よく喫茶店で仕事をする。モバイル端末にBluetoothキーボードを連携させて記事の執筆を行うのが常である。ところが先日、仕事をしていて気になることが起こった。電波が混線しているようなのだ。Bluetoothキーボードが暴走し、同じ文字を大量に打ち続けたり、BackSpaceを連発したりと手がつけられない状態に陥った。周りを見渡したら、スマートフォンやモバイルPCで通信を行っている人が異様に多い。これでは無理もないと思った。

それからというもの、時代に逆行するように有線のキーボードを探し始めた。PC用途のものではなく、モバイル仕様のコンパクトな製品が欲しかった。そんな折りに見つけた、SoftBank SELECTIONの「Wired Keyboard for Android(SB-KB06ーWUSB)」は、まさに筆者の要求に合致するものだった。

SoftBank SELECTIONの「Wired Keyboard for Android(SB-KB06ーWUSB)」

製品には専用micro USBケーブルと専用ポーチが同梱される

キーボード本体は薄くて軽い印象。これなら持ち運びも苦にならない

本製品は、スマートフォンから電源を供給するタイプの有線キーボードである。USBホスト機能をもつAndroid端末とmicro USBケーブルで接続して使用する。キーボード本体のサイズは約244×113×17mm、重さは約205g。キーピッチ(キーとキーの間隔)は約15.8mmで、モバイルキーボードにしては広い方と言えるだろう。キーストローク(キーボードが押し込まれる深さ)は約2mm。キータイプはパンタグラフ方式を採用している。

脇にmicro USB(Bタイプ)ポートを備える

電源供給時とCaps Lockオン時には青いインジケーターが点灯する(写真左)。スマートフォンを立てかけられるスタンドが内蔵されている

キーピッチは充分な広さが確保されている。タッチの感触も大変良く、長時間使用しても疲れない

キーストロークは約2mm。パンタグラフ方式を採用しているので、タッチの感触にこだわりのある人も満足できるだろう

便利なホットキーを複数備えているのが本製品の特長。切り取り・コピー・貼り付けやテキストの全選択など文書作成時に重宝するものに加え、音楽プレイヤーと連動して楽曲の再生 / 一時停止、停止、早送り、巻き戻し、音量調整などの操作をボタンにより行える。

「Select All」「Select Left」「Select Right」「切り取り」「コピー」「ペースト」(写真左)、「巻き戻し」「再生 / 一時停止」「停止」「早送り」「音量調節」などのホットキーが並ぶ

実際の使い心地は?

実際に使ってみると導入が非常に簡単で、思わず嬉しくなった。これまで筆者が使用していたBluetooth製品では、使用する度にペアリングを確立させ、おまけに専用アプリを起動させる必要があった。しかし本製品では、モバイル端末とケーブル接続した直後から利用可能になるのだ。キーは打ちやすく、文字入力の精度も高い。本稿を執筆するために数時間利用してみたが、タイプミスはほとんど起こらなかった。キーボードの電池残量を気にする必要がない、というのも精神衛生上良い。スマートフォンの電池の減り方は、Bluetooth製品を使用しているときよりも緩やかに感じられた。

不満点も、ないことはない。スタンドにスマートフォンを立て掛けるとディスプレイ下部がタップしづらくなる点は残念に感じた。ではなぜ、ディスプレイ下部をタップする必要が出てくるのか。それは、本キーボードに日本語←→半角英数字の切り替えボタンがないからだ。そのため文書作成中に文字入力を切り替えるには、日本語入力アプリの切り替えボタンのタップが必要になってくる。しかしそのボタンは、たいていディスプレイ下部に配置されているというわけだ。

日本語 / 半角英数字の切り替えボタンをタップするときは、指先で操作しなければならない。爪が伸びているとタップできない

搭載されているホットキーは非常に便利なのだが、一部のIMEでは日本語入力中に「文字選択」「切り取り」「貼り付け」などの機能を使用することができなかった。また、ホットキーに割り当てられている「.com」の入力が行えるボタンには、必要性をまったく感じなかった。.comボタンの代わりに日本語 / 半角英数字の切り替えボタンがあったら良かったのに、と思わずにはいられない。

本製品でいくつか日本語入力アプリを試してみた。筆者の環境では「FSKAREN」(富士ソフト製)が使いやすかった。このIMEでは、日本語入力中にも「文字選択」「切り取り」「コピー」など全てのホットキーの利用が可能だった。また、キーボード上で「Ctrl+C」「Ctrl+V」などのショートカットコマンドも利用できた。そして、Shiftキーを押しながら方向キーを押すことによる文字選択も可能だった。これら一連の操作ができるのであれば、作業効率は格段に上がる。ひいてはモバイル環境でもPCと遜色のないレベルで、文書の作成が行えるようになるだろう。

「.com」キーは要らなかった(写真左)。本製品の魅力は、日本語入力アプリに依存するところも大きい。キーボードの力を最大限に引き出してくれるアプリを探してほしい

USBホスト機能をもつAndroid端末が増えてきたことで、周辺機器を取り扱うメーカー側も提供する製品の幅が広がってきたように思う。引き続き、今後の市場の動きに目を見張りたい。SoftBank SELECTIONが有線のキーボードを出したのも、そんな事情があったのだろう。筆者にとっては、まさにタイムリーな製品だった。

(記事提供: AndroWire編集部)