2月25日に発売されたハンディカム「HDR-CX700V」は、2011春モデルの中でフラッグシップとなるモデル。このCX700Vを短期間だが試用できたのでレポートしよう。

2011年春のハンディカムシリーズはラインアップが一新され、すべてのモデルが内蔵メモリー記録となった。3D対応モデル「HDR-TD10」やプロジェクター搭載「PJ」シリーズなどバリエーションが豊かになった中で、CX700Vはビデオカメラとしての基本機能をしっかり押さえたモデル。それでいて、現在あるハンディカムのあらゆる機能を詰め込み非常に完成度の高いカメラに仕上がっている。

CX700Vは、兄弟機「HDR-CX560V」では省略されたビューファインダーを搭載している。そのほかCX560Vと比べると、ビューファインダーの有無以外は内蔵メモリーの容量が違うだけで、それ以外の機能や仕様に違いはない。内蔵メモリーはCX560Vが64GBなのに対し、CX700Vは96GBとなっている。

CX700Vの撮像素子には、新世代の裏面照射型CMOSセンサー「Exmor R」を搭載。新開発の16:9型のイメージセンサーは、従来の4:3型と比べてアスペクト比16:9での撮影時にイメージサークルを有効に使えるというのがポイント。画素数も総画素数665万画素(有効画素数614万画素)と高精細化。さらに従来搭載している広角対応のGレンズと相まって35mm換算で26.3mmという広角化を実現している。光学ズームは10倍だが、手ブレ補正アクティブモードの有効エリアを効率的に使い、ハイビジョン画質を保ったままズーム倍率を上げる「エクステンデッドズーム」機能を搭載。最大14倍ズームとして機能する。

顔検出機能も強化され、横顔も認識可能となった。また、液晶モニター上でタッチすることで被写体の自動追尾を行う「追尾フォーカス」機能を搭載。より簡単に確実なピント合わせができるようになった。

撮影モードでは従来方式60iと比べ、約2倍の情報量になる60pモードが搭載され、画質も向上。録画モードでは60pのほか、映画と同じ秒24コマで撮影できる24pネイティブ記録モードも搭載された。フィルムのような諧調表現や色合いの設定されるシネマトーンも設定でき、ビデオ作品づくりに有効だろう。こういった作品に不可欠なボケも、開放F値F1.8という明るいレンズと6枚羽の虹彩絞りを採用したGレンズによって、きれいなボケ味を出すことができるようになっている。マニュアルダイヤルには、フォーカス、WBシフト、明るさ、AEシフトに加え、絞りやシャッタースピードが追加され、よりクリエイティブな撮影が可能となった。

ボディーカラーはブラックのみ。表面は梨子地で、高級感あるハーフマット仕上げ

鏡筒はややコンパクトな印象。あまり大きさを感じさせないデザイン

緩やかなカープを描くグリップ。ボディー全体をしっかり包み込むホールドが可能

マニュアルダイヤルは、液晶を閉じた方が操作しやすい

背面は液晶モニターやグリップを鏡筒に融合させた複雑なデザインがポイント

上面はやや直線的なラインになり、なだらかにビューファインダーにつながる

三脚取り付け穴の位置はかなり前方。三脚にセットしたままバッテリー交換ができる

正面液晶オープン時。ヒンジが大きくなり、液晶を開いてもしっかり感がある

液晶側液晶オープン時。ボタン類が少なくすっきりしている

背面液晶オープン時。液晶のベゼルが増したがステレオスピーカーを搭載している