――他の仮想化環境に対するHyper-Vの優位点があれば教えてください。

高添 : やはり最初に挙げられるのは対応ハードウェアの豊富さでしょう。

Hyper-VはWindows Server 2008 R2と同じ環境で動作します。仮想化技術をサポートしたプロセッサさえ搭載されていれば、大抵のハードウェアで稼動します。そもそも、Windowsと同様、世界中のハードウェアベンダーと一緒になって開発を進めているわけですから、サポートできる環境は必然的に豊富になり、信頼性も高いと言えます。稼働環境を選ばないという点は、低価格なハードウェアを柔軟に購入したいと願う中小企業にとって大きな利点になるのではないでしょうか。

また、仮想化技術を熟知している開発者でなくても簡単に操作できる点も魅力の1つです。Hyper-Vは通常、Windows Server 2008 R2の一機能として利用することになると思うので、仮想化だからといって特別な対応をする必要はありません。

――Hyper-Vに対する中小企業の反応はどうですか。

高添 : 非常に良いです。仮想化技術を使いたいという理由もあってWindows Server 2008 R2を導入するという事例が目立ってきています。既存のWindows Serverのスキルで仮想化技術も活用できるHyper-Vは、多くの管理者にとって扱いやすいソリューションと言えるのだと思います。

また、Windows Server 2008 R2では、ディスクアクセスのパフォーマンスが大幅に向上しました。仮想環境のディスクの管理にはいろんな方法があり、高いパフォーマンスを得る方法もあるのですが、中小企業のご担当者にとって一番管理がしやすい可変長VHDの大幅なパフォーマンス向上は大きい変化でしょう。もし、Hyper-Vは遅いという印象をお持ちの方がいたら、それはWindows Server 2008以前の特定の条件のものです。すでに解消されているので、ぜひとも一度試してみてほしいですね。

さらに先日リリースされたSP1では、メモリ使用量を効率化する" target="_blank">Dynamic Memoryなどの機能も搭載されているので、今後はさらに有効活用していただけると自負しています。

――今後はクラウドという選択肢もあると思いますが、Hyper-Vの担当という立場から中小企業に対して何かアドバイスがあれば教えてください。

高添 : 中小企業のクラウド活用ということを考えると、現在のところ、SaaSが現実的な解と言えるでしょう。すぐに利用を始められるし、管理も必要ない。これは大きなメリットです。

ただし、SaaSは当然ながら、導入する企業のニーズにあったサービスがなければ利用できません。そう考えると、当面は、すべてがクラウドに置き換わるというのは考えづらい状況です。例えば、Active Directoryなどの認証基盤やファイルサーバなどは、近くに置いて活用したほうが良いことも多いので、そう簡単には企業の中から姿を消さないと考えています。

またHyper-V は、パブリックなクラウドでも、大手企業のプライベートなクラウドでも利用されていますので、仮想化もクラウドもうまくご利用いただければよいでしょう。今後は、社内にあるサーバと外部のクラウド を連携させた、ハイブリッドなクラウド環境も視野に入れておく必要があるかもしれません。マイクロソフトでは、そういった環境の構築を支援する製品も順次提供していく予定です。