2012年も数々の新しい製品やサービスが登場した。その一方で、2012年に消えていったものも存在する。家電チャンネルに関連する製品やサービスの中から、2012年に消えてしまったものを紹介したい。

撤退は大正解? - 日立の薄型テレビ「Wooo」

地上アナログ放送終了が終了した2011年は、デジタルテレビの需要が大幅に拡大した年だった。その2011年、日立製作所は薄型テレビ「Wooo」の秋冬モデルを、一部のマイナーチェンジモデルを除いて発売していない。そして、2012年1月23日、薄型テレビの国内生産を終了することを発表した

「Wooo」の2008年モデル。この時代が、Woooの一番輝いていた時期かもしれない

同社の薄型テレビ「Wooo」シリーズは、他社に先駆けてHDD内蔵による録画機能の搭載、DLNAのサーバー/クライアント機能の搭載など、独自の魅力を持ったものだった。また、液晶モデルだけでなくプラズマモデルもリリースを続けており、貴重な存在となっていた。

当時、他社がこれからも大型テレビや、3Dなどの多機能テレビを中心に事業を展開していこうという姿勢を取っていたのに対して、日立の決断はあまりにも速かったという印象だった。しかし、テレビ事業にこだわったメーカーのその後の業績をみると、日立のこの決断は、正解といえるかもしれない。

白熱電球の製造および販売終了 - 適材適所で残してもよかったのでは……

2008年に経済産業省では、各メーカーに2012年をメドとして、白熱電球の製造を原則中止するよう要請する方針を示した。

国内で初めて電球を製造・販売したのは、東芝の前身である白熱舎で1890年のことだった。東芝ライテックは、2008年4月に2010年をめどに白熱電球の製造・販売から撤退することを発表。2010年3月に、約120年に渡った、一般白熱電球の製造・販売事業から撤退した。

他のメーカーもこの動きに追随している。パナソニックは、2012年10月末に、白熱電球「長寿命シリカ電球」4製品の生産を終了。三菱電機(当時は三菱電機オスラム)は2010年6月に、白熱電球を2011年3月までに製造中止することを発表。NECライティングも2012年までに家庭用白熱電球の製造・販売を中止することを発表している。

ただし、製造・販売が終了したのは、あくまでもE26口金タイプの家庭向け白熱電球だ。E17口金の小型電球タイプや、レフ球などの特殊電球は、今後も継続販売される。

さて、白熱電球は、現在でもまだ普通に市場で購入することができる。しかし、この状況が今後いつまでも続いていくということはないだろう。

白熱電球を置き換えるデバイスとして最有力なのがLED電球だが、設置場所によってはコストパフォーマンスの低下もありえる

では、それを置き換える白熱電球互換の光源はというと、低温度下での点灯速度の問題や、点灯・消灯を繰り返すことによる劣化など、電球型蛍光灯には性能面で不安がある。LED電球にはこういった問題はないが、価格面で不利だ。LED電球は、電気代を含めれば十分ペイできるといわれている。長時間点灯する場所に取り付けた場合には、確かにそうだろう。しかし、そういった場所には、蛍光灯が使用されているケースが多い。白熱電球は、短時間しか点灯しない玄関や浴室、トイレといった場所での照明に使われているというケースが多い。果たしてそういった場所で、LED電球に置き換えた場合、初期投資コストを回収できるほどの点灯時間があるのか、微妙なところだろう。白熱電球は長年使われてきたデバイスであり、そのコストの低さや、手軽さなどを含めると、完全に置き換えられるデバイスは、まだ存在していないのではないだろうか。

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