフラッシュメモリ(eMMC)を搭載する(128GBのeMMCを搭載した上位モデルも用意されている)。OSはもちろんWindows 8だ(上位モデルではWindows 8 Proを搭載)。

液晶ディスプレイ(ピュアタブレット部分)は11.6型で、視野角の広いIPS液晶を搭載。斜めから見ても色の変化が少なく、表示品位も優秀だ。解像度は1,366×768ドットで、マルチタッチに対応する。本体サイズはW303×D193×H8.6mmとスリムであり、重量も約710gと気軽に持ち運べる重さだ。

前述したように、キーボードドックが標準で付属していることも魅力。キーボードドックにもバッテリが内蔵されており、重量は約700gだ。本体とキーボードドックを合体させると、クラムシェルノートPCと同じ感覚で利用できるが、そのときのサイズはW303×D206×H17~19mmと、いわゆるUltrabookの要件を満たすスリムさを実現している。本体とキーボードドックを合わせた重量は約1.41kgであり、モバイルPCとしても携帯性は十分に高いと言ってよいだろう。

最大19時間ものバッテリ駆動時間

さて、CPUのClover Trailは消費電力が低いことがウリであり、HP ENVY x2のバッテリ駆動時間は非常に長い。こちらも次回以降、実際にさまざまな条件で駆動時間のテストをした結果を紹介する予定だが、公称バッテリ駆動時間は本体(タブレット部)のみで約10時間45分、キーボードドック合体時は実に約19時間。一般的なUltrabookの2倍~3倍は楽に持つのだ。

バッテリだけでこれだけ動けば、1泊程度の出張なら途中で一切充電せずに使えるはず。ACアダプタを持って行かなくてよいという点も、副次的だがとても嬉しいことだ。また、外回りが多いビジネスマンにとっても、HP ENVY x2の超長時間駆動は大きな魅力ではないだろうか。HP ENVY x2は、Windows 8タブレット&クラムシェルノートPCとして十分なパフォーマンスと機能を備えており、特にバッテリ駆動時間の長さでは他の追従を許さない。

タブレット部分のmicroSDカードスロットはダミーカード式。キーボードドックと合体した状態でもメディアを抜き差しできる配置に好感が持てる

インタフェースとしては、タブレット部にmicroSDカードスロットとマイク入力/ヘッドホン出力端子を備えるほか、キーボードドック部にはUSB 2.0×2、HDMI出力、2in1メディアスロットが用意されている。ワイヤレス機能としては、IEEE 802.11a/b/g/n対応無線LAN機能とBluetooth 4.0をサポート。さらに、近距離無線通信規格のNFCにも対応している。

細かいところだが、5GHz帯の電波を用いる無線LAN(Wi-Fi)のIEEE802.11a/nが使える点に注目だ。幅広く普及しているのは2.4GHzのIEEE802.11b/g/nだが、2.4GHz帯の電波は非常に混み合っており、無線LANで思うようなスピードが出なかったり、ひどいときは接続が途切れ途切れになったりする。ご存じの方、心当たりの方も多いだろう。対して5GHz帯のIEEE802.11a/nは、今のところそれほど混み合っていない。IEEE802.11a/n対応の無線LANルータを自宅やオフィスに導入すれば、かなり快適な無線LANの通信環境が手に入るのだ。

クラムシェル状態の左側面にはHDMI出力とUSB 2.0、マイク入力/ヘッドホン出力/ライン出力コンボポート(写真左)。右側面は2in1メディアスロット、USB 2.0、電源コネクタ(写真右)

前面(写真左)と背面(写真右)には、インタフェース類やボタン類はない

天板には、電源ボタンとボリュームボタン、約800万画素のカメラ(写真左)。タブレットらしい配置だろう。高画素のカメラ機能が嬉しいところ。画面側にも約200万画素のカメラが用意されている(写真右)

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次回以降は、Clover Trail(Atom Z2760)の実使用における性能や、キーボード/タッチパッドの使い勝手、音へのこだわりについて、じっくり見ていく予定だ。