新機能のパノラマ撮影と高速レスポンスが嬉しいカメラ機能

今回のGalaxy NexusとICSで、最もフィーチャーされていた機能の1つが「カメラ」だといえる。10月中旬に香港で行われた両製品の発表会においても、かなりの時間を割いて同機能のアピールを行っていたほか、ロック解除画面からいきなりカメラを起動できるなど、ICSの数ある機能の中で「カメラ」は最も優遇されているものだと筆者は考えている。では実際、どの程度の能力があるのかをサンプルを交えて簡単に紹介していこう。

クイック起動以外の写真撮影機能については従来と大きく異なるものではないが、Galaxy Nexus+ICSでの新機能としては、動画で1080pの撮影が可能になっていること、そして「パノラマ撮影モード」のサポートが挙げられる。このパノラマ撮影機能は面白く、本体をパノラマの展開方向に向かって動かしていくことで自動的にパノラマ画像を作成してくれるものだ。加速度センサーとジャイロスコープを含む複数のセンサーを搭載しているスマートフォンならではの機能だといえるだろう。サンプルを見ていただけるとわかるが、通常のパノラマ写真のほか、天井の高い公共スペースや超高層建築などの撮影にも応用できる面白いものだ。もしGalaxy Nexusに触れる機会があったら、ぜひトライしてみてほしい。

なおカメラ機能に関する感想だが、パノラマの使い勝手がいいほか、動画の撮影が比較的優秀な一方で、通常の写真の品質についてはやや微妙といった印象を受けた。まず暗所での撮影が苦手なほか(ノイズが多い)、色が偏ったり潰れたりするなど、撮影画像が全体にトイカメラ風の仕上がりになる傾向があった。地図を撮影した写真にもあるように細部を再現できる表現力はあるので、スナップ用写真と割り切りつつ、写真によってはフィルターで適時調整すればある程度好みの画質にできるのではないかと考えられる。また筆者が感心したのはフォーカス速度と連写性能で、カメラを動かしながらシャッターを連打しても撮影が追いついてくるほどだ。あまりにもレスポンスが良く、1回のつもりが2回以上シャッターを切ってしまったことが何度もあった。起動スピードから含めて、この反応の良さは昨今のスマートフォンでは特筆すべきもので、「起動が遅いせいでシャッターチャンスを逃した」といった心配はGalaxy Nexusには不要だ。

10月中旬に香港で行われたGalaxy NexusとICSの発表会では、かなりの時間を割いてカメラ機能のアピールを行っていたため、本稿でもスペースと容量を割いて紹介していこう

スライダーでデジタルズームの調整

パノラマ撮影モードを利用中のところ。ガイドラインが出るほか、きちんと真っ直ぐな方向にカメラが移動できているかを視認できる。速く動かしすぎたり、ガイドラインを大きく外れると警告メッセージが出て撮影が失敗する

写真、動画、パノラマの3つのモードで画角を比較。写真とパノラマモードでは4:3、動画では16:9になる

設定メニューの一部。フラッシュの有無、ホワイトバランス、露出、シーンセレクトの4つの基本メニューがある。フィルターの一種なので、好みで調整するといいだろう

カメラ機能を使って撮影したサンプル

パノラマ写真の作例

720pでの動画撮影サンプル(1) (MOV形式)。 上記サムネイルをクリックすると、ダウンロード画面、または再生画面が開きます

720pでの動画撮影サンプル(2) (mp4形式)

Q1080pでの動画撮影サンプル (mp4形式)

新しいもの好きのパワーユーザーにお勧めの端末

リファレンスモデルという性格上、Galaxy Nexusを通常のAndroidスマートフォンと画一的に扱っていいかは難しいところだが、「つねに最新のOSアップデートが入手できる」「すべてのアプリはGalaxy Nexusをターゲットに作られるため、アプリの互換性や動作問題で悩む必要がない」「パワーユーザーを満足させるだけのパフォーマンスを持つ」といった点で、表題にあるような「新しいもの好きのパワーユーザー」にはうってつけの端末だろう。特にキャリアが販売するNexusシリーズとしては初の日本上陸となるため(リファレンスモデルとしてはすでにNexus Oneの時代から日本に存在する)、「NTTドコモやるじゃん」と思ったユーザーも多いかと考える。

実際にパワーユーザーをうならせるだけのパフォーマンスがあるのかという点だが、試しにAnTuTuでベンチマークをとってみたところ、スコアとしては5104でGalaxy S IIを若干上回る結果となった。Galaxy S IIは1.2GHzのデュアルコアプロセッサと、Galaxy Nexusと同等だが、GPUの違いやその他内部構造の違いがその差に出てきたとみられる。だがS IIは半年前のモデルであり、最新のGalaxy S II LTEでは1.5GHz駆動のデュアルコアプロセッサに強化されている点を考えれば、Galaxy Nexusは決して現時点でのハイエンド端末ではない。さらにネットワークはHSPA+止まりで、日本で発売されるSC-04DのモデルではLTEサポート等が行われておらず、このあたりもS II LTEに対するディスアドバンテージになっている。純粋にパワーを求めるのか、あるいはリファレンス機としてのメリットを享受できるほうを選ぶのか、判断に悩むところだ。

またGalaxy Nexusでは、その性格上から日本のおサイフケータイなどはサポートされないことに注意したい。以前にもレポートで紹介したが、「NFC≠おサイフケータイ」ということを覚えておいたほうがいいだろう。もしおサイフケータイやワンセグのような機能を期待するのであれば、Galaxy Nexus以外の端末を選択することをお勧めする。逆に、Galaxy Nexusの性格を知ってこの端末を選ぶユーザーにとっては、このうえなくメリットのある選択となるはずだ。

AnTuTu v2.4.2でGalaxy Nexusのパフォーマンスを測定

(提供:AndroWire編集部)

関連リンク

Android 4.0搭載「GALAXY NEXUS SC-04D」が12月2日発売 - ドコモ (2011年11月29日)
Android 4.0搭載「GALAXY NEXUS」の事前予約を23日より開始 - ドコモ (2011年11月18日)
Android 4.0搭載スマホ「GALAXY NEXUS SC-04D」が登場 - ドコモ (2011年10月19日)
Galaxy Nexus登場前に、NFCとおサイフケータイの違いを整理 (2011年10月19日)
GALAXY NexusはAndroid 4.0とハイエンド端末の魅力を凝縮したリファレンス機 (2011年10月19日)
NTTドコモ