それを納得させる成熟ぶりがGingerbreadからは伝わってくる。主にゲームをターゲットに、アプリ動作のスピードも改善された。Dalvik VMにコンカレントGCを採用し、JITコンパイラにさらなる最適化が加えられている。Froyoとの差は小さいが、Eclair世代ぐらいまでのAndroid携帯に見られた全体的にもっさりした動きが完全に解消され、Nexus SではAndroidアプリが反応よく動作する。ブラウザのV8ベンチマークも200超の数値となっている。

Nexus SのV8 Benchmarkスコアは200-280

Froyo搭載のMotorola DROIDのスコアは90-130。ハードウエアは旧いがFroyo効果が大きい

Android 2.1のHTC Evo 4Gは70前後。1GHzプロセッサ搭載だが、Eclairではスコアが伸びない

ゲーム向けのパフォーマンスやマルチメディア機能が強化されたことを考えると、GoogleはこれからAndroidアプリの拡充に力を注ぐのだろう。音楽配信など、Android向けのサービスも強化されるはずだ。だから、このタイミングでソフトウエア/ハードウエア開発者向けにNexus Sを用意した。

Google印のAndroid携帯の見本Nexus Sが登場した今、Android携帯は買い時を迎えたと言える。Nexus S世代の条件を満たす端末を選べば、これから登場するアプリやサービスを問題なく利用でき、また次のOSのアップグレードを受けられる可能性も高い。今後しばらくは第一線のAndroid携帯として使い続けられるはずだ。

では、Nexus S世代の条件とはなんだろうか? Nexus Sと初代Google携帯「Nexus One」との違いでまず思い浮かぶのはNFCサポートだが、NFC利用の今後の広がりは不透明で、現時点では不可欠な条件ではない。今後のAndroid携帯の成長がアプリにあるとすれば、Nexus Sのポイントはむしろグラフィックス性能だ。Nexus OneのNeocoreベンチマークが26前後であるのに対して、Nexus Sは55前後をたたき出す。

Nexus SにプリインストールされているNFC対応アプリ「Tags」

Nexus SのGPUは「PowerVR SGX 540」。SGX 530からパイプラインが倍増、クロック速度も向上した。ちなみにiPhone 4はSGX 535だ

Gingerbreadはどうかというと、たしかにFroyoから使い勝手が底上げされたものの、アプリ動作という点での差はわずかである (Eclairとは雲泥の差!)。Nexus Sを使い続けたあとに、Froyo端末を持ち出しても性能面の使いづらさは感じなかった。だから「Nexus Sと同等以上のグラフィックス性能を備え、Android 2.2以上」ならば、"Nexus S世代の条件"を満たすと筆者は考えている。