あなたの端末はGingerbreadへのアップグレードパスが提供されるのか?

上記のように公式OTAでのGingerbread配布にはまだ少々時間がかかる見込みだが、一部デベロッパーにはすでにGingerbreadのカスタムROMを用意し、自身の端末で動作させている例もある。Pocket-lintではGingerbreadの動作するHTC Evo 4Gのスクリーンショットを紹介しているが、これもカスタムROMを導入したものだ。とはいえ、カスタムROMは公式アップデートではないため、メーカー側の正式対応が気になる。先ほどのPocket-lintの記事ではHTCの公式声明として「新しいAndroid OSアップデートの登場に期待しており、HTCとしても具体的なタイムフレームは提供できないものの、ラインナップの一部で対応を進めていく」というコメントを紹介しており、HTCでは可能な限り積極的にGingerbreadアップデートを提供していく意向のようだ。

問題は、その他多くのAndroid端末だ。例えば、Androidの世界ではHTCやMotorolaと並び、Samsungが「Galaxy S」などを中心に多くのシェアを獲得している。当初、Galaxy S向けのGingerbreadアップデートが提供されるかは未定とされていたが、Pocket-lintでは8日になりSamsungの公式コメントを紹介しており、それによれば各種要素を勘案したうえで可能であれば提供準備を進めるということで、アップデートの提供自体には前向きのようだ。これが日本で販売されているGalaxy Sにまで及ぶかは不明だが、可能性が残されているのは、アップデートを望むユーザーには朗報かもしれない。

一方ですでにアップデートの道が閉ざされた端末もある。Ubergizmoによれば、LGが同社のOptimus SにはGingerbreadの提供予定はなく、その理由としてGingerbreadの最低システム要件が1GHz駆動のプロセッサにある点を挙げている。OptimusはAndroid 2.2 Froyoを搭載した最新端末だが、プロセッサは600MHz駆動のもので、ここでいう動作要件を満たしていない。だがAndroid開発のテックリードを務めるDan Morrill氏によれば、Gingerbreadにはこうしたハードウェア上の動作要件はなく、ましてやプロセッサの動作周波数がアップデート拒否の理由になるとは考えにくいとコメントしている。どちらが正しいのかは不明だが、LG自身が自社製品のアップデートを否定しているわけで、こうした端末は少なからず存在しているということだ。1つ確かなのは、Froyo搭載端末であれ、必ずしもGingerbreadへのアップグレードパスが用意されているとは限らないのだ。

もっとも、Android 2.xにおけるアップデートは2.1 "Eclair"から2.2 "Froyo"へのアップデートで、Flashサポート、JVMの大幅な高速化、ストレージ制限の撤廃など、最も重要な変更点が多い。一方でFroyoからGingerbreadへのアップデートはUIやソフトウェアキーボードの変更、最適化による若干の高速化など、ユーザーの目に見える変更点は少ない。あとはNFC (Near Field Communication)や各種センサーサポートなど、ハードウェア要件に依る部分が大きい。そのため、Gingerbreadアップデートがないのは、そこまで悲観することでもないと筆者は考えている。