既報のとおり、米NVIDIAから25日(現地時間))、"GF114"の開発コードネームで知られていたDirectX 11対応デスクトップGPUの新モデル「GeForce GTX 560 Ti」が登場した。500世代ではGTX 570、GTX 580に続く高性能クラスのGPUだ。今回は、テスト機材の都合でプレビュー版となってしまうが、その製品概要と実性能の検証をお届けしたい。

今回試す「GeForce GTX 560 Ti」のリファレンスカード

基板裏側はこんな感じ

GTX 460(左)と比べると、基板がほんの少しだけ長かった

GTX 460の後を受け継ぐスペック

まずはGTX 560 Tiのスペックをおさらいしておこう。製造プロセスルールは40nmで、トランジスタ数は19億5千個と、このあたりはGTX 460と変わらない。CUDA Core数(SP数)は384基、Texture Unit数は64基、ROP数は32基で、ここでGTX 460との違いに気付く。以下にGTX 460のブロックダイアグラムを掲載するが、実はGTX 560 Tiもこれの構成は一緒だ。

GPC×2基構成で、SM×1基にCUDA Core×48基を内蔵するGTX 460のブロックダイアグラム。GTX 560 Tiも同じ構成だ

参考までにGF110ことGTX 580/570のブロックダイアグラム。SM×4基でGPC×1基だが、こちらはSM×1基あたりのCUDA Core内蔵数は32基。ただしGPUは4基という構成

NVIDIAの呼称に沿うと、上の図の緑色の■がそれぞれCUDA Coreで、CUDA Core×48基のひとかたまりをSM(Streaming Multiprocessor)とし、SM×4基で同社が"ミニGPU"とも呼ぶ演算ブロックの単位であるGPC(Graphics Processing Clusters)となる。このGPCを2基内蔵する点ではGTX 560 TiとGTX 460は同等だが、他のFermi GPUでも例があったように、GTX 460ではSM×1基分を無効としており、GTX 560 Tiではそれが有効になった。なので、GF114は、GF104(GTX 460)のフルスペック版と言うこともできるだろう。さらに、GF100(GTX 480)がGF110(GTX 580)に改良される際に施された様な、「トランジスタ・レベルの最適化」(同社)が、今回のGF114でも施されていると見られている。

■(参考) デスクトップ向けFermi世代のコードネーム
開発コードネーム モデル名
GF110 GeForce GTX 580
GF110 GeForce GTX 570
GF114 GeForce GTX 560 Ti
GF100 GeForce GTX 480
GF100 GeForce GTX 470
GF100 GeForce GTX 465
GF104 GeForce GTX 460
GF106 GeForce GTS 450
GF108 GeForce GT 430

ほかリファレンスカードの仕様では、コアクロックは822MHz、シェーダクロックは1644MHz。メモリタイプはGDDR5、動作クロックは1002MHz(データレート4008MHz)、メモリ接続は256bit幅で、メモリ容量は1024MBだ。カード単位の消費電力は最大170Wとされ、補助電源コネクタは6ピン×2。ただ、GTX 560 TiはNVIDIA自らオーバークロック性能をアピールしている程のGPUなので、実際に市場に出回るカードベンダー製の製品では、GTX 460同様にオーバークロック版が主流になるものと見られる。

■主な製品との仕様比較
GPU GTX 560 Ti GTX 460 768MB版 GTX 460 1024MB版 GTX 570
プロセス 40nm 40nm 40nm 40nm
トランジスタ 19億5千万個 19億5千万個 19億5千万個 30億個
CUDA Core 384基 336基 336基 480基
Texture Unit 64基 56基 56基 60基
ROP 32基 24基 32基 40基
コアクロック 822MHz 675MHz 675MHz 732MHz
シェーダクロック 1644MHz 1350MHz 1350MHz 1464MHz
メモリタイプ GDDR5 1024MB GDDR5 768MB GDDR5 1024MB GDDR5 1280MB
メモリ接続バス幅 256bit 192bit 256bit 320bit
メモリクロック 1002MHz 900MHz 900MHz 950MHz
公称最大消費電力 170W 150W 160W 219W
発表時参考価格 249ドル 199ドル 229ドル 349ドル

今回のテスト環境

それではテストに入りたい。先にも述べたが、申し訳ないが今回のテストは簡単なプレビューに留める。ただ、GTX 560 Tiは注目度が高いと予想され、また実際のオーバークロック性能なども気になるところなので、詳細なテストなど、機会があれば続報もお届けしたいと思っている。

まず今回のメイン機材となるグラフィックスカードは、リファレンスの「GeForce GTX 560 Ti」、MSIの「GeForce GTX 460 1024MB版」カードである「MSI N460GTX Hawk」、リファレンスの「AMD Radeon HD 6870」の4枚だ。

写真は両方とも、カードは左から「Radeon HD 6870」「GeForce GTX 570」「GeForce GTX 460(MSI N460GTX Hawk)」「GeForce GTX 560 Ti」と並べてある

各カードのGPU-Z画面。左上から「GeForce GTX 560 Ti」「GeForce GTX 460(MSI N460GTX Hawk)」「GeForce GTX 570」「Radeon HD 6870」のもの。GeForce GTX 460のみMSI製のオーバークロック版カードとなっている

他テスト環境は以下の表のとおり。

GPU GTX 560 Ti GTX 460 1024MB版(MSI) GTX 570 HD6870
Driver NVIDIA Graphics Driver 266.56 beta NVIDIA Graphics Driver 266.58 AMD Cataryst 10.12
CPU Intel Core i5-2500K (3.30GHz)
M/B Intel DH67BL (Intel H67 Express)
Memory Corsair XMS3 DDR3-1333 CL9 4GB
Storage Crucial RealSSD C300 64GB
OS Windows 7 Ultimate 64bit 日本語版