SPEED/STAMINAモード別のパフォーマンスを測定

VAIO Sシリーズで忘れてはならない特徴のひとつが、外付けグラフィックスチップとCPU内蔵グラフィックス機能のどちらを使用するかをユーザーが任意に切り替えられる「パフォーマンススイッチ」だ。

キーボード上部に設けられたパフォーマンススイッチ

スイッチをSPEEDモードにした場合はグラフィックスチップのRadeon HD 6630M、STAMINAモードにした場合はCPU内蔵の「インテル HD グラフィックス 3000」がそれぞれオンになるので、AC電源につながっているときやゲームをプレイするときはSPEEDに、通常のバッテリ駆動時はSTAMINAに切り替えることで、1台のマシンでパフォーマンスと長時間のバッテリ駆動を両立している。スイッチの切り替えに連動してWindowsの電源プラン設定も変更できるので、例えばSPEEDモードの電源プランでスクリーンセーバー起動までの時間を長く設定しておけば、プレゼンテーション開始時にSPEEDモードへ切り替えるだけで、途中でスクリーンセーバー画面に切り替わってしまうといった失敗を防ぐこともできる。

では、それぞれのモードで実際にどれほどのパフォーマンスが得られるのだろうか。まず、モード切り替えによって最も大きく差が付くと考えられるグラフィックス性能をいくつかのソフトで測定してみた。なお、以下のベンチマーク結果はすべて、Core i5-2410M (2.30GHz、TB時最大2.90GHz)、メモリ8GB、SSD 256GB (64GB×4 RAID0)を搭載したVPCSA2AJによる測定値である。Windowsの電源管理機能がスコアに影響を与えるのを防ぐため、電源プランはいずれも「高パフォーマンス」に設定した。

STAMINA SPEED
BIOHAZARD 5 ベンチマーク
ベンチマークテストB (DirectX 10)
1280×720 20.7fps 48.5fps
1920×1080 15.4fps 28.5fps
ファイナルファンタジー XIV
オフィシャルベンチマーク
Low 731 1652
High 378 850
3DMark Vantage 1.0.2
Performanceプリセット
3Dmarks P1987 P3844
Graphics 1569 3187
CPU 9844 10065

SPEEDモード時はSTAMINAモード時のおよそ2倍かそれ以上の描画性能を得られていることがわかる。ファイナルファンタジーXIVはかなりマシンへの負荷の高いゲームだが、解像度がLow設定であれば一応の動作条件を満たすスコアが得られており、モバイルノートとしては良好なグラフィックス性能を持っていることがわかる。今回はSAシリーズで選択できるCPUのうちエントリーモデルにあたるCore i5-2410Mを搭載したマシンだったため、上位のCPUを選択すればソフトによってはさらにスコアが伸びる可能性もある。

また、VAIO SAシリーズに搭載されるCPU内蔵グラフィックス機能は、動画のエンコード支援機能「Quick Sync Video」を利用することができる。対応ソフトの「TMPGEnc Video Mastering Works 5」で、AVCHD対応カメラで撮影した2分間のフルHD動画(1920×1080/60i・約15Mbps)を、720p(1280×720/30p・約4Mbps)のMP4(H.264)形式に圧縮してみたところ、Quick Sync Videoではx264ソフトウェアエンコーダーに比べ約3分の1ほどのスピードで処理が完了した。外出先から動画を誰かに送らなければならないときなどに、素早く容量を圧縮できるのがメリットだ。なお、Quick Sync Videoを利用するときはパフォーマンススイッチをSTAMINA側に設定する必要がある。

STAMINA SPEED
TMPGEnc Video Mastering Works 5
Ver.5.0.6.38
x264 6分24秒 6分22秒
QSV 2分18秒 -

Quick Sync Video機能に対応した「TMPGEnc Video Mastering Works 5」

ここまでのテストで、パフォーマンススイッチの切り替えはCPUの動作速度には特に影響を与えない傾向がわかったが、念のため「CINEBENCH R10」を使用してCPU性能を測定したところ、やはりどちらのモードでも結果に有意な差は見られなかった。

STAMINA SPEED
CINEBENCH R10 32bit Single CPU 4209 (3分30秒) 4227 (3分29秒)
Multiple CPU 9280 (1分35秒) 9193 (1分36秒)
CINEBENCH R10 64bit Single CPU 5221 (2分49秒) 5299 (2分46秒)
Multiple CPU 10972 (1分20秒) 11050 (1分20秒)

そして、VAIO Sシリーズの購入を検討する際、SBシリーズでなくSAシリーズを選びたくなる大きなポイントが、4台のSSDをRAID 0で使用する「クアッドSSD」構成が用意されていることだ。Windows上からは1台のドライブとして見えており、ユーザーがドライブ構成を気にする必要は一切ないが、BIOSセットアップ画面などから確かに4台のSSDが接続されていることが確認できる。大量のファイルの読み込みが必要となるOSやソフトの起動時間はCPUをいくら高速化してもなかなか短縮できないが、ストレージをHDDからSSDに変更することで大きく改善できる余地がある。実際に今回の試用機で電源オフの状態からWindowsの操作が可能になるまでの時間は約20秒と極めて短く、使用の都度Windowsを終了しても起動時間が苦にならない印象だった。

「CrystalDiskMark 3.0.1」でSSD RAIDストレージへの読み書き性能をテストした結果

BIOSセットアップ画面でRAID設定項目の表示をオンにし、RAID設定画面に入ったところ