Chrome 18の新機能

では、次に新機能を見てみよう。具体的には、以下の新機能が追加された。

  • Canvas 2DでGPUハードウェアアクセラレーションが利用可能となった(Windows、Mac版のみ)
  • 3Dレンダリング技術「SwiftShader」を実装

これらは、すべてWebGLに関わる技術である。ちょっと復習すると、HTML5ではCanvasタグを使い、Webブラウザ上で3D表現が可能になった。そのためのAPIとして使われるのが、WebGLである。第一の特徴は、プラグインなどが不要なことだ(従来、動画再生などにはFlashプラグインが必要であったことを思い浮かべればよい)。Webブラウザの標準機能として、3D描画を行うことができるようになったわけである。

さらに、ハードウェアアクセラレーションをサポートする。これは、PCに搭載されたグラフィックカードのGPUを利用するものである。もともとが描画用のハードウェアチップを使うことで、より高速に描画が可能になるとともに、CPUの使用率を減らすことができる。まずは、Canvas 2DでGPUハードウェアアクセラレーションであるが、これまではCPUが処理をしていたものを、GPUに任せることで、より高速に描画を行うことができる。恩恵としては、Webアプリやゲームなどの動作が、よりなめらかになるとのことだ。

次に、3Dレンダリング技術「SwiftShader」の実装であるが、これはWebGLをスペックの低いPCでも実行可能にするものだ。TransGaming社のソフトウェア3Dレンダリング技術SwiftShaderが採用された。当然なから、ソフトウェア処理を行うので、CPUの負担は高まる。実際に、使用中のPCでどちらが使われるかは、アドレスバーに「chrome://gpu」と入力する(図9)。

図9 chrome://gpu

このようにして、ハードウェアアクセラレーションが行われているかが確認することができる。この新機能により、Windows XPなども古いOS、ややスペックの劣るPCなどでも、とりあえずWebGLを使ったアプリを描画することができるようになる。実際に、Windows XPでは、図10のようになる。

図10 Windows XPでは、Canvasがソフトウェアで処理される

また、新機能ではないが、セキュリティホールは、重要度「高」が3件、「中」が5件、「低」が1件修正された。