リコーは1月29日、オフィスをはじめとしたさまざまな場所における会議やブレーンストーミング(ブレスト)などコラボレーションを円滑にするツールとして、新たにディスプレイタイプの「リコー インタラクティブ ホワイトボード D5500」を開発したことを発表した。

「リコー インタラクティブ ホワイトボード D5500」の外観(オプションの専用スタンドを装着した状態)

同製品は、フルHD対応のLEDバックライト採用55v型液晶モニタを用いたインタラクティブホワイトボードで、会議などの出席者などがPCやタブレット端末、スマートフォンなどの情報機器を接続するだけで、1つの大画面を見ながら共同作業を行うことを可能とするもの。

開発の初期段階より、エスノグラフィー手法を取り入れることで、共同作業に求められる、誰でも直感的で使いやすい操作性と機能性を追求し、資料のディスプレイ表示のほか、電子ペンでの書き込み、会議結果の保存・共有といった機能を限りなくシンプルにしたほか、図面などの精細な画面表示に対して正確な書き込みを実現するために、表面の保護ガラスとディスプレイとの距離を狭め、視差を低減したり、高速で鮮明な線を表示する独自の画像処理技術による書き込む人のイメージに忠実な、なめらかな書き心地を実現したという。

使い勝手の向上に向け、独自技術として液晶パネルと保護ガラスの距離を狭め、視差の低減による書こうと思った場所と、実際に書かれた場所の違いをなくすことによって、その誤差によって生じる違和感をなくすことに成功した。また、表示に遅延があってはいけないため、やはり独自の回路技術による処理を採用することで高速表示を実現した

また、独自開発のコントローラーを内蔵することで、電源を入れるだけですぐに書き込みを可能にしたほか、PCやタブレット端末などにアプリケーションソフトをインストールすることなく、プロジェクタのようにケーブルを接続するだけで、表示した画面への書き込みを可能とした。さらに、会議結果のメール送信や、遠隔地とのリアルタイムな共同作業を実現する画面共有機能、テレビ会議システム画面の同時表示機能などを搭載している。

D5500の概要

リコー常務執行役員 グローバルマーケティング本部 本部長の野中秀嗣氏

リコー常務執行役員 グローバルマーケティング本部 本部長の野中秀嗣氏は同製品に対し、「今までなかったソリューションを提供することが、新しい付加価値の提案。コミュニケーションをどのように変化させていくか、ということを考えた際に、インタラクティブホワイトボードを活用することでコラボレーションがやりやすくなるようなワークフローを提案していきたい」と、同製品単体の販売にとどまらず、使い方などを含めた総合的な提案などを行っていくとした。

またリコー NA事業部 PJ-UCS事業センター 所長の花井厚氏は、「オフィスにある情報は3つ。1つ目は紙、2つ目はデジタル(オフィスアプリなどの)データ、そして3つ目はリアルに顔を付きあわせ、会話をして身振り手振りを行って交わされるもの。今まで、この3つ目については、最終的に紙に印刷することが多かった。同製品を活用することで、紙、ディスプレイ、スクリーンのすべてに表示することができるようになる」と、IT機器が進化して、オフィス環境が変化しても、会議や打ち合わせの場は、そういった流れに取り残されており、それを変化させたかったことを強調。「クラウドの発達により、大半の仕事はどこでもできるようになってきた。しかし、打ち合わせや顔を合わせるような作業はオフィスに来る必要があった。こうした機器を活用することで、これからはリコー製品があるところがオフィスになるという時代がくる」と、意気込みを語る。

「映す」「書く」「共有する」の3つの点にこだわって、利用者の動態調査や使い勝手のフィードバック検証などを何度も行って、製品のブラッシュアップが行われていった

リコー NA事業部 PJ-UCS事業センター 所長の花井厚氏

「会議の場で、ノートに書き込んで、ホワイトボードを見て、パソコンを操作して、とやっていると、思考があちこちに飛んでしまって、頭の中が整理しづらい。それを1つのデータとしてまとめることにより、新しいものを創造しやすくする環境が提供できるようになる」(同)とのことで、最近普及が進んでいるAndoroid端末やiOS端末などへの接続性や、電源を入れて設定をして、といった手間などの省略化、そして遠隔地との連携についても、従来のように会議の前にデータを送って、こちらと向こうで音声でやり取りして、変更点を指示する、といったことではなく、同製品に表示されたデータをそのまま共有データとして活用することで、手間を省きつつ、共有できるといった一連の機能も単体でできるように工夫を施したとのことで、遠隔地にある複数台数を連系させ、パネル上のデータを共有することも可能となっている。

遠隔会議の例。右は実際に同社が試験的に海外とのやり取りで使用した設計図のデータ。こうしたデータをメールで送って、双方で開いて、電話で指示を確認しながら、といった面倒なことはなしに、同製品上で、同じデータで確認。その後、そこからメールやUSB経由で書き込んだ状態のデータを受け取ることが可能となっている

なお、同製品は2月5日より販売を開始する計画で、価格はオープン(同社の希望としては84万8000円程度とのこと)。2013年度で1800台の販売を目指すとしている。また、各種クラウドサービスや顧客固有のサービスなどへの対応を図ることを目的にAPIの公開も予定しているとしている。

3台のD5500をネットワーク経由で接続したデモ

図面に各D5500からそれぞれが書き込んでいる様子。青、赤、黄色でそれぞれ別の拠点から書き込んでいる

側面にあるインタフェース。入力としては、ミニD-Sub15ピン×2、DVI-D24ピン×1、DisplayPort×1。出力はDVI-D24ピン×1、USB2.0 TypeA×4、USB3.0 TypeA×2。通信コネクタとして10BASE-T/100BASE-TX /1000BASE-T×1となっている。同社としては、今後無線LANへの対応なども行っていく予定としている