パロディ番組で構成された製品デモの数々

10月25日(太平洋夏時間)より3日間に渡り、米カリフォルニア州ロサンゼルスにおいてAdobe Systems主催によるユーザカンファレンス「Adobe MAX 2010」が開催されている。2日目の基調講演は、次世代のエンタテインメントとなる「Digital Living Room」の紹介でスタートした。Digital Living Roomを使うことで、リビングルームにいながらにしてさまざまな新しいエンタテインメントに触れることができる。Adobeが提供するカスタムテレビ「Adobe TV」によって実現する。

というのが、基調講演を演出するための舞台設定である。つまり**すべて嘘++。もちろん「Adobe TV」はGoogle TVのパロディであり、そんなテレビは存在しない(Adobe TVといったらこれだ)。

リビングでくつろぎながらAdobe TVを楽しむ2人

2日目の基調講演は、さまざまなAdobe製品のデモを、社員によって演じられる寸劇で紹介していくという形式だ。まずはソファに座る2人の男性が、Adobe TVで番組を楽しむという場面からスタートした。始まった番組は「Pimp My App」。人気番組「Pimp My Ride」のパロディだ。使いにくい業務アプリケーションを、顧客の要望に応えて使いやすくカスタムしていくというもので、「ColdFusion」や「LiveCycle Collaboration Service」、新たに発表された「LiveCycle Mobile ES2」を活用する様子が演じられた。

顧客の悩みを解決する「Pimp My App」

「Iron chef」(米国版「料理の鉄人」)のパロディ番組は、2チームの開発者が8分でアプリケーションを作って完成度を競うというもの。赤の鉄人はFlash CatalystとFlash Bulderを使ってデスクトップアプリケーションを組み上げていく。一方で青の鉄人はFlash Builderマルチスクリーン対応機能を活用してモバイル端末向けのアプリケーションを作る。ふざけているようでいて、デモそのものは極めて実践的なもの。

料理の鉄人ならぬアプリ開発の鉄人

AdobeのSenior Technical EvangelistであるBen Forta氏が司会を務めるトーク番組「Ben Forta Live」では、ゲストとしてjQueryの開発者であるJohn Resig氏らが呼ばれ、HTML5やjQueryなどに関するインタビューが行われたほか、「Dreamweaver CS5」の「jQuery Mobile」サポート機能などが紹介された。

ゲストとの対談が興味深い「Ben Forta Live」

jQueryの開発者John Resig氏(右)

「セサミストリート」のパロディ番組「Technology Street」では、"Flash君"と"HTML5君"が登場。最初はお互いを非難し合って喧嘩をはじめるが、最後にはBen Forta氏や"Androidちゃん"の仲裁によって「やっぱり仲良くするのが大事だよね」と言って終わる。Adobeの立ち位置をおもしろおかしく描写した形だ。

Flash君とHTML5君が登場した「Technology Street」

通販番組のパロディで紹介されたのは、先日新しく発表されたアプリケーションマーケット「Adobe InMarket」。「これからは開発したアプリケーションを正当な価格で売ってお金にできる」と宣伝するもので、さまざまなマーケットにおけるアプリケーションの販売が行えるだけでなく、分析機能などで開発者をサポートするという内容が紹介された。出演者の女性のとぼけたツッコミに笑わされてそれどころではなかったが…。

InMarketではアプリケーションの販売状況などを分析できる。女性出演者のコメントは「カラフルでかわいいわ」

こんな調子で、2時間に渡ってさまざまなパロディ番組と製品デモを繰り広げていった。番組の途中ではミュージックビデオやパロディCMなども挿入され、参加者をまったく飽きさせることがなかった。

Adobe製品を讃えるロック調の歌を熱唱

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最後に「Ben Forta Live」のゲストとしてAdobe CTOのKevin Lynch氏とGoogleのSenior Product ManagerであるRishi Chandra氏が登場し、マルチスクリーンの重要性あ、「HTML5やFlashを使ってテレビの体験を変えたい」というGoogleのビジョンなどを語った。そしてサプライズとして、「Google TV」として話題の「Logitech Revue」をMAX参加者全員にプレゼントすることを発表して会場を沸かせた。このGoogle TV、のちに米国在住者しか受け取れないらしいということを知らされて日本からの参加者をがっかりさせたことも付け加えておく。代わりに「Adobe TV」がもらえたらうれしいのだが。

Rishi Chandra氏(左)とKevin Lynch氏(右)

今年のAdobe MAXでは、Motorola DROID2とGoogle TVという2つのAndroidベースのデバイスが開発者の手に渡された。新しいデバイス、新しいプラットフォームの上でどんな革新を生み出していくのか、ここから先は開発者の仕事である。