NECアクセステクニカから登場した「AtermWR8600N」は、5GHz帯と2.4GHz帯の同時利用に対応した高速無線LANルータだ。Atermシリーズは、高性能かつ安定性の高い無線LANルータとして定評がある。AtermWR8600Nは、2010年2月に登場した「AtermWR8700」から有線LANのギガビットイーサネット対応を省き、USBカメラ対応やホームIPロケーション対応などの新機能が追加された製品であり、コストパフォーマンスが高いことも魅力だ。ここでは、新機能やネットワーク機能を重点的に紹介していく。

左奥が無線LANルータ「AtermWR8600N」、右奥がイーサネットコンバータ「WL300NE-AG」、手前がUSB無線LANアダプタ「WL300NU-AG」

■AtermWR8600Nの主な仕様 [無線LAN] IEEE802.11b/g/n(2.4GHz帯)、IEEE802.11a/n(5GHz帯) [WANポート] 10BASE-T/100BASE-TX×1ポート [有線LANポート] 10BASE-T/100BASE-TX×4ポート [USBポート] USB 2.0×1ポート [本体サイズ/重量] 約W35×D128×H160mm/約0.4kg [店頭予想価格] 10,000円前後

製品ラインナップとしては、ルータ単体モデルのほか、ルータとスティックタイプのUSB無線LANアダプタ「WL300NU-AG」がセットになった「USBスティックセット」、およびイーサネットコンバータ「WL300NE-AG」がセットになった「イーサネットコンバータセット」が用意されている。

「ハイパーロングレンジ」対応で、離れた場所でも高速通信

AtermWR8600Nは、最大転送速度300Mbps(理論値)のIEEE802.11nに対応した無線LANルータであり、高性能アンテナや無線回路を独自の技術で最適化した「ハイパーロングレンジ」対応がウリのひとつだ。11nでは、送受信に複数のアンテナを利用し、同時に複数のストリームを伝送するMIMO技術により、高速化を実現している。他社の無線LANルータは大きめのアンテナが筐体の外部に飛び出し、いかにも速そうな製品も多いが、AtermWR8600Nはアンテナが飛び出さず、すっきりした外観だ。しかし、ハイパーロングレンジにより、アンテナが飛び出している製品と比べても、遜色のない到達距離と安定した通信を実現しているという。

AtermWR8600Nはアンテナを内蔵した本体デザインで、見た目にも実際にも省スペース性が高いことが利点(写真左)。付属スタンドの位置を変えて、横置きも可能だ。右側面には、らくらくスタートボタンとECOボタンがある(写真中央)。背面にはルータ/アクセスポイントモード切替スイッチやUSBポート、イーサネットポート、ブロードバンド接続ポート、ACアダプタ接続コネクタが用意されている(写真右)

そこで実際に、筆者の自宅(2階建ての木造一戸建て)で、AtermWR8600Nの実効転送速度を計測してみた。テストは、ネットワークのTCP転送速度を計測する「PCATTCP」を利用している。

AtermWR8600Nの有線LANポートに接続した富士通の一体型PC「ESPRIMO FH550/3AM」と、AtermWR8600NのUSBスティックセットに付属するUSB無線LANアダプタ「WL300NU-AG」を装着した富士通のノートPC「LIFEBOOK AH77/DW」との間で、転送速度を計測した。2.4GHz帯と5GHz帯、それぞれについて上りと下りを5回ずつテストし、その最高値を採用した。結果は、下の表にまとめた通りである。

2.4GHz帯
(シングルチャネル)
5GHz帯
(デュアルチャネル)
同じ部屋内(距離1.5m程度)
上り 3227.19KB/s 4396.93KB/s
下り 4493.65KB/s 5472.28KB/s
受信強度 58dB 58dB
隣の部屋(距離8m程度)
上り 3097.65KB/s 3345.51KB/s
下り 3465.74KB/s 3619.01KB/s
受信強度 32dB 38dB
2Fの部屋(ルータの真上)
上り 3499.37KB/s 4088.56KB/s
下り 4453.46KB/s 3569.05KB/s
受信強度 43dB 48dB
2Fの部屋(ルータから最も遠い部屋)
上り 3234.03KB/s 2744.74KB/s
下り 3369.22KB/s 3056.81KB/s
受信強度 35dB 30dB

転送速度300Mbps(理論値)を実現するには、チャネルを2つ利用するデュアルチャネルアクセスが必要だが、今回のテストにおいては、2.4GHz帯は電波が混み合っていたためか、デュアルチャネルでの接続ができなかった。しかし、AtermWR8600Nでは、2.4GHz帯に比べて周波数が高く、電波が届きにくいとされる5GHz帯でも、ルータから一番離れた場所でも安定した通信が可能であり、ハイパーロングレンジ対応の効果が感じられた。

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