デルは23日、ディスプレイ回転式のコンバーチブルUltrabook「XPS 12」やビジネス向けタブレット「Latitude 10」などのWindows 8搭載PCの発表にあたり、記者説明会を開催した。会場にはUltrabookを推し進めるインテル、Windows 8の発売を目前に控えたマイクロソフトからもゲストが登壇。中心製品となる「XPS 12」については、「回転型こそコンバーチブルの本命」と自信を見せた。

「XPS 12」はコンシューマ向けの切り札

マーケティング統括本部 統括本部長の原田洋次氏

最初に登壇したデル マーケティング統括本部 統括本部長の原田洋次氏は、新製品の「XPS 12」を手に、「本日は満を持して、すばらしい製品を発表します」と話を切り出した。発表の新製品がWindows 8搭載製品であるということで、「Windows 8についてはまだ細かくは話せないのですが」としながらも、「基本はタッチで、操作性とスピードを改善しているWindows 8の登場に際して、コンシューマ向けを中心に、法人向けにも、革新的な製品を用意しました」と自信を見せた。

原田氏の話は、今回の新製品についてというよりもその背景となる部分から始まった。まず、「個人向けと企業向けの垣根があいまいになっている」といい、そのひとつのあらわれとして「BYOD(Bring Your Own Device)」というキーワードを取り上げた。デルはグローバルでこのBYODのトレンドに注力しているといい、ユーザーが使うクライアントPCだけでなく、バックグラウンドのストレージやサーバー、ソフトウェアまでのすべてを供給するEnd to Endの取り組みを行なっているという。

そのデルのPCの製品ポートフォリオは、これまで同様にプレミアムPCの「XPS」、エンターテイメントを中心としたメインストリームの「Inspiron」、ゲーミングPCのALIENWAREという個人向けのラインナップと、大規模法人向けの「Latitude」「Optiplex」、SMB向けの「Vostro」、ワークステーションの「Precision」という法人向けラインナップという構成であるのは従来どおり。しかしBYODとコンシューマライゼーションによって個人向け・法人向けの垣根が低くなっており、「XPS」のノートPCで法人需要もカバーするようになっているという。

BYODというトレンド

デルのPC製品ポートフォリオ

とくに、春に発売したUltrabookの「XPS 13」は企業顧客が半分を占めるとのことで、数百台規模の受注などもあるとのことだった。

そして話題は新製品にうつる。最大の注目製品となる「XPS 12」については、「コンシューマ向けの切り札」と表現。ディスプレイが回転してUltrabookがタブレットになるという仕組みについて、「キーボードのジャマをしない」「非常に使いやすい」と、一般的なコンバーチブル機との違いをアピールした。また、法人向けのタブレット「Latitude 10」についても、やはり「満を持して」の製品だと紹介する。「法人向けタブレット市場については、『自信を持って出せる製品が作れるまで本腰を入れられない』と話をしたこともあった」といい、「今回は自信を持って、Windows 8とともに法人向けタブレット市場に参入します」と宣言した。

新製品の目玉、「XPS 12」

「XPS 12」以外にも多数の個人向け製品が発表された

そしてもうひとつの目玉、法人向けの「Latitude 10」

原田氏は「法人向けタブレットの市場は大きいが、いまのシステムとの親和性やセキュリティという面でWindows 8が出るまでみな足踏みしていたところがある」とも言い、「Latibude 10」がこの市場に最適な製品であると語った。なお法人向けのUltrabook、タッチ対応一体型デスクトップも近日に発表するとのこと。

「今後はUltrabookコンバーチブルにフォーカスしていく」インテル 山本氏

インテル マーケティング本部 本部長の山本専氏

インテルからゲストとして参加したインテル マーケティング本部 本部長の山本専氏は、Ultrabookについて語った。「2011年6月にUlrabookのコンセプトを発表して1年半、実際に製品が出てからは1年が経った。2012年はUltrabookにはじまり、Ultrabookに終わる、キーになる1年。これまで、小さくて薄くて軽いという点に注目されてきたUltrabookだが、Windows 8の登場により、さらに魅力的な製品が出てくるはず」と期待を見せた。

2012年はUltrabookにはじまり、Ultrabookに終わるというインテル

その中でも、「Ultrabookコンバーチブル」という製品カテゴリは、妥協のない製品カテゴリだという。タブレットの用途である「観る・聞く」、従来型ノートPCの「生産性」という2製品のいいところを妥協なくとったものがUltrabookコンバーチブル。インテルでは今後、Ultrabookコンバーチブルにフォーカスしてプロモーションを展開するとした。

そのインテルにとって、デルはUltrabookを展開するうえで「いっしょに市場を作ってきた」パートナーだという。デルの最初のUltrabookである「XPS 13」が発表されてから7カ月の間に多数のUltrabook製品をリリースしたことについて、「感慨深い」と表現した。

今後のプロモーションはUltrabookコンバーチブルに注力する

デルはここまでにさまざまなUltrabookを作ってきた

そしてUlrabookはさらに革新を続けていくという。センサー、音声認識、長時間のバッテリ駆動、セキュリティなどを投入し、より使いやすい製品作りをしていくうえで、デルのようなパートナーが必要であり、より強固なパートナーシップを結んでいきたいと締めくくった。

デルのようなパートナーとともに、Ultrabookのプラットフォームをさらに広げていくという

「Windows 8は大きなマイルストーン」 日本マイクロソフト 金古氏

日本マイクロソフト 業務執行役員 コンシューマー&パートナーグループ OEM統括本部長 金古毅氏

続いては、日本マイクロソフトから業務執行役員 コンシューマー&パートナーグループ OEM統括本部長 金古毅氏が登壇。金古氏は4日後に控えたWindows 8発売について、「今年度われわれはいくつか大きな製品ローンチを迎えているが、Windows 8は大きなマイルストーンとして特別な思いがある」という。

Windows 8の特徴のひとつである「タッチ」について、Windows 7の時代からマイクロソフトとデルは共同で、金古氏自身も携わって案件の発掘などを行なってきたという。その集大成となる「XPS 12」「Latitude 10」といった製品がWindows 8とともに発表されることについて同氏は、「感慨無量で本日を迎えた」と語った。

最後に金古氏は「Windows 8でデルとともに市場を開拓していきたい。われわれはWindows 8に触れる機会を提供していくので、ぜひためしてみてほしい。デルとともに、国内IT市場の活性化、新しいITの使い方を提案していきたい」とのことだった。

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