こうした遊び心を活かしたプロジェクトだが、それだけが一人歩きしていては意味がない。ユーザーに理解してもらうには、時計自体も進化できるよう、商品を開発する姿勢を出し続けてこそ。PRスタッフの夢と商品企画チームの努力が両輪で進む。そんないい関係性が今まさに生まれている。また、近年のビッグフェイスウォッチブームの先駆けを作ったのは、G-SHOCKだと話す時計デザイナーもいる。その影響は、日本から世界へと確実に広がっていると言えるだろう。
「開発と言えば、パイロット用の『GW-3000』もすごいですよね。相当なGに耐えられるだけでもすごいのに、電波ソーラーのアナログモデルだから暗闇から光に出すと、秒針がガーッと回って時間が合う。その感じがまるでロボットみたいなんです。それから、耐久性に優れたカーボンファイバーベルトの『GW-S5600』とかね。時計好きって、こういうスペックの話がすごく好き(笑)。G-SHOCKの機能はその話題と予想を軽く超えてくるし、ずっと追求し続けてるからすごいんです」
さすがファンを豪語するだけあり、最新モデルの知識までもさらりと披露する中野氏。会話中にもあるように、自身も調べたり、わからない点を尋ねてチェックするのが好きなのだそうだ。
誰もがこの商品を愛している。そんなプロジェクトメンバーの共通認識にあるのが『ジャパンブランド』だ。G-SHOCKとG-SHOCK MANを、世界各国でジャパンブランドとして認めてもらいたい。そんな想いが、精巧さやまじめさだけでなく、遊び心のあるエンターテインメントによるプレゼンテーションとして、ここに一つの実を結びつつある。
「すごく喜ばしいことですよね。今後もすてきな新モデルが出続けるだろうし、僕自身もそういう商品たちを映像や立体作品で具現化していけたらと思います」
最後に、中野氏にとってG-SHOCKがどんな存在かを改めて聞いた。
「日本はロボット先進国だ、と僕はずっと思っているんですが、G-SHOCKもその一つだと思うんです。優れた時計でありロボットというかね。タフソーラーや電波機能がつき、壊れず、狂わず、いいデザインのものがどんどん出るなんて、これ以上のものはないですよ。G-SHOCKがあればだいたいは事足りる(笑)。そんな日本が誇るプロダクトのお仕事に、参加させていただけて嬉しいです」