既報の通り、NTTドコモは2010年冬から2011年春にかけての携帯電話の新製品28機種を発表した。山田隆持社長は「ドコモはネクストステージへ」と次期製品とサービスへの自信を示した。

スマートフォンのLYNX 3D SH-03Cを手に持つ山田隆持社長

今回、山田社長がキーワードとして繰り返したのが「ネクストステージ」という言葉。新端末28機種のうち、OSにAndroidを搭載するなどしたスマートフォン7機種を用意し、これを「ネクストステージスマートフォン」と銘打つ。このうち、すでに発売、発表済みの「GALAXY S」「GALAXY Tab」の2機種を除き、今回4機種を新たに発表している。

発表されたのは、3D液晶を搭載したシャープ製「LYNX 3D SH-03C」、東芝のテレビREGZAの画像処理技術を投入した東芝製「REGZA Phone T-01C」、QWERTYキーボードを搭載したLG電子製「Optimus chat L-04C」、そしてカナダResearch In Motion(RIM)のスマートフォン「BlackBerry Curve 9300」だ。

さらに本年度内にはタブレット型のスマートフォンを投入する予定で、これを入れて7機種のラインナップとなる。また、来年1月から本格開始する電子書籍サービス用のブックリーダー「SH-07C」も投入予定だが、こちらに関しては「改めて紹介する」(山田社長)と述べるにとどまっている。

発表済みのGALAXY S、GALAXY Tabに加えて4機種のスマートフォンを発表し、1機種のタブレット端末の存在が明らかにされ、さらに電子書籍リーダーも発表された

LYNX 3Dは、ソフトバンクモバイルが発表した「GALAPAGOS Softbank 003SH」と同じく、シャープの3D液晶を搭載したスマートフォンだ。ハードウェアスペックとしては同等と考えていい。3.8インチで視差バリア方式の3D液晶を搭載したことで、サイド・バイ・サイド方式の3D映像を立体感のある形で、しかも裸眼で閲覧することができる。2Dと3Dの切換、3D静止画の撮影といった機能も同等だ。

LYNX 3D。ソフトバンク端末とのデザイン上の違いはカラーバリエーション

3D機能に加え、国内の従来の携帯電話(フィーチャーフォン)の独自機能だったおサイフケータイ、ワンセグ、赤外線通信の機能を搭載。iモードメールと同様のケータイメールとして利用できるspモードにも対応する。

ソフトバンクのGALAPAGOS 003SHとの大きな違いは搭載されているOSのバージョンで、LYNX 3DはAndroid 2.1を搭載する。Android 2.1はFlash Player 10.1やSDカードへのアプリインストール、管理者によるモバイル端末の管理機能などの機能が利用できないが、Flash Lite 4.0に対応して一部のモバイル向けFlash動画の再生が可能なほか、2011年春にAndroid 2.2へのOSバージョンアップを行う予定だ。

同様に東芝製のREGZA Phoneも、ハードウェアはソフトバンクから発売されるREGZA Phoneと変わらない。IPX5/7相当の防水性能を備え、おサイフケータイ、ワンセグ、赤外線通信、spモード対応といった従来の携帯の機能をカバーしている。本体カラーはMoist Black、Mellow Bordeauxの2色。

REGZA Phone。こちらは愛称もソフトバンク端末と一緒

テレビREGZAで搭載されている高画質化エンジン・レグザエンジンのモバイル端末向け「モバイルレグザエンジン3.0」を採用しており、保存した動画、ワンセグ、YouTubeの動画などをより高画質に視聴できる。こちらもAndroid 2.1を搭載し、来年春にAndroid 2.2へバージョンアップする予定だ。

エントリー向けとして用意されたのがOptimus chatはドコモだけの端末。スライド式のQWERTYキーボードを搭載しており、さらに従来の携帯と同じように大型アイコンのインタフェースを採用したことで、「スマートフォンが初めての方でも違和感なく使える」(山田社長)ことがポイントで、さらにAndroid 2.2を搭載している。

エントリー向けながらAndroid 2.2とQWERTYキーボードを搭載したOptimus chat

さらにBlackBerry Curve 9300もドコモのみの端末で、本体下部にQWERTYキーボードを備え、特に法人市場で「根強い人気」(同)があるため、新たな端末を投入する。Curve 9300は、本体上部に音楽操作用のボタンを用意しており、エンターテインメント系の機能も充実させている。

BlackBerry Curve 9300

「ブックリーダー SH-07C」は、電子書籍端末として5.5型のタッチパネル液晶を搭載して240gと軽量のボディを実現。雑誌や新聞を閲覧でき、3Gと無線LANで書籍の購入などが可能という端末だが、来年1月からドコモが開始する電子書籍サービスの本スタートにあわせて、改めて発表するとして、今回詳細は語られなかった。

電子書籍リーダーとなるSH-07C

山田社長はこれらの端末ラインナップに対し、「充実のネクストステージスマートフォンといえるラインナップ」と自賛する。

端末のラインナップとしては、主要2機種となるLYNX 3DとREGZA Phone自体はソフトバンクと同じラインナップであり、OSのバージョンが下回っている点がドコモの弱点とも言えるだろう。

それに対して山田社長は、「端末とサービスとネットワーク。この3つのかけ算」と話し、端末だけでなく、サービスの質と量、そしてネットワーク品質の「三位一体」(同)で勝負していく考えを示す。

特にドコモは、従来の携帯向けのiモードサイトで多くのコンテンツを提供しており、そうした公式サイトやコンテンツをスマートフォンでも利用できるようにしていきたいという。山田社長は、iモード向けのコンテンツプロバイダに対して、スマートフォンでも簡単に出せるような仕組みを考えていきたいとしており、「iモード機で人気のあったコンテンツがスマートフォンで利用できるようになるといい循環ができるのではないか」との考えだ。

さらに、オンラインメモサービスとして人気の米Evernoteと提携し、今後のドコモのスマートフォンにはEvernoteのインストーラーをプリインストールする。さらに今回の発表にあわせて来日中のCEOフィル・リービン氏が、Android版Evernoteの新バージョン「Evernote 2.0」をリリースすることも明らかにし、8日夜からAndroid Market上で配布を始める。Evernote自体は無料アカウントとより高機能で有料のプレミアムアカウントがあるが、ドコモのスマートフォンユーザーに対して、1年間のプレミアムアカウントを無料で提供する。来年5月1日までにドコモのスマートフォンを購入した既存ユーザーを含むユーザーすべてが、1年間無料でプレミアムサービスを利用できることになる。

Evernoteのフィル・リービンCEO(左)。Evernoteは、テキスト、画像、音声といったメモをPCやクラウドサービス、モバイル端末と連携できるサービス

山田社長は、「今後もスマートフォンの新サービスを提案し、ワクワク感を提供したい」と意気込む。従来の携帯の機能を取り込み、3D液晶などの新技術も搭載した端末を用意したほか、spモードや新サービスでスマートフォンは「ますます便利で使いやすいものになる」と山田社長は強調し、「スマートフォン新時代はネクストステージへ。より身近で、幅広いユーザーに使ってもらえる時代になる」と強調している。

会見には、TV CMでおなじみの俳優の渡辺謙さん(左)、女優の堀北真希さん、ダース・ベイダーが登場。スマートフォンへの機種変更を検討しているという堀北さんと、すでにXperiaユーザーでもあるという渡辺さんは、今後もCMきゃらくたーとして起用される