Memory関連

案外に話がなかったのがMemory関連である。Sandy Bridgeに直接関連した部分では話題は皆無。IDFのTrack全体を見渡しても、(GOLD SponserになっているSamsungとRambusのセッション以外は)"Where Is Memory Going for Your Platform"というQ&Aセッションで多少触れられている程度だ。とは言え、ここである程度方向性は見えてきたのでちょっとご紹介したい。

Sandy Bridgeの世代も引き続きDDR3メモリが主流になるのは間違いない。このセッションにおけるiSuppliのデータによれば、今年中に完全にDDR3のプレミアはなくなるとしており(Photo08)、このまま引き続きDDR3がメインのまま行くことになる。ただ、今のDDR3の場合はデスクトップにはいいが、サーバ用途では容量の点で若干不足気味である。これをカバーするために、LRDIMMのサポートをすることを計画している(Photo09)。既存のRegistered DIMMではCMD/Address/Clockの各信号線のデータを、チップ上のBuffer(Register)を介することで安定動作を図るというものだが、データ線そのものはカバーされなかった。LRDIMMではこのデータ線にもRegisterを配することで、高速動作時でも安定して動作できるようにするというものだ。要するにDDR3の場合、信号速度が速すぎて複数モジュールを搭載すると伝送に支障が出るため、枚数を減らすか(これは容量が不足する)、スピードを落とすか(これは帯域に支障が出る)になる。これを若干緩和するための方策がLRDIMMである。600GB、というあたりは恐らく4RankのDIMMとかを想定しているものと思われる。

Photo08: 既に秋葉原などではDDR2の方が割高になっている状況だから、実感としてはもうPremireはなくなっている感じである。

Photo09: 実はこのシミュレーションが良く判らない。Xeon 5600というのは要するにWestmere-EPだから、チップあたり3本のメモリチャネルを持ち、これがDual構成だから合計メモリバスは6本である。DDR3-800(Registered)の場合各バスに3枚DIMMを装着でき、DIMMが4Gbitのx4だとするとDIMM1枚(2Rank)の場合は32個(=16GB)になる。ということで、合計メモリ量は16GB×3スロット×6ch=288GBになり、どうやっても400GBに達しない気がするのだが……何か計算を間違えているのだろうか? ちなみにDDR3-1066/1333の場合はDIMMがチャネルあたり2枚になるので、16GB×2スロット×6ch=192GBでほぼ200GBとなる。

これがサポートされるのは、Sandy Bridge-EP/EX、つまり現在のXeon 5600シリーズの後継製品(Photo10)ということなので、Sandy Bridgeそのものにはこの機能は入るようだ。ただ現在のXeon 3400の後継となるSandy Bridge-H2はUDIMM with ECCということなので、ローエンド向けにはこの機能を殺すか、もしくは統合しないのであろう。

Photo10: Sandy Bridge-EPは現在の後継だから4/6コア以上であり、Sandy Bridge-H2は2コア製品と想像される。

さて、問題はこの世代がどこまでのDDR3をサポートするか、である。実はDDR4のロードマップが一度完全崩壊して、再度検討しなおしになっているのだが、これに先立ちDDR3の延命工作が行われている。Photo10にもちらっと出ているが、既に1.35V動作のDDR3は標準化が行われており、メーカーからもサンプルが出てきている状況である。これに加えてDDR3に関しては最大2133MHzまでが視野に入っており、DDR4はこの次である(Photo11)。スピードのみならず電圧もこの先は1.25Vが射程に入っている事が判る。一応スペック的には1.5V動作でDDR3-2133まで登場するが、こちらは消費電力が大幅に増える。なので、DDR3-1866/2133に関しては1.35V動作品から入り、本命は1.25V世代ではないかといわれている。今のところこの1.25V品が出てくるのは2012年以降(メモリベンダーのプロセスの微細化次第なところであるが、量産出荷は2013年? あたりと見られている)なので、これはIvy Bridgeでは考慮する必要があるが、Sandy Bridgeではサポートしないだろう。ただPhoto10にもあるように1.35V動作はサポートするようなので、可能性としてはDDR3-1866/2133がサポートされる余地はある事になる。個人的な予測としては、SandyBridge-EPでは恐らく入らないだろうが、Sandy Bridge-H2では入りそうな気がする。このあたりがどうなるか、ちょっと製品が楽しみなところだ。

Photo11: これは今年7月にサンノゼで開催されたMemcon 10におけるBill Gervasi氏(Discobolus Design)のプレゼンテーションより。

Photo12: DDR2までの世代は、概ね各メーカーとも2世代程度のプロセスでメモリを製造していた。つまり最初の世代はとりあえず仕様を満たすものを製造し、次に微細化したプロセスで低コスト化や省電力化を図るというものだ。ところがDDR3世代の場合、DDR4の行方が見えなくなってしまったため、最終的に4世代ものプロセスで製造されることになりそうで、それがこの状況に繋がっているわけだ。