10月のスペシャルイベントにおける目玉の1つとして発表された「Mac App Store」だが、来夏登場予定の「Mac OS X "Lion"」の発売を待たずして来年2011年1月中にも現行OSユーザー向けにサービスが提供されるとみられている。このMac App Storeについて米Appleは12月2日(現地時間)、アプリケーション開発者らに対して3つのガイドラインを発表し、ここではデモや限定版などではない完全版のアプリケーションの登録を求めるなどの方針を明らかにした。

3つのガイドラインは、Appleの開発者向けポータルのニュースページに掲載されている。1つは「Mac App Storeに登録されるアプリケーションのファイルシステムの適切な利用」で、インストール時に適切な場所にファイルを置くようにし、例えばユーザーフォルダにデータベースを置いたり、Libraryフォルダにファイルを置かないよう指示している。これらはシステムからは存在を認識できないため、アンインストール時にゴミファイルとして残ることになるからだ。

2つめは「Mac App Storeに登録されるアプリケーションの種類」で、デモ、トライアル版、ベータ版といったアプリケーションは登録しないよう求めている。同ストアに登録できるのは、あくまですべての機能が完全に動作する完全版のみで、前述のデモやトライアルなどは自身のWebサイトを利用してプロモーションしてほしいとのことだ。

そして最後の3つめが「利用できるコントロールの種類」だ。コントロールとは、ウィンドウやダイアログ、スクロールバー、メニューなど、ユーザーインターフェイスの基となるパーツや要素の数々のことだ。通常、アプリケーションの多くはこれらコントロールを組み合わせて作られている。Mac OS XのGUIである「Aqua」では、標準で多くのコントロールのパーツを備えているが、中には開発者が個々に創意工夫を凝らしたコントロールを制作し、自身のアプリケーションに組み込んでいる例もある。Appleによれば、Mac App Storeに登録されるアプリケーションにおいても、こうした独自に作成した「カスタムコントロール」の利用は許可されており、同社が示すユーザーインターフェイスのガイドラインに沿っていれば問題ないとの認識を示している。

以上3点のガイドラインだが、2つめのアプリケーションの種類に関する説明からみるに、AppleはMac App Storeにおける位置付けを、iOSのApp Storeとは若干異なるものにしようと考えているらしい。iOSのApp Storeでは機能を限定した試供版が「Lite」などの名前を付与されて多数登録されており、気に入ったユーザーにはより高額な完全版のダウンロードを促したり、あるいは追加料金の支払いで機能解除を可能にしている例が見受けられる。だがMac App Storeで求めているのは完全なアプリケーションであり、ここは開発者のためのプロモーションの場ではなく、あくまでオンラインを介した製品の直販ストアだということのようだ。