MathWorksは9月3日(米国時間)、MATLABおよびSimulinkプロダクトファミリのリリース2010b(R2010b)を発表した。

同リリースでは、以下のツールおよび機能が強化された。

  • MATLABにおける新しい通信システム設計機能
  • PID制御チューニングの自動化
  • GigE Visionハードウェア規格に対応
  • 再利用可能なモデルを作成するためにSimulinkとStateflowのサポートを強化

また 、RFレシーバアーキテクチャのシステムレベルでのモデリングを可能にする「SimRF」が導入、Polyspaceコード検証製品を含む84製品のアップデートも含まれている。

MATLAB R2010bでは、カスタムの列挙データタイプ、64ビット整数演算、および開発環境における向上として、高速計算のためのCUDA対応のNVIDIAデバイスを使用したGPU演算をサポートした「Parallel Computing Toolbox」や、モデリングとPIDコントローラの自動チューニングのための、新たなコマンドとグラフィカルツールを追加した「Control System Toolbox」、GigE Visionハードウェア規格を使用した、プラグアンドプレイのカメラ入力「Image Acquisition Toolbox」、MATLABでの通信システム設計のための新しいSystem objects「Communications Blockset」、モーゲージプールやクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の価格設定や査定の関数が追加された「Fixed-Income Toolbox」などが含まれている。

一方のSimulink R2010bでは新しい信号タイプとサブシステムが強化され、大規模モデルにおけるブロック数、シミュレーション時間、メモリの使用を削減することができるようになった。

加えて、設計のバリアントおよびコンフィグレーション取り込み、およびStateflowにおける再利用可能なステートチャートの作成によって、設計資産を管理し、大規模かつ複雑なシステムモデルの再利用が可能となっており、主な特長としては、クリティカル パス分析およびXilinx、AlteraのFPGAへの自動実装のためのFPGAワークフローアドバイザやリソース共有、ストリーミング、およびパイプラインの分散を含む、エリアスピードの最適が可能なほか、Communications BlocksetとSignal Processing Blocksetにおいて42個のブロックをサポートする「Simulink HDL Coder」や、モデルサブシステムの分析、およびシミュレーションとコード検証中のコンポーネントテストの自動化(Real-Time Workshop Embedded Coderが必要)のための、テストハーネスの生成、データロギング、およびテスト実行API「Simulink Verification and Validation」、RFシステムアーキテクチャをモデリングするSimscapeプラットフォーム上に、新しいサーキットエンベロープとハーモニックバランスシミュレーション技術を構築することができる「SimRF」、プロジェクトメトリクスを表示するための Webインタフェース「Polyspace Server for C/C++およびPolyspace Server for Ada」などが実装されている。

R2010bは現在、すでに入手可能な状態となっており、同社のソフトウェア保守サービスに加入しているカスタマについては提供が開始されている。

なお、R2010bで追加された機能については、同社日本法人であるMathWorks Japanが11月26日に開催するMATLAB EXPO 2010において講演およびデモ展示が行われる予定となっている。

MATLAB EXPO 2010

日時:2010年11月26日 10:00~18:00
場所:東京ミッドタウン ホール&カンファレンス
参加費:無料
事前登録:MATLAB EXPO2010公式Webサイトより可能