米カリフォルニア州ロサンゼルスで6月7日(現地時間)よりElectronic Entertainment Expo (E3) 2011が開幕した。開催初日の早朝には、E3会場となったLos Angeles Convention Center (LACC)に隣接するNokia Theaterで、任天堂によるプレスイベントが開催。ここでは3DSの新タイトルの数々のほか、噂の新ハード「Wii U」の概要が発表されている。

<そのほかの【E3 2011】関連記事はこちら>
【E3 2011】新型UIの可能性が感じられたE3、Kinectにちょっぴり先の未来を見た
【E3 2011】E3展示ブースに古今東西を見た、Wii U、クラウド、スマートフォン、そしてオールドゲームまで……
【E3 2011】動画で見る「PlayStation Vita」のローンチタイトル
【E3 2011】ついにNGPこと「PlayStation Vita」の正式名と提供時期・価格が発表 - ソニー

任天堂ファンの集い

3大プラットフォームメーカーのプレスイベントの"トリ"を務める任天堂では、事前に新型ハード発表の噂が出ていたこともあり、イベント会場には開場3時間前から行列ができるほどの盛況となった。プレスイベントということもあり、本来は関係者や報道陣しか会場に入れないわけなのだが、それにもかかわらずの大行列。報道関係者なのか、あるいは任天堂ファンなのかは不明だが、どちらかといえば任天堂ファンのためのイベントといった雰囲気で、海外での任天堂人気を改めて知ることになった。

E3 2011の任天堂プレスイベントの会場となったNokia Theater。会場オープン後のステージには、開幕まで任天堂トリビアが1時間以上表示され続けている

イベントがスタートすると、会場にはゼルダシリーズの主人公「リンク」の映像が出現し、オーケストラ演奏をバックにしたデモ映像が流れ始める。実は観客席の前は仕掛けステージとなっており、地下からはオーケストラのいるステージが演奏とともにせり上がってくる仕組みだ。そして映像はファミコン時代の初代『ゼルダの伝説』のなつかしいドット絵から始まり、最新作のWii版ゼルダまで、ハイライトシーンを交えたイメージ動画となっている。オーケストラの演奏が終了するとスクリーンに「The Legend of Zelda 25th Anniversary」のロゴが出現し、これがゼルダ25周年を祝う演出だったことがわかる。

開幕はオーケストラの演奏でスタート。初代ファミコンの『ゼルダの伝説』から始まり、ゼルダシリーズのなつかしいゲーム画面のハイライトシーンが次々と表示される

オーケストラの演奏の演奏が終了すると「The Legend of Zelda 25th Anniversary」のロゴが出現。そう、ゼルダ発売25周年を祝う演出だったのだ

壇上には、任天堂の宮本茂氏が登場して挨拶。ゼルダ誕生から最新作に至るまでの過程や、こぼれ話を紹介してファンを沸かせた。そしてここではニンテンドー3DS向けの新作や最新リマスタータイトルが「Nintendo eShop」を介して配信されること、Wii版の発売と25周年を記念してゼルダ特製の黄金Wiiリモコンを発売することなどがアナウンスされた。

また、オーケストラ演奏についても触れ、『ゼルダの伝説』における音楽が効果音を含めて特別な意味を持っているとも説明する。そこで25周年を記念し、今年後半にかけて日本を起点とした北米や欧州を含むゼルダ交響楽団の演奏ツアーを開催すると発表した。この詳細は今夏に発表されることになるという。またこれに合わせ、ゼルダのサウンドトラックCDが新たに発売されたことも紹介されている。お馴染みのテーマを含め、ファンは今後の詳報をチェックしてみるといいだろう。

ステージにはゼルダ開発者の宮本茂氏が登場して挨拶。同氏が宝箱を開ける動作をしたり、万歳のポーズをするたびにオーケストラ演奏による豪華な効果音が流れる演出だ

ゼルダ25周年を記念してゼルダ交響楽団ツアーが決定。今年後半にかけて日本をはじめ、北米や欧州など世界各地で演奏会が開催されるという。詳細は夏に発表とのこと

宮本氏に続いて登場したのは社長の岩田聡氏で、まず今回の目玉の発表はプレスイベントの最後になることを公表し、任天堂のゲーム戦略について説明した。ニンテンドー3DSにせよWiiにせよ、任天堂が考えているのは誰がいつどのようにゲームをプレイするのかという点で、そのプレイスタイルに適したハードウェアを提供してきたという。カジュアルゲーマーが多いといわれる任天堂だが、今後はこれをより広く、さらに深いディープな層に向けてもアピールし、すべてのゲーマーに訴えるだけのものを提供していくのが目標だという。続いて登場したNintendo of AmericaプレジデントのReggie Fils-Aime氏が、これらを支える新タイトルの一部について説明を行っている。

社長の岩田聡氏が登場。「新ハードウェアについては後ほど」と予告した後に、任天堂のゲームに対する考え方を説明する

Nintendo of AmericaプレジデントのReggie Fils-Aime氏が製品戦略の詳細を説明

まずは任天堂の定番となっているタイトルのニンテンドー3DS版だ。ローンチ後の伸びの苦戦が一部で伝えられる同ハードだが、その一端はタイトルの不足にもあると思われる。壇上では『マリオカート』『スターフォックス64 3D』『スーパーマリオブラザーズ』『キッドイカロス』(「パルテナの鏡」シリーズ)、『ルイージマンション2』といったタイトルが紹介され、3DSならではの機能を活かしたアレンジが行われている点がアピールされた。

まずはニンテンドー3DSのラインナップ拡充の話から。『マリオカート』のデモ映像が紹介される。ニンテンドー3DS版ならではのフィーチャーも追加されているという

『スターフォックス64 3D』。何より注目は対戦モードや協力モードで、顔写真を登録して相手ユーザーとのプレイを楽しめる仕掛けが用意されている

そのほかのラインナップとして『スーパーマリオブラザーズ』『キッドイカロス』(「パルテナの鏡」シリーズ)、『ルイージマンション2』が紹介される。日本ユーザーとしては、「パルテナの鏡」シリーズの海外人気が高いことに驚く

サードパーティのタイトルも各種ラインナップされている。『バイオハザード(Resident Evil)』『エースコンバット3D』『鉄拳』『メタルギア・ソリッド』など一部を紹介

先ほど任天堂ファンのためのイベントと書いたが、何か発表があるたびに会場中が沸くのも任天堂のイベントの特徴だ。ときには日本人からは予測もつかないタイトルや発表内容で沸くケースも多く、この反応の差が非常に興味深い。また、サードパーティタイトルの数々も発表されたほか、eShop経由のニンテンドー3DSのダウンロードタイトルから2つが無償提供されることなどが発表されており、同ハードの本格立ち上げはこれからスタートといった印象を受けた。

ニンテンドー3DSのeShop (ダウンロード配信サービス)では、新たにVirtual Console経由でファミコン時代の名作をニンテンドー3DSでアレンジした『3D Classics Excitebike (エキサイトバイク)』のほか、『Pokemon (ポケモン)』の配信が開始されている

『ポケモン』はホワイト/ブラックの拡張バージョンが提供され、さらに「Pokedex 3D」(ポケモン図鑑)の提供が行われる。Pokedexでは特殊機能として、撮影した背景とポケモンをスーパーインポーズ合成できるAR的な機能が搭載されている。『エキサイトバイク』と『Pokedex』はともに無料ダウンロードが可能