日本産業デザイン振興会は、グッドデザイン賞の二次審査会終了後の会場を一般に公開して行う、アジア最大規模のデザインイベント「グッドデザインエキスポ2010」を、東京ビッグサイトにて開催した。本レポートでは、年々来場者が増加している本イベントのなかで、業界関係者やクリエイター、その方面を目指す学生たちが注目したアイテムをピックアップして紹介していこう。

付箋「GreenMarker」(ユルリクデザイン)

付箋を貼りながら読書をするという行為が楽しくなる本アイテム。この付箋を使えば、本を閉じたときに自分だけの草原が完成する。同社では「付箋の草むらが知識や好奇心と同じように広がる。草むらが育ちすぎたらハサミなどで自由に剪定してもいい」とPRする

iPadケース「TUNEFOLIO for iPad」(TUNEWEAR)

元アップルコンピュータ営業本部長が設立したTUNEWEARの製品。「手帳感覚でiPadを持ち運べるPUレザー製のiPadケース」(同社)で、手帳、スクリーン保護、スタンドなどの機能を兼ね備える。フラップ部分を開けば自由な角度に調整ができるスタンドとしても役立ち、入力や閲覧の自由度をさらにアップさせる。価格は4,980円

うちわ「丸亀うちわ『Ojigi』」(デザイン創造工房『めがね』)

うちわ生産で知られる丸亀市では、うちわを日常的に"携帯"するという。そんな産地から生まれた"モバイルうちわ"が本アイテム。持ち歩くシーンを想定し、本のサイズにあわせた4つのパターンのうちわが製作されている。絵は本のしおりにも利用でき、本から飛び出すうちわというイメージも含まれている

3Dグラス「Panasonic TY-EW3D2シリーズ」(パナソニック)

"3Dテレビ元年"というキャッチコピーも出てくるほど、今年は3Dが一般家庭に入り込む好機となったようだ。カラーテレビが生産された1960年から50年を経て、パナソニックは、「3Dビエラ」(Full HD 3D)を展示。その迫力ある映像と飛び出し感や奥行き感を体験できた。また、鑑賞に必要なアイテムの「3Dグラス」の3つのカラーバリエーションも展示されていた。先進的なスタイリングと、その軽さとファッショナブル性に驚き、登場時の重たくちょっと恥ずかしい「3Dメガネ」のイメージを払拭した

おぼん「ステムグラストレー」(ギャラリーKAN)

グラスを「置く」のではなく「架ける」本トレー。傾いてもグラスが落ちず、トレーやグラスのバランスを取りながらフロア内を運ぶというストレスから開放してくれる

コップ「たためる携帯コップ」(マーナ)

コンパクトな携帯コップ。たたむと薄く平べったくなり、小物ケースなどにスッと入る。カバーが付いているので、ポケットやポーチにも気兼ねなく収められる。コップの内側に触れることなくコップを広げることができるツマミも付いている

ボール型住宅「バリア」(キミドリ建築)

サッカーボール型の住宅で、32面体の免震構造住居となる。大きさは直径約2.3m。室内には5人が座れるシートが配され、メンテナンス性に優れ、水害時には浮くことができる。好きなところに窓を設けられるなどのメリットがある。価格は190万円前後

鞄、財布、その他小物など「コウヘイオカモト」(フィット)

コウヘイオカモトと酒造キンシ正宗とのコラボレーションで生まれた"麦芽小物"。素材にビールの麦芽粕が使われたカバン類は、見たことのない質感で、触感も新鮮。そして何より驚くのはその軽さだ。麦芽が均一に表面に吹き付けられていて、その外側を透明の特殊素材でコーティングされている。「リサイクルとリアリティを兼ね備えた新しい布『麦布(BAKUHU)』ができあがった」という

今回紹介したアイテムはグッドデザインエキスポ2010で展示された製品のなかでもほんのごくわずかだ。本イベントでは、このほかにも「身近な生活用品から乗用車や建築まで」ありとあらゆるデザイン2,000点以上が展示されていた。

そしてこの秋、このなかかから優れたデザインに贈られるグッドデザイン大賞が選ばれることになる。前年度の大賞は、駅舎および複合施設「岩見沢複合駅舎」(ワークヴィジョンズ/岩見沢レンガプロジェクト事務局)。さて今年は何がグッドデザイン大賞に選ばれるのか。今後が楽しみだ。