9月11日、東京・上野の国立科学博物館にて、平成24年度の重要科学技術史資料(愛称:未来技術遺産)の登録証授与式が行われた。登録された未来技術遺産は、国立科学博物館で展示(パネル展示)されるので、ぜひ訪れてみてほしい。そこには、ニッポンの物づくりの魂がある!

未来技術遺産の展示期間は、2012年9月11日(火)から2012年11月4日(日)まで。場所は国立科学博物館の上野本館で、入館料は一般/大学生が600円、高校生以下は無料だ。なお、今回の展示は通常の入館料で閲覧できるが、特別展示の閲覧には別途料金が発生する場合がある。詳しくは国立科学博物館のWebサイトで確認いただきたい。

国立科学博物館(写真左)。入り口にはSLの展示も(写真右)

さて、去る9月4日に『カシオのデジタルカメラ「QV-10」が国立科学博物館の未来技術遺産に』という記事を掲載したが、そこから引用すると、重要科学技術史資料(未来技術遺産)は独立行政法人国立科学博物館が平成20年度から実施している登録制度。

「科学技術の発達史上重要な成果を示し、次世代に継承していく上で重要な意義を持つ科学技術史資料」、および「国民生活、経済、社会、文化の在り方に顕著な影響を与えた科学技術史資料」の保存と活用を図る、ということを目的としている。今回の登録は、通算の登録番号で「第00093号」から「第00113号」の21件だ。

国立科学博物館の館長、近藤信司氏

登録証の授与式には、登録を受けた各企業の代表者、21名が出席。国立科学博物館の館長、近藤信司氏が、未来技術遺産の目的や意義、祝辞などを述べたのち、登録証と記念盾の授与、記念撮影が行われた。

近藤氏「近年、技術革新や産業構造の変化により、科学技術の発展価値を示す重要な資料が失われている。それらの資料には大型のものもあり、所在する場所で保存することが現実的、適切であることも少なくない。また、博物館でこうした資料をすべて収集、保存することには様々な問題もある。

そうした点を踏まえ、当館(国立科学博物館)では産業技術資料を中心に、所在場所での効果的な保存につながる資料の登録制度を創設した。未来につながる技術という趣旨で『未来技術遺産』と呼んでいる。当館でのパネル展示やWebサイトでの公開など、広く情報を提供し、今後も継続してこの登録作業を進めていく」

日本コロムビア「国産初のLPレコード」

日本ペイント「国産電着塗装第1号車と共に塗装されたカーモデル」

カシオ計算機「液晶デジタルカメラ QV-10」

未来技術遺産の登録証と記念プレートの授与式。写真右はカシオ計算機 執行役員 QV事業部長 中山仁氏。中山氏のインタビューはこちら

今回の登録された未来技術遺産の概要は下表の通り。

登録番号 所有者 概要
第00093号 東洋製罐 日本で最初期に使われた自動製缶装置
第00094号 住友ゴム工業 国産第1号の自動車タイヤ
第00095号 下関三井化学 世界最初期のクロード法アンモニア合成装置
第00096号 ヤンマー 実用となる世界初の小形ディーゼルエンジン
第00097号 日本コロムビア 国産初の塩化ビニル製LPレコード
第00098号 東邦チタニウム チタン製造の草創期から活躍した品質評価装置
第00099号 日立製作所中央研究所 現存最古のパラメトロンコンピュータ
第00100号 福岡運輸 復元された国産第1号冷凍車
第00101号 日立アプライアンス 現存最古の全自動洗濯機
第00102号 日本ペイント 国産初の自動車用の電着塗装
第00103号 日本コンラックス 国産初の飲料用自動販売機の検銭機
第00104号 独立行政法人産業技術総合研究所 世界初の作業用ハンド・アイ・システム
第00105号 日本電信電話(情報ネットワーク総合研究所) 世界初の自動車電話用電子交換機
第00106号 光洋産業 世界初の木材用非ホルマリン系接着剤
第00107号 シャープ 世界初の液晶電卓
第00108号 秀工社 世界初の完全無冷却技術
第00109号 ソニー 世界を席巻したウォークマンの第1号機
第00110号 横河電機 世界初の分散制御システム
第00111号 NTTドコモ 日本初の自動車電話
第00112号 東芝メディカルシステムズ 世界初のヘリカルスキャンCT
第00113号 カシオ計算機 デジタルカメラ普及の先駆け

パネル展示(クリックで拡大とスライドショー)