我々には直感的に理解できない単語が用いられることが多いコンピューターの世界。新たに登場するWindows 8を踏まえつつ、Windows OSで用いられる単語(=キーワード)を個別にピックアップし、詳細な解説をお送りする。今回取り上げるキーワードは、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を構成するパーツの一つ「ウィンドウ」だ。

Windows 8キーワード一覧

「ダイアログボックス」とは
「SkyDrive」とは
「サインイン」「サインアウト」とは
「プロパティ」とは
「アクセス制御リスト」とは
「アカウント」とは
「ユーザーアカウント制御」とは
「アイコン」とは
「デバイス」とは
「パス」とは
「ボリューム」とは
「共有フォルダー」とは
「ホームグループ」とは
「カーネル」とは
「プライベートネットワーク」とは
「レジストリ」とは
「ピン留め」「ジャンプリスト」とは
「デスクトップ」とは
「タスクバー」とは
「エクスプローラー」とは
「Windowsストアアプリ」「デスクトップアプリ」とは
「チャーム(Charm)」とは
「スタート画面(Start Screen)」とは
「タイル/ライブタイル(Tile/Live Tile)」とは
「アプリバー(App Bar)/ナビゲーションバー(Navigation Bar)」とは

「ウィンドウ(Window)」

机上をメタファーとするデスクトップ環境で、複数のアプリケーションを描画する領域を指すキーワードだ。OSはタスクを切り替えることで、アプリケーションの複数実行を実現している。だが、対話型アプリケーションの場合、複数の描画領域を確保しなければならないため、ウィンドウを重ね合わせるオーバーラップウィンドウを採用。これらの仕組みを採用した環境を「ウィンドウシステム」と呼称することが多い(図01)。

図01 Windows OSにおいて初めてオーバーラップウィンドウを採用したWindows 2.0

ウィンドウはユーザーが最初に知覚する部分のため、ウィンドウデザインはOSの評価を左右する重要なパーツに数えられる。Windows 1.0の時代はハードウェア的制限から平らなデザインになってしまったが、Windows 3.0では立体化の演出を加え、Windows 95ではその演出をさらに強化。Windows XPでは平らなデザインを見直して区切り線を廃し、配色で示すように変更したとMicrosoftのRaymond Chen(レイモンド・チェン)氏は述べている。

なお、ウィンドウという概念は1960年代、スタンフォード研究所(現SRIインターナショナル)所属していたDouglas Engelbart(ダグラス・エンゲルバート)氏らが研究開発したなコンピューターシステム「NLS(oNLine System)」が元祖と言われている。ここで生まれたビットマップディスプレイやマウスなどを含むGUIをベースに、Xerox(ゼロックス)のPARC(パロアルト研究センター)に所属していたAlan Kay(アラン・ケイ)氏らが発展させ、後のMacintoshやWindowsへとつながっていった(図02)。

図02 1983年1月19日にデビューした「Lisa」上で動作する「Lisa OS」

現在では当たり前に感じられるウィンドウだが、その重要性はタブレット型コンピューターの普及によって変化しつつある。Windows 8上で動作するWindowsストアアプリは、iOS用アプリケーションやAndroid用アプリケーションと同じく全画面表示を採用。GUIから登場し、常に存在したウィンドウシステムが消える可能性も少なくない(図03)。

図03 全画面表示を採用したWindowsストアアプリ

阿久津良和(Cactus