キーノートの終盤には、WindowsおよびWindows Live担当のプレジデントであるStevin Sinofsky氏が登場し、IE10のCSS3サポート強化のデモを披露した。

デモ映像(m1~m3)はこちら。

まず披露されたのは、フィッシュタンク・デモ。魚を泳がし、HTML5ビデオで水のバックグラウンドを追加、水槽の形に切り取って影や光沢を加える。映像左側がChromeで、映像右側のIE10の方がスムースに動作している(m1)。

次に紹介されたのは、CSS3 Grid Layout、CSS3 Flexible Box Layoutのデモ。ウインドウを縮めると、右のIE10はスムースにモバイル向けのレイアウトに変化。(m2)

5面のHTML5ビデオに3Dエフェクトなどを絡めた複雑なデモで、ハードウエアアクセラレーションの効果をアピール。最初はIE9、続くIE10ではデモの規模が2倍に。(m3)

Sinofsky氏はBorder RadiusのデモにARMプロセッサ搭載のWindowsシステムを用いた。タブレットやスマートフォンで幅広く採用されているARMを、Microsoftは次期Windowsでサポートする。同氏はまた、9月13日-16日にカリフォルニア州アナハイムで大規模な開発者向けカンファレンスを開催することを発表した。そこで次期Windowsの概要が説明される可能性が高い。その世代のInternet ExplorerになるであろうIE10の初のPlatform Previewに、縦長・横長、大小さまざまなウインドウやディスプレイに対応できるCSS3サポート強化が盛り込まれたのは偶然ではなさそうだ。

モバイルデバイスの可能性を広げるネイティブHTML5、米国で発売開始になったばかりというSamsungのモバイルノートSeries 9を見せるSinofsky氏

1GHz動作のARMプロセッサを搭載したWindowsシステムで、IE10のBorder Radiusをデモ

ネットデバイスの多様化が進むほどに、ネイティブアプリからHTML5アプリへのシフトが現実味を増す。HTML5が実用的なフェーズに入れば、さらに加速がつくだろう。Webアプリのパフォーマンスをネイティブアプリに近づけるネイティブHTML5は、それを見越した取り組みと言える。同時にモバイルデバイスから大画面テレビのようなものにまで、多彩なネットデバイスに順応するサイト設計やデザインも必要になる。会場のWeb開発者やWebデザイナーは今回の基調講演を通じて、改めてクロスデバイス、クロスプラットフォームのあり方を考えさせられたと思う。