App Storeでランキング上位に食い込むには、事前の準備が不可欠だ。iPhone&iPadアプリをリリースする際のプロモーションの重要性や実施に当たっての考え方をアプリヤ代表の椎谷ハレオ氏に伺った。

あなたのアプリの存在は誰もしらないと心得るべき

──App Storeに50万以上ものアプリがあるといわれます。競合が多いなかで、ダウンロード数を伸ばすには何が必要ですか?

アプリヤ代表の椎谷ハレオ氏

簡単に言えば、アプリのリリース後にApp Storeのランキングに食い込むことが必要です。そのためにはプロモーションが必須ですね。

今の仕事に取り組むまで、私は音楽ビジネスに関わってきたんですけれど、どうやって売るかは、アプリも音楽も一緒だと思うんですよ。

今は誰もがCDを出せる時代になりましたが、仮にあなたがバンドを組んで、作ったCDを店頭に置いてもらったとします。けれど、それだけではCDは売れません。お客さんにしてみれば、あなたのバンドの存在すら知らないわけです。全世界で800万タイトルくらいあるんですよ!

プロモーションをしないからCDが売れない。だから、ライブをやって自分たちで手売りをすることになるんです。だったら、CDを出す前になぜプロモーションをしないのか、なぜ事前にファンづくりをしないのかって思えてしまうんですよ。

iPhone/iPadアプリもこれと同じです。単にアプリをリリースしただけなら絶対に売れません。あなたのアプリがApp Storeにあることを誰も知らないんですよ。そのことをよく考えるべきですね。

App Storeランキングをアップさせるために必要なこと

──プロモーションには、イベントの開催や、SNSの活用、メディアへの掲載などいろいろありますが、リリース前に何をすべきでしょうか

リリース前はアプリの期待値を高めておくことが大事。これからリリースするアプリに興味を持ってもらって、ユーザーの期待を膨らませることが必要です。

そのためには、たとえば、リリース前からユーザーにアプリを触れてもらって反応をみるといった方法があります。反応をみてアプリのいいところを伸ばしていく。そして、アプリに対して期待感を持ってくれる人、自分のアプリに興味を持ってくれる人を20人、30人でもいいからリリースの前段階で「ファン」として確保しておくんです。

ファンが得られれば、その人たちは何らかの形でアプリの情報を伝達してくれます。情報の伝播のきっかけが生まれるんですよ。そうすることで、リリース後に初速をつけることができ、App Storeの上位ランクに入れれば、さらに多くの人が興味を持ってくれるようになるわけです。

それと同時にメディアに掲載してもらうことも必須です。リリース後、1週間が経過するまでにiPhone/iPadの専門メディアにアプリが紹介されるかが重要になります。さらには、女性向け媒体やビジネス系媒体などアプリの内容に合った専門媒体に紹介されることも目指すべきです。

ヒットアプリをリリースした方々に、App Store上位ランクインのきっかけをヒアリングすると、ほとんどの人がメディアで取り上げられたからだと話すんですよ。メディアへの露出は必須ですよね。

マイコミジャーナルの姉妹サイト「iPad iPhone Wire」はiPhone/iPadの専門メディアです

──メディアにはアプリの存在を告知する効果があると思いますが、そのほかに何かメリットはありますか?

メディアは信用を背負いながら活動しているので、魅力の少ないアプリをレコメンドすることは、そうそうありません。アプリの内容を噛み砕いてわかりやすく紹介してくれますし、メディアに紹介されたという信頼があると、ダウンロードの後押しをしてくれるんですね。

だからこそ、リリース前にメディアに近寄ったほうがいい。仮にあるメディアから開発中のアプリについての意見をもらえて、その意見に忠実に改善してみたら、相手も好意的になって無料で紹介記事を書いてくれるかもしれません。

場合によってはコストがかかることもあるでしょうが、お金を払ってでも掲載してもらったほうがいい。逆にメディアをひとつも押さえられないなら、そのアプリは出さないほうがいいくらいですよ。

──感覚的にプロモーション費用はどのくらいかけるべきなのでしょうか?

感覚的にですが、開発費以上にプロモーション費用はかかるものだと考えておくべきです。開発費が100万円ならプロモーションには最低100万円かけないとダメだと思っていたほうがいいですね。そのくらいプロモーションは重要です。……つづきを読む