次世代EVに向けた技術の提案

EVを中心に次世代技術の提案が相次いだ。NTNは電動コミュータ用インホイールモータシステムを出展した。2人乗りの電動コミュータを想定し、インホイールモータをホイール内に収納することで、車両設計自由度を向上させる。また、左右軸の駆動力を独立制御することで、走行性能や旋回性能を飛躍的に向上させる。

NTNの電動コミュータ用インホイールモータシステム

村田製作所は、高速電力線通信(PLC)モジュールを参考出展した。電源ケーブルを介して車内のモニタやAV機器の通信を行うもので、信号用ケーブルが不要となるため車内の省スペース化に貢献する。30.9mm×22.4mm×4.4mmの小型かつノイズ低減部品・技術による高感度なモジュールでPLC機能を実現する。HD-PLC方式とHomePlugAV方式に対応する。実用化に向けた課題としては車載仕様の信頼性がまだ実現できていないため、耐熱・耐湿・耐振動の向上を進めているという。

村田製作所のPLCモジュール

日本精機は、次世代コクピットのデザインコンセプト「Space Vision i3 NS2011 Concept」を出展した。すでにBMW 6series向けに実用化しているヘッドアップディスプレイに加え、インパネディスプレイをプロジェクション方式でダッシュボードに表示する。

また、ハンドルに投影型静電容量式タッチセンサによるタッチアンドジェスチャーパッドを設け、感覚的操作を実現する。さらにスマートフォンとリンクし、スマートフォンの表示を車載ディスプレイに出力する他、スマートフォンを車載スイッチで操作できる。これにより、コクプットデザインの自由度を改善し、運転時の視認性と操作性の向上を図る。2020年頃の実用化を目指しているという。

日本精機の次世代コクピットデザインコンセプト「Space Vision i3 NS2011 Concept」

震災の影響が窺える展示

震災の影響で日本のエネルギー政策の再考が進む可能性がある中で、家庭用電源による充電で電力を消費するEVも無関係ではないため、省エネや創エネに向けた提案も見られた。

三菱化学は有機太陽電池を用いたEVの省エネ提案を模型で紹介した。「有機太陽電池装着EV(OPV EV)」は、有機太陽電池の軽量、形状の自由度といった特性を活かし、自動車のボンネットやルーフ、側面に配置する。変換効率10%の有機太陽電池を5m2配置し、日中の停車中の充電で、年間3260kmの走行が可能という。

また、コンテナ天井部に有機太陽電池を設置した10tトラックの模型も展示。アイドリングストップ時の冷暖房供給による軽油消費を年間約1500l削減可能であり、日本国内すべての10tトラックが同システムを使用した場合、CO2を年間50万t削減できるという。

三菱化学の「OPV EV」模型

本田技研工業は、家庭用ガスエンジンコージェネレーションユニットを参考出展した。都市ガスおよびLPガスを用いて高効率なガスエンジン「EXlink」で発電し、発電時の排熱は排気熱交換機で熱エネルギーに変換し湯沸かし器などに活用するもの。エネルギー利用率は92%で発電出力は1kWとなる。また、CO2排出を都市ガスによる火力発電に比べて39%削減できるという。

本田技研工業の家庭用ガスエンジンコージェネレーションユニット