放送、映像、音響、照明のプロフェッショナルが一堂に会する国際放送機器展「Inter BEE 2012」が千葉市・幕張メッセにおいて開催された。本レポートでは、登録来場者数3万1,857人、過去最多となる871社・団体(うち海外35カ国・地域から491社)が1,423小間を出展した本イベントから、ぜひとも注目したい音楽関連のメーカーブースをピックアップし、ご紹介していこう。

「InterBEE 2012」会場

ヤマハ

ヤマハブースでは、発表されたばかりの音楽制作ソフトウェア「Steinberg Cubase 7」(12月発売予定)、および同ブランドの業務用音楽制作ソフトウェア「Steinberg Nuendo 6」(来年2月発売予定)がいち早く展示された。両ソフトとも、アップグレードによる各種新機能などが注目を浴びていた。

ヤマハブースの様子

また、スタインバーグのソフトウェアとヤマハのハードウェアを融合させたアドバンスト・プロダクション・システム「NUAGE」も発表。NUAGEは、拡張可能なコンポーネントや複数の音楽制作ソフトウェアの切り替え制御、ネットワーク・オーディオによる自由なシステム設計などを実現する次世代ソリューションだ。また、デジタルミキシングコンソール「CLシリーズ」(CL1/CL3/CL5)の展示、デジタルミキシングコンソール「M7CL」および「LS9」を、 iPadアプリ「MGP Editor」から、詳細なワイヤレスコントロールを行うデモンストレーションなども実施されていた。

ローランド

ローランドブースには、高音質なレコーダー機能と音声ミキサー機能を統合し、8ch収録とミキシングに対応したポータブルレコーダー「R-88」 など、話題の新製品が多数出展。海外にも幅広いユーザーを持つ音楽制作ソフトウェアの最新バージョンとなる「SONAR X2」シリーズや、同社のライブミキシングコンソール「V-Mixer」シリーズのフラッグシップモデル「M-480」およびリモートコントロールiPad専用アプリ「M-480 Remote」なども展示された。

ローランドブースの様子

さらに、高音質なライブミキシングに必要な機能と操作性と拡張性を備え、大型ディスプレイ+タッチ・スクリーンとしてiPadを採用したオールインワンコンソール「M-200i」も、ブース内でいち早くハンズオンが可能となっていた。なお、Ustreamなどのインターネット放送などの用途にも適したUSBアウト付AVミキサー「VR-3」の展示も行われており、音楽業界のみならず映像業界からの注目度の高さも伺えた。

ティアック(TASCAM)

ティアックブースでは、新製品となるSD・SDHCカード/USBメモリーに対応したCDプレーヤー「CD-200SB」をはじめ、ホールやライブハウス、店舗など様々なシーンで利用されている、バリエーション豊かな業務用音響機器がラインナップされていた。

ティアックブースの様子

エンドユーザーが手軽に利用できるリニアPCMレコーダー「DR-40」や「DR-100MK2」、さらに同社フィールドレコーディングソリューションの最新モデルとなるHDクオリティーの動画撮影も行えるカメラ付きリニアPCMレコーダー「DR-V1HD」 なども展示されていた。

メディア・インテグレーション

メディア・インテグレーションブースでは、Thunderbolt接続に対応したAvidの最新インタフェース「Pro Tools HD Native Thunderbolt」をはじめ、同社の取り扱う多種多様なProTools AAXプラグインやPro Tools RTASプラグインを展示。Pro Tools HD Native Thunderboltは、Thunderbolt接続によりiMacやMacBook ProなどでもPro Tools HD Native環境を実現し、同ブランドのPro Tools HDXと同様のI/Oオプションを使用できる新製品だ。

メディア・インテグレーションブースの様子

また、メディア・インテグレーションのオリジナルブランドとして展開されているプリアンプなどの「Sym Proceed」シリーズや、本格運用が開始されたテレビ放送の音声に関する新基準「ラウドネス」を正確に測定し、補正するためのNuGen Audioのメータープラグイン「VisLM Loudness Meter」なども来場者に人気を博していた。

アビッドテクノロジー

アビッドテクノロジーは、独自ブースを設けず、各販売代理店ブースにて放送局、ポストプロダクション、ライブ・サウンド向けソリューションの展示を行った。「Pro Tools HDX」をはじめ、発売されたばかりの「Pro Tools HD Native Thunderbolt」、さらにハイパフォーマンスなデジタルオーディオミキシングシステム「System 5」、ライブサウンドシステム「VENUE」などを活用したオーディオワークフローを展示ブースおよびデモステージなどで紹介した。

アビッドテクノロジーブースの様子

そのほか、リアルタイムメディア共有ストレージ「ISIS」や「Interplay Production」の最新バージョンを中心としたブースでは、Avidのビデオ/オーディオ製品の統合と、メディアを活用したファイルベースの統合ワークフローもアピールされていた。

エムアイセブンジャパン/シンタックスジャパン

エムアイセブンジャパンとシンタックスジャパンの合同出展となっていたこのブースでは、PreSonus Audio ElectronicsのSmaartを搭載したデジタルミキサー「StudioLive」シリーズをはじめ、Solid State LogicのMADIルーター「MADI-X8」や高音質オーディオインタフェース「Alpha-Link MX」、さらに要注目の音楽制作ソフトウェア「Studio One」の次期バージョン(Ver. 2.5)の国内初プレビューなどが行われた。

エムアイセブンジャパン/シンタックスジャパンの合同出展ブース

Studio One Ver. 2.5では、日本国内ユーザーからのリクエストを反映したMIDIデータの絶対値表示など数々の新機能が組み込まれる予定とのこと。また、RMEの軽量・小型のモバイルオーディオインタフェース「Babyface」は、近日公開予定の最新ファームウェアによりOS標準ドライバで使用可能なクラスコンプライアントへの対応が予定されており、ブース内でもiPadをダイレクトに接続したシステムがいち早くハンズオン可能となっていた。

続いてのレポートでは、同展示会で注目したい映像分野の出展内容についてピックアップしていく。