既報のとおり、ASUSTeK Computerは14日、世界初というデュアルスクリーン搭載モバイル「TAICHI」をはじめとするPC新製品群を発表し、2012年冬のPCラインナップを拡充した。同日、同社会長のJonney Shih氏が来日し、都内で新製品の記者発表会も開催した。その発表会場のショウケースにて、話題の「TAICHI」に触れることができたので、レポートをお届けしたい。
ASUS TAICHIは、一見するとWindows 8を搭載した通常のクラムシェル形状の11.6型ノートPCだが、本来の液晶ディスプレイの裏側、つまり天板部分にも11.6型の液晶ディスプレイを備える、かなり特殊な仕様のPCとなっている。
ディスプレイの解像度は両面とも1,920×1,080ドットのフルHDで、ともにIPSパネルを採用し広視野角178度(上下左右)を実現している。天板側は10点マルチタッチ対応で表面処理はグレア、一方の内側はマルチタッチ非対応で表面処理はノングレアという違いもある。さらに天板側は専用の付属EMRペンを使ってのペン入力(筆圧256段階検知)にも対応。また、両方のディスプレイにWebカメラを搭載。天板側のカメラ(500万画素)は1080p/30fps、内側のカメラ(92万画素)は720p/30fpsでの動画撮影が可能だ。
天板部のWindowsマークのボタンは、物理ボタンではなく、静電容量のタッチボタン。天板部のディスプレイを切っているモードでは、このボタンの表示そのものが消え、真っ黒のガラス天板のような状態になる |
内側のディスプレイ部の上部には、Webカメラのまわりに、小さくて見えづらいが、アレイマイク、輝度調整用の調光センサなども設置されていた |
この特徴的なディスプレイを活用する表示方法には4つのモードがあり、内側のディスプレイのみを利用する「ノートパソコンモード」、ディスプレイを閉じて天板部分のタッチ対応ディスプレイを利用する「タブレットモード」、2つのディスプレイに同じ内容を表示する「ミラーモード」、2つのディスプレイにそれぞれ違う内容を表示させる「デュアルスクリーンモード」を切り替えて利用することになる。
切り替えには、独自のホーム画面「TAICHI HOME」で、4つのモードをボタン1つで切り替えることができる。TAICHI HOMEは、Windows 8標準のメトロとは別に用意されたホーム画面で、キーボード上に設置されたTAICHIボタンを押すことで呼び出せ、ディスプレイのモード切り替えのほか、TAICHIに最適化された各種アプリ類やクラウドサービスへアクセスできるなど、独自サービスを利用することができるものだ。
メトロ風だが、メトロとは異なるもうひとつの独自ホーム画面「TAICHI HOME」 |
「TAICHI HOME」の右上にあるのがモード切り替えのアイコンで、TAICHIボタンを押すごとに切り替えができる |
Jonney Shih会長は記者発表会の中で、同機を「PCとタブレットを融合させるもの」と説明している。TAICHI HOMEのボタンのデザインにも採用されているTAICHIのアイコンロゴは、Shih会長によれば台湾の"太極"の図柄をモチーフにしているといい、この太極とは、「パーフェクトなバランス、調和を意味している」のだそうだ。TAICHI(タイチ)というモデル名も、"太極"がその語源となっている。
ほかTAICHIの主な仕様もまとめておくと、CPUはIntel Core i7-3517U(1.9GHz/Turbo時3.0GHz)、チップセットがMobile Intel QS77 Express、グラフィックスがIntel HD Graphics 4000(CPU内蔵)、メモリがPC3-12800 DDR3 4GB、ストレージが256GB SSD、ディスプレイは11.6型ワイドフルHDIPS液晶(1,920×1,080ドット)×2、OSはWindows 8 64bit。
インタフェースは、USB 3.0×2、mini-VGA×1、microHDMI×1、IEEE802.11a/b/g/n対応無線LAN、10BASE-T/100BASE-TX対応有線LAN、Bluetooth 4.0、マイク/ヘッドホンコンボジャック×1、メモリースロット(SDメモリーカード対応)、Webカメラ(イン:92万画素、アウト:500万画素)など。イーサネットアダプターと専用のEMRペンが標準で付属する。バッテリ駆動時間は約5.2時間。本体サイズと重量は、W306.6×199.3×3~17.4mm、約1.25kg。
発売日は12月8日で、店頭予想価格は139,800円。