GNOME 3.0 and GTK+ 3.0

GTK+の最新ベータ版となるGTK+ 2.99.0が公開された。GTK+ 2.99.0はGTK+ 3.0の最初のベータ版に相当するバージョンで、GNOME 3.0とともにリリースされることになる。いくつものバグ修正や改善が実施されているが、もっとも注目されるのはシングルライブラリでマルチGDKバックエンドを実現している点にある。

現在のところサポートしているのはWin32、Quartz、X11の3つのバックエンド。Quartzバックエンドは今回新しく移植されたもので、これでWindows、Mac OS X、Ubuntuの主要プラットフォームをカバーしたことになる。シングルライブラリにおけるマルチGDKバックエンドの実現はマルチプラットフォームサポートのみならず、将来的にX11とWaylandの双方をサポートするうえでも重要になってくる。Ubuntu、Fedoraの双方ともにWayland採用へ向けた取り組みを進めており、GTK+ 3のマルチGDKバックエンドはWaylandサポートへ向けた取り組みともいえる。

GTK+ 3.0はGTK+ 2と共存が可能。GTK+ 2系を採用しているアプリケーションはこのままGTK+ 2を使うことで動作を継続することができる。GTK+ 3.0では非推奨になっていたAPIが削除されることになるため、GTK+ 3.0を活用する場合にはアプリケーション側で非推奨のAPIを使わないように書き換える必要がある。