アップルストア三里屯の店内の様子

米Apple CEOのティム・クック氏は第3四半期収支報告の会見において、今後力を入れるべき地域として、中国を挙げた。先日にはアジアでは9年ぶりのMacworldとなる「Macworld ASIA BEIJING 2011」も開催。中国には果たしてどれほどの「アップル需要」があるのだろうか……ということで、北京の街を歩いて街中にある「アップル」を探してみた。

熱気溢れるアップルストア

アップルが世界展開する公式店舗であるアップルストアは、すでに中国でも上海・北京・香港・南京に展開されており、今後も増えていきそうな気配だ。北京には現在2店舗が存在するが、その中でも大きな三里屯のストアを訪れてみた。

三里屯のアップルストアは「三里屯ビレッジ」と呼ばれる海外ブランドショップが建ち並ぶ中にある。アップルストアのデザインルールに則ったチタンカラーの外壁とガラス張りのショップだ。

アップルストア三里屯。若者が集まる三里屯ビレッジの中心にある。ガラス張りの階段もアップルストアならではだ

ストア内は人で溢れかえっている。多くの人が展示されているiPhone、iPadを触り、さらに触っている人を取り囲んで見ている状態で身動きできないほどだ

ここにきて驚くのはその人の多さ。ショップ内にはたくさんのテーブルが並び、それぞれにiPhoneやiPad、MacBookなどが並んでいるのだが、どのテーブルも人で埋め尽くされ、さらにその人たちの後ろを人が囲んでいる。たとえば日本のアップルストア銀座もいつも人が多いイメージだが、室内の人口密度で言えば倍近い人で溢れかえっている感じ。その多くは若者だ。

ストアは2フロアに分かれ、2階奥にジーニアスバーがある。そこも順番を待つ人たちがいっぱい。そして暑い。これは北京市内ではどこでも言えることなのだが、あまり冷房が効いていない。そのことも手伝ってかとにかく暑いストア内で、人々の「熱気」を感じることができた。

電脳街に溢れる"苹果"=リンゴ

街中でもiPhoneを使っている人はとても多い。移動に使った地下鉄の車内では、見える範囲に4、5人はiPhoneを使っている人がいる。筆者がiPhoneを使っているのを熱心に見ている人もいる。やはり関心度の高さは本物のようだ。

さて、北京で最も有名な電脳街と言えば中関村。大きなデパートサイズのビルが建ち並ぶ地域だが、その全てが電脳関連で埋め尽くされている北京の秋葉原だ。中に入ると大手メーカーの公式ショップもないわけではないが、そのほとんどがちょっとしたブースを構えたお店、あるいはショーケースだけあってそこに商品を並べ、後ろには日本から取り寄せたであろう中古PCやパーツ、バッタモノのような製品を山積みにした小さなお店ばかり。一昔前のアキバの裏道にあるショップが大集合した感じと言えば良いだろうか。

北京の秋葉原 中関村。この規模のビルが他にも4、5棟ならび、そのどれもがケータイやPC、パーツ類を売っているごちゃまぜの街だ。道ばたでもパーツを売っていたりして人も多い

中はこんな感じでずらりとお店が並ぶ。どこに何が置いてあるか分からない混乱ぶりで、しかも日本語はおろか英語さえ通じない店も少なくない

ここでもアップルに対する関心度は高いようで、どのフロアにも苹果(アップル)店があり、多いところでは1フロアに10店舗以上。内装もそれっぽく木のテーブルに製品を並べてあったり、アクセサリ類が壁にかけられて他のショップよりもおしゃれな感じになっている。そこに置いてあるMacやiPhoneは本物のようだが、周辺機器はニセモノだったりする。中には"Authorized Reseller"の看板を掲げている店もあるのだが、本当にそうなのか区別が付かない状態。おそらくその多くが正規のリセラーではないのではないか。普通はこんな状態になっていたらアップルが黙っていないはずだが、店舗を構えて営業できているということは見て見ぬ振りをしているということなのだろうか。

軒を連ねる"アップルショップ"の数々。最初の2つはかろうじて本物っぽいが、最後のモノなどは店名も「App Store」だし、そもそもアップルマークがニセモノ。この手のお店が、多いところでは1フロアに10店舗以上ある

ショーケースだけの小さなお店にはiPhone/iPadの偽アクセサリがたくさん。iPhone 4用のバンパーは、正規のモノよりたくさんの色が揃っていて1つ15元。アップルマークの付いたBluetoothレシーバーも70元で買えてしまう。もちろんそんな製品は現在、正規のアップル製品としては世の中に存在しない。

中関村でカフェに入ってみると、隣の客が使っていたのはMacBook Airだった。他の場所でもMacBookを使っている人を見かけた。PCで溢れているかと思っていた北京市内だが、確実にアップル化への波は育っているように思える。