日本マイクロソフトは23日、開発者を対象としたイベント「Microsoft Developer Forum 2011」を品川で開催。来日中の米マイクロソフト CEO スティーブ・バルマー氏が講演を行った。

米マイクロソフト CEO スティーブ・バルマー氏

同氏は冒頭、東日本大震災に対するお見舞いの言葉を述べたあと、ITを活用して社会を変革していくこと重要であり、今後は「ナチュナルユーザーインタフェース」、「自然言語処理」、「HTML/Javascript」、「ICチップとフォームファクター」、「クラウド」の5つのキーテクノロジーが人々に「ワォ」という体験をもたらし、コンピュータはより使いやすく、シンプルになるだろうと語った。

バルマー氏が挙げた5つのキーテクノロジー

ナチュナルユーザーインタフェースは、話し方、ジェスチャー、触れる、印をつけるなどをコンピュータデバイスに対して行っていくことだという。これはスマートデバイスが、自分達が仕事を行うように動いたり、自分達が言ったことに対してアクションしていくことで、音声入力や手入力の認識などが含まれるという。そして、講演をPCを使ってメモしている人もいれば、スレートPCを使っている人もいる。また、紙とペンで書いている人もいる。これは、UIが十分にナチュラルになっていないためだとした。

自然言語処理では、識別することが重要で、コンピュータに意図を伝えることによってコントロールすることだという。現在コンピュータにファイルオープンしろ、メールを転送しろと命令しても、それが意味するところまでは理解できない。しかし、自然言語処理では、自分の意思をコンピュータにしっかり伝えることができ、それに対するアクションを得られるようになるという。例えば、検索でいくつかのキーワードを入れると、コンピュータには自分がどこにいるのか、何をしているのかがわかり、それに対応する適切なアクションを提案してくれるという。同氏は、サーチエンジンはこの方向に向かうだろうと述べた上で、Beingは単なるサーチエンジンではなく、自然言語世界をさらに広げるツールだとした。

HTML/Javascriptについては、IE9で大きな投資をしており、今後は多くのエンジニアが精通してくるだろう述べた。そして、クライアントやサーバのアプリを書く際には、.NETだけでなく、HTML/Javascriptを使って開発できるようにしていきたいと語った。

ICチップとフォームファクターでは、チップは小型化やパフォーマンスなどで進展し、フォームファクターを変化させてきたが、今後もデバイスのフォームファクタは変わり続け、電話とスレートの違い、PCの違いが区別できなくなり、PCのような能力を持った小型の電話機が登場してくるようになるだろうとした。

クラウドでは、AzureやOffice365で重要なステップを実現しており、Skypeの買収もその1つだと述べだ。Azureでは、数週間単位で新しい機能が実現されているが、今後できるだけ早く追加していきたい機能が「VMロール」だという。これを使うことによって、Windows Server上の展開されているコードをWindows Azure上に容易に展開できるようになるという。そして、企業は思い切ってクラウドに移行しようとしているわけではないので、クラウドと(オンプレミスの)データセンターとのハイブリッドモデルの環境を整えていくことがクラウド戦略の上で重要になるとした。

さらに同氏は、今後我々はこれら使って何ができるのかを考えなければならないと述べ、分野として、自動化と運用、学習と吸収、分析とアクション、創造とコラボレーション、エンターテインメントとソーシャル、コミュニケーションを挙げた。

キーテクノロジーを実現する分野

自動化と運用では、これまでプログラムを書く際には、コンピュータリソースをどこまで使っているのか、クライアントでどこまで動くのか、サーバでどこまで動くのかなどを考慮しなければならなかったが、同社では今後、プログラミングの自動化、運用の自動化を実現していくという。

学習と吸収と分析ではfacebookとの連携を挙げ、例えば、夕食をどこで食べるかを考えた場合、インターネットでいろいろなことが学習できるが、さらにfacebookを使えば、友人がどう考えるのかも参考にできるなど、友人の意見と世界の知識を連携させることができるとした。

そのほか、分析とアクションではBIやデーウェアハウスの領域での活用、コミュニケーションではSkypeの買収を挙げ、Skypeは、世界でリアルタイムビデオでもっとも人気のあるプロダクトで、リアルタイムコミュニケーションにおいて重要な役割を果たしており、ビジネスとコンシューマー、そして世界を結ぶ上で活用したいと思っていると述べた。また、コミュニケーション変革を推進する上でWindows Phoneも重要だとし、Windows Phoneに関しては、今後どんどん情報を出し、500の新しいフューチャーを搭載し、UIへのデサインのアプローチも変えていくという。

Windows 8は来年登場する?

同氏はWindowsについても言及し、今年は、Windows 7を3億5000万台売る予定だが、Windowsの次期バージョンも手掛けており、来年には登場する予定だ述べた。今年はWindows 8の話がいろいろ出てくるといい、スレート、タブレット、PCなど、いろいろなフォームファクターの展開が期待できるとした。

最後に、同氏は会場内からの質問に答え、マイクロソフトを経営する上での成功の要因は何かという問いに対しては、企業をうまく区分けし、より管理できる単位にしていかなければならない。そして、それぞれが相乗効果を発揮し、各部門が俊敏性を発揮して動けるようにすることだと述べた。

日本マイクロソフト 執行役 デベロッパー&プラットフォーム統括本部長 大場章弘氏(左)とともに会場からの質問に答えるスティーブ・バルマー氏