Acronisスタートアップリカバリマネージャを導入する
復元操作を行う際、Windows 7を起動して「Acronis True Image Home 2010」から操作を行うか、第3回で作成したブータブルレスキューメディアを用いるのが一般的だが、より簡単な復元機能を呼び出すのが、この「Acronisスタートアップリカバリマネージャ」の活用だ。
ロジック的にはMBR(マスタブートレコーダ)にAcronisスタートアップリカバリマネージャのブートコードを上書きし、Windows 7のブートローダの前にブータブルレスキューメディアで起動した「Acronis True Image Home(完全版)」を起動可能にするというもの。このような仕組みで動作するため、Linuxのブートローダ(GRUBなど)を使用している場合、同ローダをパーティションテーブルのブートレコードに保存しなければならないが、Windows OSユーザーの場合は特段気にする必要はない。
不意のトラブルにより、Windows 7が起動しなくなった場合でも、同機能を用いてAcronis True Image Home(完全版)を呼び出せるため、わざわざブータブルレスキューメディアをCD/DVDドライブにセットしなくとも、スムーズは復元操作を実現できる。バックアップ環境をAcronis True Image Home 2010で統一する場合は、有効化しておきたい機能の一つだ(図22~26)。
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図23 操作を行うダイアログが起動するので、<有効化する>をクリックする |
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図24 これでMBRにAcronisスタートアップリカバリマネージャのブートコードが上書きされた |
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図26 Acronis True Image Home(完全版)を起動するためのメニューが表示される。もちろんブータブルレスキューメディアと同じように「Windows」をクリックすれば、Windows 7が起動する |
「Try&Decide」で実験環境を実現
実行するとシステムに悪影響を及ぼしかねないアプリケーションの起動や、操作を行うと既存環境に影響を及ぼす設定を確認する場合、仮想化ソフトウェアを用いたゲストOS上で確認するのが一般的だが、パフォーマンスの乏しさやハードウェアリソースの制限などにより、必ずしも万全とは言い難い。このようなニーズを踏まえ、バックアップデータの有効活用に着目したAcronis社が実装した機能が「Try&Decide」だ。
同機能を用いることで仮想化ソフトウェアを必要とせずに、バックアップデータを用いてコンピュータを起動し、実験や検証を終えたら元の環境に復元できるというものだ。また、仮想環境で操作を終えたら、その変更結果を元となるシステムに適用することができるため、広範囲に影響を及ぼす修正プログラムの動作検証にも便利に活用できるだろう。
Try&Decide機能は、メイン画面に並ぶ「Try&Decide」を開き、ボタンをクリックして同機能の実行を行うだけで有効化できる。後はディスクチェックやディスクの最適化といった、ディスクに対するユーティリティツールを避けつつ、普段どおりの操作を行えばよい(図27~30)。
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図30 Try&Decide実行中は、通知領域にアイコンが常駐し、現在の状態を簡単に見分けられる |
なお、ディスクの空き容量が500MB未満になり、かつ実行時間が10分を過ぎると警告ダイアログが起動する(しきい値は変更可能)。この際に<変更内容を適用する><再起動して変更を適用>を選べば、瞬時もしくはコンピュータ再起動後に操作内容の適用が可能。これは前述のように修正プログラムの検証結果に問題がないときに使用すればよい。その一方で操作内容を無効にし、Try&Decide実行前の状態に戻す場合は<変更内容を破棄する>を選択する(図31~33)。
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図31 指定した条件を満たし、Try&Decideの動作に悪影響を与える可能性があると、操作をうながすダイアログが起動する。また、同ダイアログはメイン画面の<Try&Decideはオンです>をクリックしても起動する |
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図32 通知領域に常駐したアイコンを右クリックすれば、ダイアログと同じ操作を行うことも可能だ |