ついに発表「Wii U」

ひととおりの新作ゲームタイトル発表が終わった後、Fils-Aime氏が新型ハードにつながる発表を始めた。同社がWiiを発表した際、そのネーミングとして「We (私たち)」という言葉と同じ音を持つキーワードを選んだことを紹介し、今回の新ハードではそれに対応する言葉として「You (あなたたち)」を選び、それと同じ音の「U」をつけた「Wii U (ウィーユー)」という製品名にしたことを明かした。

さて話題はいよいよ新型ハードへ。前回据え置きコンソールとして「Wii」を発表した際、そのネーミングに同じ発音の「We (私たち)」という意味を込めたという。そして今回、新ハード発表にあたってはそれに対応する「You (あなたたち)」と同じ音の「U」をつけ、「Wii U (ウィーユー)」という名称にしたとFils-Aime氏

紹介された新ハードは事前に噂されていたように、Wiiのゲームコントローラをそのまま携帯ゲーム機のような形状にしたものだった。ただ、これは「Wii U」の「専用コントローラ」と呼ばれるもので、司令塔となる従来のWii型の本体が存在する。このハードの特徴や性格は、その後に公開されたPR用のトレイラー映像を見ると一目瞭然だ。TVでプレイ中のゲームをそのまま「Wii U」のコントローラ部分で引き継いでプレイしたり、TVと「Wii U」との2画面を使ったゲームプレイ、タッチスクリーンを使ったさまざまな遊び、そしてWii Fitやリモコン、ガンコンなどの各種周辺機器を組み合わせたゲームプレイなど、「Wii U」が単なるゲーム機ではなく、Wiiオプションの1つとしてさまざまな組み合わせが可能なことを示している。

新ハードの形状は噂どおり、Wiiのコントローラをそのまま携帯ゲーム型の筐体としたもの。真ん中に6.2インチの液晶ディスプレイを搭載しており、一見するとコントローラつきのタブレットのように感じる

また、形状からもわかるように昨今盛り上がっているタブレット的な使い方も可能で、フロントカメラを使ってビデオチャットを行ったり、Webブラウザとして利用したりと、さまざまな応用ができることがよくわかる。これらビデオ映像は任天堂のE3公式サイトで確認が可能だ。

実際の使い方や特徴は、任天堂が用意したPR動画を見るのが一番だろう。例えばリビングでゲームで遊んでいたとき、TVをほかの家族にとられたとしても、「Wii U」を使って手元でそのまま同じゲームを続きからプレイすることができる。ふだんは大画面で、それ以外は手元の「Wii U」で……といった使い方だ

壇上には再び岩田氏が登場し、「Wii U」についての説明を行った。専用コントローラは十字キーに4つボタン、2本のアナログスティック、背面のL/Rを含む4つボタンと、ほぼ汎用的なゲームパッドと同等の操作系統を持つ。加えて「Wii U」で特徴的なのは6.2インチのタッチスクリーン、フロント部のカメラとマイク、ステレオスピーカー、加速度センサー/ジャイロスコープと、これ単体で携帯ゲーム機やタブレットとしても機能するような作りになっている。6.2インチのスクリーンに大型の"枠"を搭載した筐体を「携帯ゲーム機」と表現するのも語弊があるが、家庭内でどこでも持ち運んでプレイが可能な携帯ゲーム機とすればしっくりくるだろう。

タブレットだからこんな使い方も可能……という例。タッチペンでお絵描きをしたり、オセロ対戦も可能。オセロは本体を傾けると、オセロのコマがこぼれて再ゲームとなる

TVと「Wii U」の2画面を使うと野球ゲームでこんなことも可能に。例えばTVではバッター視点だが、Wii Uではピッチャーが投球を細かくコントロールしており、見えない部分で駆け引きが可能に

ゴルフゲームではこんなことも可能。「Wii U」をティーグラウンドに見立て(バンカーやフェアウェイでもいい)、ここに表示されたボールを手元のリモコンでショットするという使い方。TV画面にはショットの行方が表示される

