12月15日、日本エイサーは2つのタッチディスプレイを搭載したPC「ICONIA(アイコニア)」を発表した。発売は2011年2月以降を予定している。

製品の発表会で同社代表取締役社長のボブ・セン氏は「法人需要の回復や個人需要の持ち直しなど上向き傾向ではあるものの市場に元気さがたりない」と語った上で「タブレット端末とノートPCの中間にあたる製品」として新製品「ICONIA」を紹介した。

日本エイサー 代表取締役社長 ボブ・セン氏

ターゲットとなるのは、PCやITに詳しく、新製品や新技術に対して敏感な人。2007年からスタンダードノートPCを販売し、2008年にネットブック、2009年にモバイルノートPCと市場の需要に対して敏感に応えてきたエイサーが、最新の技術をいち早く投入するという考えで送り出す製品だ。

「ICONIA」は14インチワイドディスプレイを2枚搭載しており、閉じた状態では一般的なノートPCとの違いは見えない。開いた時にどちらの面にもディスプレイがある、という状態だ。本体サイズが大きいため、東芝の「libretto」のような縦持ちによる書籍ビュワー的な使い方よりも、大画面を持つPCとしての用途が見込まれている。

14インチタッチディスプレイ×2を搭載した「ICONIA」

液晶ディスプレイは静電容量式のタッチセンサーを搭載しており、同時認識は10点まで行えるという。ディスプレイに片手の5指で同時にタッチすると、操作パネルとして「Acer Ring」が表示される。画面中央に表示される円形のメニューからアプリケーションや操作を選択する形だ。4指以下でのタッチは対象への操作として認識される。1指によるクリックやドラッグ、2指によるピンチイン/ピンチアウトなどを行うことが可能だ。

両手で同時に10指を置いた場合には文字入力用のキーボードが表示される。現時点では日本語配列のQWERTYキーボード1種類のみだ。発表会時には参考出展用のマシンであったため、日本語入力はできなかったが、十分なサイズでキーボードが表示されるため、キーを押し込む感覚がないことに慣れられれば十分に長い文章の入力もできそうだった。

5点タッチで呼び出せる操作パネル「Acer Ring」

10指でタッチすると表示されるキーボード

プロダクト&マーケティングコミュニケーション部マーケティングコミュニケーション課シニアマネージャーの瀬戸和信氏は「タッチ端末に表示されるキーボードは小さく入力しづらいものが多いが、これならばフルサイズで使いやすい」と、タッチ液晶を搭載した端末は小型のものが多い中、大型端末にすることで独自性を打ち出していることを強調した。

日本エイサー プロダクト&マーケティングコミュニケーション部マーケティングコミュニケーション課シニアマネージャー 瀬戸和信氏

使い方の提案として、縦2画面を継続した1画面としてとらえて縦長の大画面でブラウジングを行える「Touch Browser」は、ECサイトなどの利用に特に便利だと紹介された。また、上下を別画面としてとらえる使い方では、手前画面に各種ソーシャルメディアのクライアントが並び、タッチした部分と連動するサイト等が上画面に表示され、詳細情報を閲覧しつつも全てのソーシャルメディアをチェックし続けられる「Social Jogger」を紹介。タッチであることを活かしてブラウザ上の気に入った情報部分のみを指先の操作でトリミングしてダッシュボードに格納し、必要な部分だけを閲覧しつつもクリップした画像をタッチすると上画面では元サイトが表示される、という「My Journal」なども用意されている。

縦長のサイトも楽に閲覧できる「Touch Browser」

複数のソーシャルメディアを並行利用するのに便利な「Social Jogger」

スクラップファイルを作れる「My Journal」

「いくら言葉で説明しても、映像を見せても伝えきれない。触ってもらえれば、ぞくっとするはず。興味を持ってもらえると思っている」と瀬戸氏は語った。

搭載されているOSはWindows 7 Home Premium 64bit版で、14インチディスプレイの解像度はどちらも1366×768ドット。Intel Core i5プロセッサを搭載し、メモリ容量は4GB、HDD容量は640GBとなっている。参考出展のマシンではVGAポート、HDMIポート、USBポート×3が搭載されており、そのうち1つがUSB 3.0対応だった。また、Bluetooth 3.0+HSにも対応する。重量は約2.8kgで、バッテリ駆動時間は約3時間だという。販売価格は14万円前後だ。

「ICONIA」のスペック

この価格も他社とは違う大きな特徴であるとした瀬戸氏は「世界第2位のメーカーであるエイサーは、コストパフォーマンスの高いメーカーと言われている。これは同等価格ならば他社製品よりもスペックが高い、同等スペックならば他社よりも価格が低いということ」とメーカー特性を強調した。

また、発表会後半では11月10日から実施されているキャンペーン「円高パソ安」プロジェクトのPRもあった。これは、海外メーカーであることを活かして円高による為替差益を還元するというキャンペーンで、デスクトップ、ホームサーバ、ノートPCを合わせて8モデルの販売価格を引き下げている。値引き額は1万円から1万5,000円。

発表会では菅総理のそっくり芸人であるテル氏と、鳩山元総理のそっくり芸人であるヒヨドリ来留夫氏によるコント仕立てでのPRも行われた。

テル氏(左)とヒヨドリ来留夫氏(右)は軽快なコントで「円高パソ安」プロジェクトをPR