ストックフォトサービスのiStockphotoと、「EOS学園」や「キヤノンフォトサークル」などを運営するキヤノンマーケティングジャパンによる、コラボレーション撮影講習会イベントのレポート2回目。今回は、前回紹介した一眼レフカメラを使いこなすための講習に続いて行われた、iStockphotoの松岡純平氏による講習を紹介する。内容は、テーマとなっている"食とそのまわりの人々"の撮影に関してと、ストックフォト向けの写真の撮り方についてだ。

iStockphotoへの写真投稿とは

はじめに、ストックフォトサービスについて確認しておこう。ストックフォトサービスは、ロイヤリティフリー(1回の支払いでファイルを複数回使用できる)の写真素材を提供するオンライン画像販売サイトのこと。iStockphotoの場合は、写真やイラストなどの画像ファイル以外にも、ビデオ、オーディオ、そしてフラッシュファイルなどの提供も行われており、数百万を超える世界中のメンバーが利用している。

データを利用するだけではなく、写真などを投稿することで提供する側になれることもiStockphotoの特徴。iStockphotoで写真を取り扱ってもらうためには厳しい審査もあるが、その審査にクリアしてしまえば、世界中の利用者に写真を買ってもらえる可能性があるのだ。

写真の楽しみ方は人それぞれだが、iStockphotoへ投稿することで、自分の写真がどの程度のレベルなのかを確認することができるはず。松岡氏は、そのために必要な知識や写真の撮り方などをレクチャーしてくれた。

iStockphotoの松岡純平氏

"食とそのまわりの人々"に関する写真について

松岡氏の講習会は、"食とそのまわりの人々"というテーマの捉え方から始まった。食べ物は人の生活に密接に関わっているので、いろいろな場面に遭遇する。単に料理や食事をする人を撮影しても構わないが、料理を前にして笑顔を見せる子供を撮影すれば「おいしさ」や「健康」を、一緒に食事をする人を撮影して「ふたりの距離感」を表現できたり、おせち料理やクリスマスの御馳走を撮れば、「お祝いの雰囲気」などを表現することもできる。

スタジオに用意された料理や食材

同じ食卓の構図でも、料理にピントを合わせるか、食べる人に合わせるかでも印象が異なってくるので、撮影時には何を表現したいのかというコンセプトを持つことが大切だ。

カメラはシャッターを押すだけで写真を撮ることができ、その一瞬の偶然性を楽しむことができる。しかし、コンセプトを強く打ち出したい場合は、カメラの設定であったり、モデル、小道具、光、構図などの要素にこだわる必要があり、そうして撮影された作品に偶然性はあり得ない。時間は掛かってしまうが、こうした撮影を行うことで色々な限界が分かるとのこと。イメージ通りの作品が撮れなかったら、次はカメラやレンズを変えてみる、ライティングの種類や向きを変えてみる、もっと自分の腕を磨くなど、次の課題が見えてくるのだ。

ストックフォト向けの写真を撮影するには

ストックフォトは広告などの商業利用として使われることが多いので、写真単体ではなく、コピーなどの文字を配置して利用されるケースが多い。カメラマンはネガティブスペース(被写体の周囲の空間)を視覚効果として使うことが多いが、広告に利用されることを頭に入れ、文字を配置する場所としてのネガティブスペースを確保しておくと利用されやすい写真になるそうだ。

講習会の様子

このように、ストックフォト向けの写真はカメラマンが作り込んで完成させる作品ではなく、デザイナーと協力して広告などを作成するための素材であることを意識すること。自分のために撮影するのなら、被写体に寄って撮影したりセピア調の色合いに調整するのも良いが、トリミングや色合いの調整はデザイナーにも行えるため、手を加える"スキ"を残すことがストックフォトの写真として良いものになるのだ。

また、作り込んだ写真が必ずしも悪い訳ではなく、明確なコンセプトの元に撮影された写真は、デザイナーの手間を軽減することになる。提供した写真に文字(コピー)を貼っただけで広告として成立する完成度なら需要もあるという。

講習会の後は、いよいよ撮影会に

松岡氏の講習会の後は、ランチタイムを挟んでいよいよ撮影会がスタートする。今回のイベントは、iStockphotoとキヤノンフォトサークルの会員同士の交流会を兼ねており、ランチタイムのスタジオでは参加者たちが写真談義に花を咲かせていた。撮影会の模様は、次回のレポートでお伝えする。