Samsung SSDに詰め込まれたこだわりの技術とポリシーとは?

NANDフラッシュ/コントローラ/DRAMを自社でまかなえる唯一の企業

製品としてのSSDを構成する主要なパーツは、データを保存するNANDフラッシュ、書き込みや読み出しの制御を行うコントローラ、キャッシュ用DRAMなどだ。ほとんどのSSDメーカーは、NANDフラッシュとコントローラ、キャッシュ用DRAMを別々のメーカーから購入し、自社で組み合わせることでSSDを製造している。対してサムスンは、NANDフラッシュ、コントローラ、DRAMのすべてを、自社で製造している世界で唯一のSSDメーカーなのだ。Samsung SSD 830のパフォーマンスや信頼性の高さの秘密はここにある。自社製NANDフラッシュの特性を熟知したSamsungだからこそ、その性能をフルに引き出す専用コントローラの設計が可能であり、高いパフォーマンスを実現できるのだ。

―― Samsung製SSDのアピールポイントとして、主要パーツがすべて自社製ということがあると思います。NANDフラッシュとコントローラ、DRAMをすべて自社でまかなえるのはサムスンしかありませんよね。

岡田氏「部品としてのNANDフラッシュ、コントローラ、キャッシュ用DRAMの設計と生産、さらにSSDのアセンブリやテストまで、すべてサムスンで行っています。

実はSSDを世界で初めて商品化したのはサムスンで、ここ9年間世界トップシェアを続けています。サムスンの主力顧客はPCやサーバーメーカーですが、これら顧客の厳しい仕様や品質要求を満たすためにも、すべて自社でまかなっているワケです。ですから、メーカー公表値のトップスピードスペック値だけでは言い表せない部分がたくさんあります。

例えば、ある雑誌で行われたベンチマーク評価では、長期間使っても他社製品に比べてもっとも速度が落ちにくいという評価をいただいております。我々のコントローラは、我々のNANDフラッシュ専用にチューニングされており、コントローラの中のアルゴリズムが効いているからなのです。

また、NANDフラッシュは、プロセスルールがシュリンクされていくにつれ、信頼性を確保するのが難しくなってきています。読み出そうとしたらデータが化けてしまうというのが一番の問題ですが、それを化けさせないようにするための方法があります。我々はどういう条件なら、どれだけ化けるというテストを行っていますが、それらすべてのテスト結果をコントローラにフィードバックしています。

データ化けを防ぐために一番の近道を通るようにすれば、パフォーマンスの低下が少なくなる。ですから、NANDフラッシュの特性を一番よく知っている我々だからこそ、信頼性を上げられますし、パフォーマンスのオーバーヘッドも最小限にできます」

―― 御社のコントローラの特徴は何でしょうか?

岡田氏「大きく2つの特徴があります。まず1つ目は、我々のコントローラ「MCX」は現在3世代目ですが、お話ししたようなNANDフラッシュとの相性などを含む目に見えないノウハウが蓄積されたものであることです。

2つ目は、ARM9ベースのトリプルコアを採用していることです。通常のコントローラでは、ホストインタフェースとSATAをサポートする部分と、NANDフラッシュにアクセスする部分で合計2つのコアが使われていますが、MCXではNANDフラッシュへのアクセスをランダムとシーケンシャルに分け、計3つのコアを用意しました。このことによって、ランダムアクセス速度が大きく向上しています」

―― SSDの信頼性や寿命についてはいかがでしょうか?

岡田氏「まず、SSDで使用するNANDフラッシュは、生産段階で厳しい選別をしています。市場に出ているNANDフラッシュの型番とは違う型番を採用しています。次に、SSDにアセンブルした後も、全数を低温/高温の環境でNANDフラッシュ全領域のリードライトテストを行っています。このテストには256GBモデル1台当たり2.5時間をかけています。この後、PCでの動作確認を含む3工程を経た合格品のみを市場に出荷しています。

SSDの信頼性を考えるときに我々は、128GBのSSDで1日40GBの書き込みを行っても8年間は使用できるという試算をしています。正規保証期間の3年間には余裕を持って対応できます。信頼性に関しては、ユーザーさんは気にしなくてもいいレベルになっていると思います。むしろHDDのほうが、落として壊れたり、クラッシュしたなどの問題があることを考えると、SSDは駆動部品もなくかなり堅牢にできていますので、耐久性も高いですよね」

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