Optimusによるバッテリライフとパフォーマンスのバランス

当然のことながら、高性能なCPUやGPUを搭載するということは、消費電力の増大を意味する。バッテリ駆動も前提にするノートPCにとって、これは永遠のジレンマだ。このため、15.6型以上のA4フルサイズのカテゴリーでは、「持ち運びできるデスクトップPC」という位置づけにして、バッテリ駆動は「一時的な移動や停電時のバックアップ」的な性能をクリアすればよしとする考え方もある。一般家庭などでの実際の使われ方からすれば、ノートPCの価格が手ごろになっている現在では、この考え方が主流といえるかもしれない。

とはいえ、せっかくならバッテリ駆動でもなるべく長時間使えるようにしたいと思うもの。そういった悩みを持つユーザーに応えるべく、NVIDIAが提案するのが「NVIDIA Optimus Technology」だ。もちろん、この技術はAC電源接続時の省電力化にも貢献できる可能性がある。

この機能はノートPC向けのGPU切替用の技術であり、ユーザーが意識することなくシームレスかつ自動的に処理する点に特徴がある。それほどGPUのパワーを必要としないアプリケーションでは、CPU内蔵のIntel HD Graphicsなどを利用し、ゲームなどの高パフォーマンスを要求される環境では、NVIDIAのGPUに自動的に切り替えるという技術だ。

従来もNVIDIAには同様の技術があったが、GPUの切替を手動で行うなどの制約があった。今回のNZシリーズにも搭載される「NVIDIA Optimus Technology」では、通常はユーザーが意識する必要がない。すべて内部的に自動切替されるため、アプリケーションを起動し直すこともなく、もちろんOSを起動し直す必要もない。バッテリの利用状況と、要求されるパフォーマンスに応じて、自動的に切り替えてくれるので何のストレスもなく利用できる。ASUSTeKやDELLなどを始めとして、採用するベンダーも増えている。

通常はユーザーが操作することはないのだが、必要であれば手動で利用するアプリケーションごとにGPUを設定することも可能だ。「NVIDIAコントロールパネル」を起動して、その中の「グローバル設定」タブまたは「プログラム設定」タブで設定ができる。ここで優先するGPUを指定することで、ユーザーが個別に設定できる。

詳しくはベンチマークテストの結果をご覧いただきたいが、ベンチマークプログラムの実行時に利用するGPUを指定して、テスト結果の違いをみればよくわかる。

ユーザーの負担軽減を図ると同時に、最適なパフォーマンスを引き出してくれる機能であり、NZシリーズの特徴の1つといってもいいだろう。

「グローバル設定」タブでは、通常優先するGPUの指定ができる

「プログラム設定」タブでは、個別のアプリケーションで優先するGPUの指定ができる。通常は自動選択にしておけばよい