内部へのアクセスは比較的簡単
それでは内部スペックを紹介していきたいが、まずお断りしておくと、今回評価機として貸し出された機体は、通常の店頭販売モデルと一部仕様が異なる可能性がある。ちょうど先日販売開始されたようなのでまずそちらのスペックを紹介すると、CPUがCore i5-560M(2.66GHz)が採用されている。しかし今回の評価機が搭載していたのはCore i5-520M(2.4GHz)。通常レビューにのっとってベンチマーク結果を掲載するが、おそらく"製品の方がよりパフォーマンスが高い"ことになるだろう。購入を検討される方はそのあたり期待とともにスコアに加味していただきたい。
きょう体を開けるには、まず底面のゴム足を取り外す。ゴム足は接着剤ではなくゴム爪で装着されているので取り外しは難しくない。4つのゴム足の下にはそれぞれネジがあるのでこれを外す。次は背面の中央上部に意味深なボタンがあるのでこれを押すと、白いトップカバーが外れる。後はトップカバー用のラッチ以外のネジを全て外せば内部カバーが取れ、意外なほど簡単にCPUその他内部パーツにアクセスできる。
内部カバーの下はスリム光学ドライブと2.5インチHDDドライブが一緒になったドライブベイとなっている。2.5インチHDDは容量500GB、7,200rpmのWestern Digital Scorpio Blackが搭載されていた。どちらのSATAデバイスも、SATAコネクタと電源コネクタが一体化したケーブルが採用されており、着脱は簡単だ。
マザーボードは一般的なMini-ITX規格とは異なり専用設計のものとなる。メモリはDDR3 SO-DIMMスロットが2基。CPUとチップセット、GPUの上にはヒートシンクが搭載されており、そのほかハーフサイズのmini PCIeスロットには無線LANカードが搭載されている。ヒートシンクはCPU用、GPU用が一体化しているように見えるが、実際には分かれている。ただCPU側のファンで両方を冷却する仕組みで、きょう体内のエアフローを含めファン1基で全てをまかなっている計算になる。そこまで大きくないファンであるため、動作音が気になるところだが、実際にはかなり静かである。ノートブック向けのコンポーネントを採用している効果だろう。
CPUはノートブック向けのソケットG1にCore i5-520Mが搭載されている。グラフィック機能を統合したClarkdaleコアで、本来、このグラフィック機能も利用できるのだが、本製品ではGeForce GPUが利用でき、より高性能な3D性能、またはGPUを活用した動画再生支援機能や、本製品の製品名にもなっている3D機能が利用できる。GPU側はMXMカード形状となっている。もしカードさえ入手できれば交換も可能だろう。ただし、カードの入手はかなり困難なこと、そして冷却機構に関しては変更がきかないという点で現実的に見てアップグレードは難しいだろう。
評価機のCPUにはCore i5-520M(2.4GHz:Turbo時2.933GHz)が装着済み。ただし、本製品はCPU搭載済みベアボーンとして販売されるようで、執筆時点で販売されている製品には上位製品のCore i5-560Mが採用されている様子 |
GPUはGeForce GT 425M。96基のCUDAコアを搭載しており、メインストリーム向けとしては上位モデルである |
そのほか、ボード上にはUSB 3.0チップが2基搭載されているのが特徴だろう。ひとつはフロント側でNECのチップ、もうひとつはリア側でFresco Logicのチップが搭載されている。Fresco Logicのチップといえば下位互換性で問題があるという報告が上がっている。筆者が別の仕事でASRockの担当から聞いた話では、ドライバの問題という答えだったが、今回あらためていくつかの機器を接続してみたところ、USBフラッシュメモリは問題なく認識したが、ポインティングデバイス付きのUSBキーボードでは認識されないという不具合を確認した。もちろんドライバはASRockのサイトにある最新版である。本当にドライバだけの問題なのか、という点にはやや疑問が残る結果だ。とはいえ本製品では別途NECチップで2ポートが用意されており、USB 2.0ポートもこのサイズの製品としては豊富であるため、接続するポートを選べば問題の回避は可能だろう。