こちらのCES Unveiledの記事で紹介した「ThinkPad Helix」だが、ブース取材でもう少し詳細な情報が聞けたので、追加レポートをお届けしたい。ピュアタブレット、キーボードドッキング状態でのタブレット、クラムシェル型と3形態に変化するモデルだが、CPUのTDPも3形態にあわせて変化し、熱設計を最適化しているという。

「ThinkPad Helix」

ThinkPad Helixは、OSにWindows 8を搭載し、通常時は11.6型のクラムシェルUltrabookだが、ヒンジ部分のワンタッチのロック解除で、タブレット部とキーボードドック部に分離可能なコンバーチブルマシン。ディスプレイを反対側に向けた表裏逆向きドッキングも可能で、その状態でドッキングしておけば、ディスプレイを閉じた際にキーボード表面を内側に隠すこともできる。キーボードドック側にもバッテリを内蔵しているので、ドッキング時はバッテリ駆動時間を延ばすこともできる。

キーボードドックに逆向きに接続することもできる

キーボードドック逆向き接続のまま閉じれば、バッテリと冷却を拡張したままタブレットモードに移行できる

キーボードドックを外してしまえば、軽さと薄さを重視したピュアタブレットモードへの移行できる

主な標準スペックは、ディスプレイは11.6型フルHD(1920×1080ドット)のIPS液晶で、表面はゴリラガラス、10点マルチタッチに対応する。OSはWindows 8で、CPUはIvy Bridge世代のIntel Core i7(GPU統合)、メモリは最大8GBのDDR3 1600MHz、ストレージは最大256GBのSSD。主なインタフェースはタブレット側がWi-Fi、Mini DP、USB 2.0、1080p Webカメラ×2などで、NFCと4G LTEも対応する。タブレット側にはデジタイザペンも内蔵する。キーボードドック側にはUSB 3.0、HDMI、Mini DP。キーボード部にはThinkPadでおなじみの赤いトラックポイントを備え、タッチパッドはクリックボタンを内蔵した一体型だ。

重量は全体で1.67kgで、うちタブレット、キーボードドック単体だと、どちらも単体重量はおよそ830g強とのこと。本体の厚みはドッキング時で0.8インチ(約20.4mm)。バッテリ駆動時間はタブレット単体だと5時間、ドッキングすることで10時間以上に延ばせるという。価格はCTOの構成によるのだが、北米市場の価格でだいたい1500ドル程度となり、発売は今年の第1四半期を予定している。

天板。天板の前側にはデザイタイザペンを内蔵している

右左の側面(ドック装着状態)

ドック装着時の底面。メモリなどはPCとしてのコンポーネント一式はタブレット側になるため、開けてもバッテリくらいしか無いだろうが、一応ネジで開閉できる。バッテリ交換は簡単ではないだろうとのこと

余談だが、タブレット側の、キーボードドックとの接続部分に隠しパネルが内蔵されており、規格準拠シールが貼られていた。デザイン上、本体表面に貼って見栄えが悪くなるのを避けるため、という配慮もあったそうだ

これは背面(ドック装着状態)

キーボードはおなじみのThinkPad仕様。赤いトラックポイントだが、製品版では通常のThinkPadのものより高さが低い可能性があるとのことで、互換性は微妙。なお、タッチパッドはボタンが無い様に見えるが、左右クリック含めた5ボタンを内蔵している

冷却機構として、タブレット側(つまりPC本体側)にシングルファンを備えるほか、キーボードドック側に冷却を強化するデュアルファンを備えることはレポート済みだ。さらに、ピュアタブレット、キーボードドッキング状態でのタブレット、クラムシェル型の、3つの形態それぞれで、CPUのTDP(熱設計電力)を動的に調整していることも判明した。同社スタッフは、「どのような形状であっても、性能バランスのベストを狙って大和研究所で開発したもの」と説明していた。

こちらが、キーボードドック側が備えるデュアルファン

ドッキング時に、タブレット側の給排気にちょうどつながるようになっており、冷却エアフローを強化できる

これは、以前にCOMPUTEX TAIPEI 2011で、当時のIntel PC Client担当Vice PresidentのMooly Eden氏とのセッションでも聞くことができたIvy Bridgeの仕組みを応用したものと考えられる(当時の参考記事はこちら)。これは「Configurable TDP Technology」と呼ばれる電力と性能の最適化技術で、Turbo Boostを応用した様な技術となっており、Turbo BoostはTDP(熱設計電力)枠内に収まる限り動作クロックを適時引き上げるが、Configurable TDPでは、そのTDP枠自体を上下に変更できるというもの。

展示の「ThinkPad Helix」には、Intel Core i7-3667Uが搭載されていた。定格で2.0GHz動作、TDP17WのCPUだ

ThinkPad Helixでは、デュアルファンによる拡張冷却と拡張バッテリも利用でき、廃熱と電力とも余裕のあるクラムシェル時においては、通常のIvy BridgeのTDPである17Wの枠で動作する。ついでドックを装着したままのタブレット時には、廃熱のデュアルファンのエアフローが多少制限されることを考慮して、これをTDP13W枠へと引き下げる。さらにタブレット単体時には、冷却とバッテリが最小となることを考慮して、TDPを9W枠へと一気に引き下げている。