アドビ システムズは2012年12月から、「Adobe Creative Cloud グループ版」の提供を開始した。この"グループ版"はそれ以前から提供されていた"個人版"とはどこが異なるのか、疑問に思っている人もいるかもしれない。そこで今回は、「Creative Cloud グループ版」の特徴と、個人版との違いを紹介していきたい。

Adobe Creative Cloud グループ版

ユーザーアカウントの管理が便利に

「Creative Cloud グループ版」は小中規模の企業や大企業のデザイングループ向けのサービスで、最大の特徴は、ユーザーアカウントの管理方法にあると言える。

Creative Cloudのライセンス管理の違いをまとめた表

「Creative Cloud 個人版」のアカウントは、ユーザー個人にひもづく形となっている。フリーランスのクリエイターや学生であれば特に問題はないが、企業が導入する場合、ライセンス管理に不便が生じることがある。例えば、「Creative Cloud 個人版」を企業の業務で使用し、その個人版ライセンスを使用していた社員が退職した場合、そのアカウントは会社の資産ではなく社員個人のものになる。そのため、社内外の人事異動への際のライセンス管理が難しい側面があった。

一方、グループ版では、購入者側でアカウントを一元管理する「アドミンコンソール」を実装。人事異動などのタイミングで、メンバーの追加・削除やアカウント権限の付け替え、購入するライセンスの追加なども行うことができる。つまり、ライセンスは会社にひもづき、それを社員に割り当てる形になる。

個人版より大容量のストレージを使用可能

機能面については、個人版で提供されているすべてのアプリケーション・機能を使うことができる。グループ用だからといって機能が制限されていることはない。最新のソフトウェア群やサービスを、必要な時に、自由に使えるというCreative Cloudの利点は最大限に活用できる。しかも、個人版と同様に、最大2台のマシンへのインストールが許可されている。作業環境上、複数のマシンでCreative Cloudを使用したい場合にも対応できる。

Creative Cloudの個人版・グループ版の機能面を比較した表

また、いちユーザーとして体感する部分で個人版と異なるのは、ファイルストレージ容量。個人版では20GBのところ、100GBを使用できる。しかも、複数人ではなく、ひとりあたり100GBの容量が使用可能となる。制作環境が猛スピードでリッチになっていく昨今、扱うファイルの量はどうしても多くなるため、ストレージは大きいに越したことはない。

ライセンスは年間契約となり、基本価格は8万4000円。月々の支払いすると、月額7000円となる。個人版と同様に、CS3以上のライセンスを保有している場合は特別提供版を利用でき、初年度に限り年間6万円(月々5000円)に利用料が割引される。グループ版の特別提供版の購入可能期間は4月30日までとなっているので、導入を検討している場合は注意が必要だ。

なお、グループ版のライセンスは、Web経由(クレジットカード決済)か販売店での購入に対応していて、大量導入(50ライセンス以上の導入がめやす)の場合はコールセンターで要相談となる。詳細については、同社のWebサイトで確認し、状況にあった内容を選択してみてほしい。