日本ヒューレット・パッカードは18日、法人向けのWindows 8搭載10.1型タブレット「HP ElitePad 900」の発表会を開催。日本マイクロソフトの代表執行役社長、樋口泰行氏がゲストとして大いに語るなど、Windows 8への盛り上がりを感じさせた。

HP ElitePad 900

ITベンダーとして生き残りをかける

日本ヒューレット・パッカード 取締役 副社長執行役員 プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括 岡隆史氏

発表会の冒頭では、日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)の取締役 副社長執行役員 プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括、岡隆史氏がスピーチ。企業向けとしてWindows 8搭載タブレットをリリースする背景や、タブレット端末における市場動向などを述べた。

キーワードは「コンシューマリゼーション」。個人用途で普及しているスマートフォンやタブレットは、インターネットが手の中で使えて、付随したサービスとアプリも増えている。そこで「これは仕事にも使える」と広がりを見せており、仕事に必要とされるデバイスも多様化。また、国交省のデータによると、仕事全体の約2割が屋外や外出先で行われており、業務の分散化や在宅勤務なども含めて、仕事はどこでもできるものへと変わってきているという。

個人ツールとしてのスマートフォンやタブレットを仕事で使うにあたっては、ユーザーニーズと企業ITのギャップが目立ってきている。簡単に言えば、ユーザーニーズは簡単や快適、企業ITはコストやセキュリティといったところだ。しかし、今のままではコントロールが難しく、個人個人がセキュリティホールになってしまう危険性がある。岡氏は「IT部門は綱渡りではないか」とし、日本HPからの1つの答えとして、ビジネスという視点でハードウェアも機能も設計した「HP ElitePad 900」を提案するとした。

「企業のシステム、クライアントデバイスは、時代とニーズに合わせて進化、提供していかなければならない。ITベンダーとして生き残りをかける」(岡氏)

クライアントコンピューティングのトレンド

モバイル&コンシューマリゼーション

ユーザーニーズと企業ITのギャップ

クライアントコンピューティングの変化

日本HPが考えるビジネスタブレット

日本HPのモバイルソリューション展開

個人でも買える?

日本HP プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括 クライアントソリューション本部 本部長、九嶋俊一氏

続いて、日本HPのプリンティング・パーソナルシステムズ事業統括 クライアントソリューション本部 本部長の九嶋俊一氏が、新製品のタブレットとUltrabookを紹介。「HP ElitePad 900」の概要に関しては、別記事「日本HP、厚み9.2mm/重さ約680gでタフ設計の法人向け10.1型Win 8タブレット」を参照いただきたい。

「HP ElitePad 900」には、企業がタブレットに求める仕様をすべて詰め込んだとし、プレミアムデザイン、堅牢性・セキュリティ、操作性・機動性、運用性・管理性という4つのポイントを述べた。

特徴的なところでは、クレードルのような「ジャケット」がユニーク。各種のインタフェース類を備えたジャケット、追加バッテリを備えたジャケット、物理的なキーボードを備えたジャケットなどがある。「HP ElitePad 900」本体をこれらのジャケットに装着することで、拡張性や長時間のバッテリ駆動、キーボードなど、ニーズに応じた使い方ができる。

また、アルミ削り出しのユニボディ、画面を覆う高強度のCorning Gorilla Glass 2、約115,000時間におよぶ耐久性の試験など、堅牢性も強調した。米軍のテスト基準「MIL-STD-810G」もクリアしているという。

「HP ElitePad 900」は法人向けという位置づけではあるが、「個人向けに提供しないことはない。直販サイトなどを含めて、誰でも買えるようにする」(岡氏)という。現状では2013年2月以降の発売予定で価格も未定となっているが、70,000円くらいではないかという見通しが示された。ただ、「タブレット分野は競争が激しく、価格は市場が決めていく。出荷が近くなった段階で決定したい」(岡氏)とのことだ。

これまでにない規模で展開するWindows 8

後半のトークセッションから、日本マイクロソフトの代表執行役 社長、樋口泰行氏が登場。日本HPの岡氏と九嶋氏とともに、「ワークスタイルの変革」や「HP ElitePad 900」、そしてWindows 8について語った。

トークセッションの様子

日本マイクロソフト 代表執行役 社長、樋口泰行氏

特にWindows 8に関しては、「先進的な使い方と従来のUIを持ち合わせた、非常に画期的な新しいOS。これまでのタブレットは"見る"という使い方が多かったが、それでは"生産的な活動"とは言えない。マウス、キーボードを使うことで仕事もクリエイティブになる。いま考えられるソリューションをWindows 8で網羅し、これまでにない規模で展開していく」(樋口氏)と、強くアピールした。

日本HPの岡氏は「製品を投入する分野では世界でNo.1を取るというスタンス。日本でも、企業向けのIT機器という大きなくくりではNo.1を取っている。さまざまなパートナーとソリューションを開発し、タブレットでも日本No.1を目指していく」とした。

日本HPの岡氏と日本マイクロソフトの樋口氏

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