2012年は小学生モデルもリリース。特別仕様のデザイン

現行の小学生モデル「XD-D2800」はホワイト(写真上)とライトピンク(写真下)の2種類

―― その小学生モデルですが、2012年に発売されました。「小学生に電子辞書?」のような声もあったかと思いますが、反応はいかがでしょう。

上田氏「小学生モデルは高い評価をいただいてます。学生向けは高校生モデルから始めて、認知されたところで中学生モデルを作りました。おかげさまで中学生モデルも好評で、次は小学生モデルと段階的に進めてきました。

実は小学生モデルを手がけるときも、小学生に使いこなせるか、キー操作は大丈夫かといった心配もありました。でも、小学生のほうが早く覚えてしまうのでは? となりまして」

―― 子供の力ってすごいですよね。特にこのようなデジタル機器。

上田氏「本当にすごいですよね。どのボタンを押すと、どういう画面が出て、どんな機能があるかなど、自分で触ってすぐに覚えてしまいます。小学生モデルは2012年が1年目でしたが、思った以上に受け入れていただけたと考えています。

小学生モデルはデザインや見た目も好評なんですよ。液晶画面のフレームに、本体カラーがホワイトのモデルは星マーク、本体カラーがピンクのモデルはハートマークを入れたら、"かわいい!"と。小学生モデルだけの特別仕様です」

ホワイトモデルの液晶フレームには星マーク、ピンクモデルの液晶フレームにはハートマークが

―― 学生向けモデルの大きな違いは収録コンテンツですか。

上田氏「そうです。使う人の"学び"に合ったコンテンツを収録しています。高校生モデルは受験対策が中心で、中学生モデルは英語に馴染んだり高校受験ですね。小学生モデルは中学受験にも使えたり、漢字をきちんと覚えたり、さらに図鑑的なコンテンツもあります。全部ではないのですが、ルビ(編注:読み仮名)を振ったコンテンツも収録しています」

佐藤氏「小学生は、興味を持って色々なことを知りたくなる欲求が強い時期です。それに応えられるコンテンツを厳選しています。ただし、大百科事典のようなものを入れても、内容や漢字が難しくなってしまうので、小学生に最適なコンテンツを探して収録しています」

酒は酒屋に、茶は茶屋に

ちなみに、カシオの調査によると、高校生は7割くらいの生徒が電子辞書を所有しているそうだ。中学生だと学校への持ち込みやクラス内のバランスなど、ややハードルが高くなる。小学生はまだまだこれからとはいえ、家庭や塾での学習に、電子辞書は頼もしい味方となってくれるに違いない。

電子辞書は、カシオによれば「学習」という目的を持った人に対しては堅調に推移しているという。「何かを調べる」という行動は、PC、スマートフォン、タブレットでも可能で、むしろそちらのほうが便利と感じている人も多いのではないだろうか。

しかし、電源や電波状況(インターネット接続)、バッテリーの持ちといった弱点があるのも事実。必要なときに素早く、信頼できる正しい情報を得るには、電子辞書のほうが何かと使いやすいのだ。

カシオのEX-wordシリーズは「学習」がコンセプトということで、付加的な機能はあえて外しているという。具体的には、通信機能やテキストメモ、一般的なファイル形式の動画/画像/音声の再生機能などだ。こうした機能は役立つ反面、遊びの余地や情報漏洩の危険性をはらむ。いわゆる「何でもできる」のは、PC、スマートフォン、タブレットにまかせ、EX-wordはあくまで学習のための製品という、"辞書"本来の姿をこれからも追求していってほしい。