「Wii U」自体はさまざまな使い方が考えられるが、任天堂としてはあくまでWiiコンパニオンの1つとして「Wii U」を考えているようだ。例えば「Wii U」の専用コントローラをWiiソフトウェアの補助画面兼特殊コントローラとして活用したり、さまざまなWiiの周辺機器との組み合わせでの利用など、そうした利用例の紹介が中心だからだ。

Wii Fitと組み合わせた例。この場合、TVなしでWii Fitを利用できる

ガンコンと組み合わせた例。ライフルを使ったスナイパーショットが可能

Wiiリモコンの代わりに「Wii U」を利用することで、こんな手裏剣遊びも可能

一方でそれ単体でTVを使わないWiiのゲームプレイが可能だったり、お絵描きやタッチパネルを使ったゲーム、本体の傾き表示に対応したWebブラウジングなど、「Wii U」ならではの特性を活かした使い方も紹介されている。「任天堂の次世代機」「キラーハード」といった印象はないものの、なんとなくいろいろな使い方が想像できそうな面白さを持ったハードだという感触はある。冒頭での岩田氏の「より広くより深く」といった考え方の一部を補完するハードなのかもしれない。

フロントカメラを使ってのビデオチャットも可能

Webブラウザとして利用する

「Wii U」にはTVを制御する機能も搭載されている。リビングでみなが映像を見ている大画面に対し、「Wii U」の映像をとばすことも可能。AppleでいうAirPlayのような機能だ

もちろん、普通のアクションゲーム等のコンソールとしても利用できる。TVと併用した場合、手元には操作パネルやアイテムリストを表示したりと、ニンテンドーDSや3DSの2画面スクリーンのような使い方も可能になる

とはいえ、ハードウェアをスペック面から見ると、「Wii U」は従来のWiiに比べても大きく進化したハードであることは容易に想像がつく。まず前回のリリースから5年近くが経過して半導体技術が2~3世代以上進んでいること、また当時は高価だったセンサー系ハードウェアの利用がこなれてきており、コスト的にもあまり利用に抵抗のあるものではなくなってきたことが挙げられる。

任天堂では詳細なスペックは公表していないものの、プロセッサがマルチコアになり、GPUも含めたWiiとのソフトウェア上位互換性を維持しているなど、内容的にはWiiよりも高性能なマシンとなっている。1080pのフルHD出力に対応し、ローディングメディアは12cmの光学ドライブ、USBも備え、Wiiのすべての周辺機器とソフトウェアを引き継げる。性能面でXbox 360やプレイステーション 3といった同世代のライバルから見劣りすると言われていたWiiだが、「Wii U」ではあえて性能面の強化にはプレスイベントでいっさい触れず、使い方の面を強調するあたりに任天堂の考えが垣間見られる。

「Wii U」の各部の説明。通常の十字キーと4つボタンに2本のアナログスティック、背面のL/Rボタン×2と汎用コントローラと同様の操作体系を持つ。さらに内蔵スピーカーやマイク、フロントカメラを備え、加速度センサーによる傾き検出など、それだけで携帯ゲーム機と同等の機能を持つ

Wiiと「Wii U」を組み合わせたゲーム例。傾き検出機能を持ったコントローラとして利用したり、あるいはサブディスプレイを持ったコントローラの1つとして活用したりと、ゲームによってさまざまな組み合わせが可能。5分割スクリーンによる同時プレイなども可能だ

サードパーティ戦略に強力な味方

プレスイベント終了間際には米Electronic Arts (EA) CEOのJohn Riccitiello氏が登場し、「Wii U」を含む任天堂プラットフォームにゲームタイトルを提供することを発表した。Riccitiello氏によれば、歴史的にEA自身が任天堂向けにゲームタイトルを提供するのは初のことだという。ご存じのようにEAは世界最大のゲームディストリビュータだが、とかくサードパーティのソフトウェアが弱いといわれる任天堂プラットフォームにおいて、最強の味方が到来したことは非常に大きな意味を持つだろう。

米Electronic Arts (EA) CEOのJohn Riccitiello氏が登場し、「Wii U」を含む任天堂プラットフォームにゲームタイトルを提供することを発表。世界最大のゲームディストリビュータであるEAが任天堂プラットフォームにゲームを提供するのは初のことで、とかくサードパーティタイトルが弱いといわれる任天堂にとっては朗報だろう