自虐的CMで最新版への移行をうながすInternet Explorer
CM(コマーシャルメッセージ)は注目を集め、話題にならなければならない。そう考えたかどうかわからないが、Microsoftが運営するキャンペーンサイトの1つ「The Browser You Loved To Hate」に掲載された動画が話題を醸し出している。サイト名を直訳すると「あなたがかつて嫌っていたブラウザー」となかなか自虐的な内容だ。同サイトにはふたつの動画が掲載されているが、話題になっているのはサイト名と同じタイトルの動画。一分半程度なので、すぐに見終えてしまうが、面倒な方向けに動画の内容をかいつまんで紹介する(図05)。
場所はとあるカウンセリング室。女性カウンセラーを相手に語る男性は、かつて他人のデスクトップからInternet Explorerを削除せずいられない強迫観念に陥っていたという。映像では過去に行ったシーンが次々と映し出され、母親に食ってかかるようにモバイル型コンピューターのデスクトップにあるInternet Explorerのショートカットファイルを削除。続くシーンでは彼女宅に訪れ、誘われているのにもかかわらず、同ショートカットファイルを必至に削除し、彼女はあきれて上着を着てしまう。その後の図書館では他人にInternet Explorerを使うなとわめき立て、警備員に捕まってしまう(図06~09)。
シーンはカウンセラー室に戻り、男性はInternet Explorer 9が登場し、使い勝手も良くなったので過去の症状は起きなくなったと語っている。なんでもカウンセリングの内容はInternet Explorerを削除したくなる強迫観念ではなく、飼い猫との関係だそうだ。カウンセラーが水を向けると、コスプレしたネコを抱き上げ、「彼女はネコじゃない。女性警官だ。名前はカップケーキ」と語る男性を横目にカルテになにかを書き込むカウンセラー。そして男性が「何で書いているの?」とつぶやき、最後に「better browser + cute cat = time to reconsider」というメッセージが出て映像が終了(図10~11)。
直訳すれば「良いブラウザー+かわいいネコ=見直しの時」と男性の現状を表す一文で締めくくったセンスの良いCMだが、ちまたでは自虐的ながらも面白いといった評価が多いようだ。確かにInternet Explorer 6は設計や実装も時代遅れで、同社自身も同バージョンの終了をカウントダウンするサイト「Internet Explorer 6 Countdown」などを立ち上げ、最新版への移行をうながしている。
本CMによってInternet Explorer 9への移行が進むのか効果は定かではないものの、注目を集めることに成功したのは間違いではない。現在Mozilla FirefoxやGoogle Chromeをお使いの方も単なるCMとして、ご覧なってみることをお勧めしたい。
阿久津良和(Cactus)