ハイアール アクア セールスは5月10日、ドラム式洗濯乾燥機「AQW-DJ6000」の記者発表会を開催した。ハイアールと旧・三洋電機の白物家電部門の共同開発第一弾となる製品。6月上旬に発売する。
ハイアール アクア セールスは2012年1月、三洋電機の冷蔵庫事業を行っていたハイアール三洋エレクトリックと、洗濯機事業を行っていた三洋アクアが統合し、販売部門の事業会社として設立された。以降、日本で販売する三洋電機の白物家電を引き継ぐ製品を「AQUA(アクア)」ブランドとして展開することを同年2月に発表しているが、新製品は新生AQUAブランドとして初めて発表されたドラム式洗濯乾燥機の2012年モデル。また、洗濯機として、親会社のハイアールの本拠地である中国・青島で初めて生産、出荷された第1号商品でもある。
ハイアール アクア セールス代表執行取締役社長の中川喜之氏は「4月20日に現地で出荷式を行った。最高峰の技術力に日本人ならではのケアを行うことで、世界一厳しい目を持つ日本の消費者にも満足していただける商品に仕上げた」と、新生ブランドに対する心意気を語った。
同社が今回、特に力を入れたポイントは、"洗い"へのこだわりだ。ハイアール アクア セールスが行った調査によると、消費者の97%が、洗濯機に求める性能として「洗浄力」と回答。また、70%が「落ちにくい汚れを事前に手もみ洗いしている」と答え、特に襟・袖汚れや泥汚れ、黄ばみに対する洗浄力の向上を求める声が多かったという。
そこで今回、ハイアール アクア セールスでは"洗濯板"に着目。同社による調べでは、21.4%が「洗濯板を所持している」と答えたという。同社商品統括部統括部長の森田昌治氏は、「昔ながらの洗濯板は布痛みが少なく、洗浄力が高く手軽に使えることで最注目されている。そこでヨーロッパで生まれたドラム式に日本のお洗濯の原点である"洗濯板"を融合させた」と新商品の開発のポイントを説明した。
具体的には、ドラム槽の内部に洗濯板を模したバッフル(プレート)を3枚配備。ドラムが回転する際に、槽内の洗濯物がバッフルと擦れ合うことにより、洗濯板でこすり洗いをするのと同様の作用を生み出す。
同社によると、この機構により、洗浄力が従来製品比で約2割向上。また、たたき洗いによりパイル地が倒れてしまい、天日干しした際にタオルがゴワついてしまうという従来型のドラム式の欠点も、洗濯板で倒れたパイルを起こしながら洗うことにより解消できるとしている。
三洋電機時代から、ドラム式洗濯乾燥機「AQUA」シリーズといえば、オゾンを利用した洗浄機能が特徴。すすぎ水にマイクロバブル化されたオゾンを注入することで、有機物分解効果の高いオゾン水に変化させ、洗剤では落としにくい皮脂汚れなどをすすぎの工程で分解して洗浄する機能「オゾンすすぎ」や、水を使わず、オゾンを利用して除菌・消臭、軽いシミ汚れなどを分解できる「エアウォッシュα」などの独自機能は、新製品でも引き続き搭載されている。
森田氏は「オゾンは酸素ガスに還元するので、残留せず安全。酸素系の漂白剤と同様の効果があり、クリーニング店などでも使われている。家庭用洗濯機にこの機能を搭載しているのはAQUAだけ」と、独自機能の有用性をアピールした。
また、布の量や質、水温を見分けて最適な運転を行う「ecoモード」による最大16%の消費電力低減や、風呂の残り湯をオゾンで浄化する「アクアループダイレクト」機能利用時は約5Lの水道水で洗濯できるなど、省エネ性能も強化されている。
容量は、洗濯・脱水9kg、乾燥6kg。標準使用水量は、洗濯時約68L、洗濯~乾燥時約70L。消費電力は洗濯時210W、洗濯~乾燥時1,100W。運転音は、洗い時が約29dB、脱水時が約37dB、乾燥時が約37dB。
サイズは、W636×D698×H1,122mm。ボディ幅は596mmで、設置可能防水パンは内寸530mm以上。推定市場価格は20万円前後の予想となっている。
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