昨年2012年にWindows 8とWindows Phone 8を立て続けにリリースしたMicrosoftだが、次のOSアップデート計画に関する話題が出始めている。1つは「Blue」の開発コード名で呼ばれる製品であり、これがWindowsプラットフォームを横断したアップデートとして今年中にも提供されることになるという。もう1つはPCとスマートフォンで2つに分かれているOSを1つに統合するというもので、まだ若干先の話になると思われるものの、Blueと並行して作業が進んでいるとみられる。
Blueの最新情報についてはZDNetが報じている。以前にも紹介したように、「Blue」は次期WIndowsバージョンとなるOSの開発コード名として知られている。一方でその内容は新OSというよりも、Windows 8への大規模アップデートのような形で提供される可能性が高いとされている。2013年夏に提供が予定されている"Blue"を導入したユーザーは、以後毎年単位で提供されるOSアップデートを自らの判断で適用できるのだという。ユーザーに対して新OSを3~4年単位で提供するよりも、Mac OS Xやスマートフォンのように半年~1年ほどのスパンで定期的にアップデート更新していくスタイルというのだ。
だがZDNetが伝えるところによれば、Blueの適用対象はWindows OSだけでなく、Windows PhoneとWindows Server、各種Windowsサービス(SkydriveやHotmailなど)を包含した包括的なアップデートになるようだ。だが同時期でこそあるものの、すべてが一度に提供されるわけではないという。またBlue提供の前段階として、マイナーアップデートがこれらプラットフォームに提供されるともZDNetでは伝えている。例えばWindows Phoneユーザーに対しては「Portico」という開発コード名のマイナーアップデートの提供が見込まれており、一部機種やキャリアにはすでに配信が開始されている。
またBlueと並んで気になる話題が、次期Windows Phone OSに関する動きだ。もともとはWMPoweruserなどが発見したもので、ZDNetが報じたところによれば、MicrosoftがWindows Store向けに記述したアプリをWindows Phone向けのアプリストアでも動作するよう検証するソフトウェアエンジニアを募集していたという。この募集はすでに終了しているものの、これでわかるのは2つに分離しているランタイム環境を共通化し、1つのアプリをスマートフォンとPC (タブレット)の2つで同じように動かせる仕組みとみられる。
もともとWindows Phone 7と通常のWindowsではAPI等の実行環境がまったく異なり、さらにARMプロセッサとx86系プロセッサでバイナリコードが異なるため、両者に互換性はなかった。後にWindows 8ではARM版の「Windows RT」が提供され、Windows Phone 8世代ではWindows OSとの実行環境の共通化が図られているとの噂が出たことで、アプリ共通化が期待されていたものの、実際にはWindows Phone 8が搭載したフレームワークはWindows 8スタイルアプリを動作させる「WinRT」ではなく、"近いが別物"であり、2つのストアが共通化されることはなかった。現在でも開発者はWindows系プラットフォーム向けにアプリを提供する場合、Windows Store向けにx86/ARMの2種類のPC/タブレット向けバイナリを用意するほか、Windows Phoneでの動作を考慮したうえで別の実行バイナリをスマートフォン向けに用意し、さらにスマートフォンとPC/タブレットで2種類あるストアにそれぞれアプリを登録する必要がある。もし2種類のプラットフォームでラインタイムとアプリストアの共通化が図れれば、プラットフォーム拡大で腐心するMicrosoftにとって大きなアドバンテージとなるかもしれない。