日本AMDは9月29日、秋葉原で自作PCユーザー向けイベント「秋のAMD祭り ~新世代APU発売(前)記念イベント~」を開催した。同社によるイベント開催はFX以来、約1年ぶり。今回は、まもなく登場する次世代APU「Trinity」がテーマとなっており、マザーボードのベンダー各社も参加。"発売前夜"の気分を盛り上げた。
会場となったのはアキバナビスペース。"パーツショップ通り"に近く、リナカフェ亡き後の自作関連イベントの会場として期待されている |
リナカフェと違い、フリードリンクはないが、そこそこのスペース。会場内にはFM2マザーボードの新モデルが展示されていた |
なんとTrinityのファンレスマシンも紹介されていた。このケースはStreacom製の「FC5 OD」という製品とのことだ |
会場ではAシリーズの刻印が入ったコースターもプレゼントされていた。その場で焼いていたのがちょっと面白い |
会場には、Trinityで初めて採用される新ソケット「Socket FM2」に対応したマザーボード新製品が展示。また、ASUS、ASRock、MSI、AMDの各社は、担当者がプレゼンテーションも行った。その様子もあわせて紹介したい。
TrinityはCPUもGPUも高速化
Trinityは、第1世代の「Llano」に続く第2世代のAPU。すでにモバイル向けでは発売されていたが、今回、初めてデスクトップ向けに登場することになる。
ブランドは引き続きAシリーズを採用。Trinityでは最上位にA10シリーズが新たに追加されており、ラインナップとしては、「A10-5800K」「A10-5700」「A8-5600K」「A8-5500」「A6-5400K」「A4-5300」の6モデルが明らかになっている。このうち、「K」が付くのは従来通り、内部倍率可変の"Black Edition"となる。
製造プロセスは従来と同じ32nmであるものの、CPUコアは「Piledriver」に、GPUコアは「Radeon HD 7000」にそれぞれ変更された。アーキテクチャについては、Turbo Core機能の進化、DisplayPort 1.2やEyefinityの新サポートといった注目点はあるが、ユーザーが最も気になるのは、性能がどれだけ向上したのか、というところだろう。
AMDのプレゼンを担当したのは同社の森本竜英氏。Trinityのパフォーマンスについて、森本氏は「CPUは25%、GPUは40%性能が向上している」と説明。さらに「この数字は"最大"ではなく、かなりコンサバな数字。実際はこれ以上も期待できる」と続け、強気な姿勢を見せた。なお省電力性も向上しており、ワット性能は2倍になっているという。
しかしその一方で、ソケットの互換性は無くなった。FM2の新CPUはこれまでのFM1のマザーボードでは使えないし、その逆も同じだ。
同社は、AM系のソケットでは長らく、互換性を重視する戦略を取ってきた。しかしFM系では互換性が途絶え、FM1のユーザーはマザーボードごと買い直す必要があるが、森本氏は「ソケットはどうしても変える必要があった」と釈明。短命になってしまったことを詫びつつ、「FM2はTrinityの先の世代でも使い続ける」として理解を求めた。
チップセットは、従来のA75/A55に加え、最上位にA85Xが追加された。だが、A75との主な違いは、CrossFireXのサポート、SATA3.0ポート数の増加(6→8)くらいで、それほど大きくない。Trinityはそもそもハイエンド向けのプラットフォームではないということもあり、「A75あたりがベストバランスだと思っている」(森本氏)とのことだ。
さて、肝心の発売日についてだが、AMDからはまだ公式なアナウンスがない。しかしMSIはイベントの中で、自社のマザーボード製品に関し「10月2日(火)の発売予定」と公表。もちろん、CPUが同時に発売されるとは限らないが、普通に考えれば、この日が"Xデー"である可能性が高い。ショップ側の情報に注意したい。
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