QNX Software Systemsは10月17日、同社の自動車市場向けアプリケーションプラットフォーム「QNX CAR 2」向けに「HTML5 SDK」を発表した。

QNX CAR 2は同社のQNX技術およびエコシステムパートナーの技術を統合したソフトウェアスタックで、車載インフォテイメントシステムの開発速度向上を支援するための、HTML 5のサポートやマルチメディアフレームワーク、音声処理ライブラリなどを搭載している。

また、HTML5 SDKはオープンソースBlackBerry WebWorksフレームワークを拡張したもので、特に自動車環境に対して最適化が行われたものとなっている。

同社ではHTML 5について「ネットワーク時代の将来の自動車に必須のもの」(QNX Managing Director,APAC SalesのKimm Krueger氏)としており、新たにHTML 5 SDKを提供することで、自動車メーカーは最新のコンテンツや機能を活用することが可能となり、自動車に付加価値をつけやすくなるほか、ユーザーエクスペリエンスのカスタマイズやモバイルアプリケーションへの容易なアクセスが可能になるとする。

また、すでにHTML 5を活用する開発者のコミュニティが存在しており、そうしたエンジニアたちが同SDKを活用すると、HTML5、CSS3、JavaScriptをはじめとするオープン規格に基づいた自動車向けアプリケーションの記述、テスト、パッケージ化が可能になるため、容易に自動車分野へ参入することが可能になるとの見方を示しており、そうしたエンジニアや開発企業などに向けて、同社が自動車メーカーに自分たちのアプリケーションを提供する「バーチャル市場」の提供も計画しているという。

さらに同社は、同発表に併せてNVIDIA TegraプロセッサファミリのサポートをQNX CAR 2に追加したことも発表している。

同氏はQNX CAR 2における日本でのビジネスについて「手応えを感じている」としており、自動車メーカーでは主に欧米と同様ハイエンドクラスの車種から採用が進むとの見方を示すほか、アフターマーケットのインフォテイメント機器分野においても、「競争力の確保のためQNXへと移行を進めている」としており、将来的なシェア拡大に対して強気の姿勢を見せる。

なお、HTML5 SDKとバーチャル市場の提供は2013年第1四半期に、認定された開発者向けに提供が開始される予定である。

QNX CAR 2のデモ風景。上段左の画像がシステムの全体構成。左のモニタがダッシュボード部。こちらはOpen GLを用いたものとなっている。右のモニタがHTML 5を用いた画像で、上段右ならびに中段/下段は、同モニタの別画面。HTML 5を用いてさまざまな機能をグラフィカルかつ容易に実装することが可能になる