「Androidを窒息させようとする試みを食い止めることで、われわれは消費者のための競争と選択肢を守ろうとしている。それを今はっきりと伝えることが重要だと考えた」。Androidが直面する特許問題の現状と対策方針について、Googleの最高法務責任者(CLO)であるDavid Drummond氏が公式ブログで語った。
Androidデバイスは現在、39の製造メーカーと231の通信キャリアのパートナーを通じて提供されており、1日に550,000台以上がアクティベートされるほど急速に消費者に浸透している。この成長を支えているのが、メーカーや通信キャリアのモバイルデバイス用ソフトウエア開発の負担を軽減し、最新技術を備えた製品の迅速な市場投入を可能にするAndroidのオープン性だ。しかしながらMicrosoftやOracleなど、複数の企業がAndroidで使用されている技術の特許権を主張し始めており、Androidデバイス・メーカーが特許ライセンス契約を結ぶケースが増加している。
「Androidの成功は、Microsoft、Oracle、Apple、その他の企業による対立勢力が、でっち上げの特許を押し付ける組織的な反Androidキャンペーンも生み出した」(Drummond氏)
昨年末にMicrosoftやApple、Oracle、EMCなどの企業コンソーシアムと見られているCPTN Holdingsが、Novellの一部の知的財産の取得に乗り出した。さらに今年7月にMicrosoftやAppleなどの企業コンソーシアムがNortelの6,000件以上の特許を競売で落札した。当初10億ドル程度と予想されていた落札価格は、最終的に45億ドルの値を付けた。
こうした動きの狙いについてDrummond氏は「Googleに特許を取得させず、全てのAndroidデバイスに15ドルのライセンス料を要求し、(われわれが無料提供している)Androidを携帯メーカーがライセンスするのをWindows Mobileよりも高額にしようと企てている」と指摘する。今日のスマートフォンには有効性が疑われるものも含めると約250,000件の特許が絡むという。「われわれのライバルは、こうした怪しげな特許で税金を取り立て、Androidデバイスを消費者にとって高額なものにしようとしている」とDrummond氏。「特許はイノベーションを促すための仕組みであるのに、最近はそれを阻止するための武器として使用されている」と嘆く。
Androidのライバルの動きを「非競争的な戦略」と見なすGoogleは今後、消費者のための健全な競争の実現を求めていく。CPTN HoldingsのNovell特許取得では、オープンソースソフトウエアに与える影響を懸念して米司法省が介入に乗り出し、合意条件が修正された。この司法省の判断をGoogleは歓迎しており、Nortelの特許落札についても、非競争的な行為を問う同省の調査に協力する。同時に反競争的な脅威に対抗する形で、Google自身の特許ポートフォリオの拡充に努めるという。