EMCジャパンは11月16日、クラウドコンピューティングの運用管理基盤の確立に向け、統合運用管理製品「EMC Ionixファミリ」の事業を強化すると発表した。これに伴い、同ファミリの一部製品とヴイエムウェア製品の統合が図られている。

具体的には、「EMC Ionixファミリとヴイエムウェア製品の統合」、「パートナー販売」、「クラウド運用管理分野での活動」の3点について強化が行われる。

50を超えるIonix製品群のうち、アプリケーション管理製品「Ionix Application Discovery Manager」、「Ionix Server Configuration Manager」、「Ionix Application Stack Manager」とサービス管理製品群「Ionix for Service Manager(4製品)」の計7製品の開発を子会社のヴイエムウェアに移管し、「VMware vCenter」を含むVMwareマネジメントソリューションへ統合した。

これにより、ITリソースの管理において、インフラ管理は「EMC Ionixファミリ」が、アプリケーション管理は「VMware vCenter」が、サービス管理は「VMware Service Manager」が担うことになる。

EMC Ionixファミリとヴイエムウェア製品の統合の概要

EMCジャパン テクニカル・コンサルティング本部プロダクト・ソリューションズ統括部シニア・テクノロジー・コンサルタント 毛利洋一郎氏

テクニカル・コンサルティング本部プロダクト・ソリューションズ統括部シニア・テクノロジー・コンサルタントの毛利洋一郎氏が同ファミリの詳細について説明した。

同ファミリは「可視化」、「分析」、「自動化」という3つの特徴を備えており、それぞれ「Service Discovery & Mapping(サービス検出とマッピング)」(可視化)、「IT Operations Intelligence(オペレーションのインテリジェント化)」(分析)、「Data Center Automation & Compliance(データセンター自動化とコンプライアンス)」(自動化)という具体的なソリューションが展開される。これら3つのソリューションに加え、上記のヴイエムウェア製品と連携することで、物理環境と仮想環境を統合した運用管理を実現する。

EMC Ionixファミリとヴイエムウェア製品による運用管理のフレームワーク

サービス検出とマッピングでは、物理環境、仮想環境、アプリケーションの関係を自動検出して可視化する。Ionixの全製品に対し共通のデータモデルが提供され、物理環境と仮想環境の依存関係をトポロジーとして一元管理できるため、「仮想マシンには共通性がないが、Ionix製品では共通性を持たせた形で仮想環境を管理できる」と同氏。アプリケーションだけでなく、スイッチやネットワークカードといったハードウェア間の関連性も自動的に取得できる。

「Ionixではインフラ、アプリケーション、ビジネスの3つのレイヤを統合して管理することを可能にする」

オペレーションのインテリジェント化では、障害の根本的な原因とビジネスへのインパクトの解析などが行われる。障害の根本的な原因を解析する際には、「Codebook Correlation Technology」という特許技術が用いられる。同技術は、人手によるルール化を行うことなく、インフラの状態変化を自動的に解析することが可能だ。

データセンター自動化とコンプライアンスでは、「レポーティングとメジャーメント」、「変更管理と変更適用管理」、「ポリシーモニタリングと違反の警告通知」、「構成と依存関係の解析」、「継続的なリカバリ」という各プロセスをサイクルとして回す。これにより、ITリソースの変更に伴うリスクとコストを削減する。

これらのソリューションにVMware Service Managerを組み合わせることで、同じ情報を見る人によって見せ方を変えることが可能になる。同氏は、同製品の特徴として「ITILに対応したサービスデスクを迅速に導入できること」を挙げた。また、「モデルベースの管理が行われているので、物理環境と仮想環境の情報が自動的に更新される分散型CMDB(Configuration Management Database:構成管理データベース)を簡単に構築できる」と同氏

EMC Ionixファミリとヴイウェムウェア製品に夜サービス管理の仕組み

同社は今後、クラウド運用管理市場への発信を強化するため、パートナー企業、ユーザー企業と共同でクラウド運用管理の課題を明確化するとともに、2011年末までに「クラウド運用管理コンソーシアム」の設立を目指す。